2万6,000円台の日経平均、まだ上がる?もう天井?株価と業績の関係は?
トウシル / 2020年12月10日 9時0分
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2万6,000円台の日経平均、まだ上がる?もう天井?株価と業績の関係は?
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現在の利益水準は、低水準?高水準?
日経平均株価は2018年以来、上値を抑えられていた2万4,000円台を抜け、足もとでは2万6,000円台の動きとなっています。
企業業績とは関係なく、日本銀行のETF(上場投資信託)買いや世界的な大規模金融緩和による需給相場で株価が押し上げられていると見られ、本分析においては割高に偏る形にもなっていますが、企業業績は重要なファクターであることには変わりないので、株価と業績の関係について引き続き定点観測をしていきたいと思います。
まずは、日経平均と、日経平均を構成する銘柄の業績動向(予想EPS[1株あたり利益])の推移を見てみましょう。
日経平均株価と予想EPSの推移(1)(2013年1月1日~2020年12月4日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/2/5/-/img_252c3df9ae3ed6e7a5025704fef34ce692408.png)
チェック(1):現在の利益水準は、大不況後の低水準?好景気の高水準?
→中立
9月中間決算銘柄の決算発表が一巡し、アナリストの業績見通しは全体として上方修正され、予想EPSの水準は上がってきています。
このグラフにおいて重要視している来期・再来期調整予想EPSは、2015年、2016年の水準まで落ち込むことなく比較的高い状態を保っていること、一方で大きく利益水準が上がっているわけではないことから、中立と判断します。
チェック(2):来期・再来期調整予想EPSは上向き?下向き?
→上向き
9月までは横ばいでしたが、10月以降は上向きとなっています。
今期、来期、再来期の予想EPSは、上向き?下向き?
次に、今期、来期、再来期、それぞれの予想EPSの推移を見ていきましょう。
日経平均株価と予想EPSの推移(2)(2013年1月1日~2020年12月4日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/3/-/img_f3a25cd434efa4ae8396f8f85f6c9cf297995.png)
チェック(3):今期、来期、再来期の予想EPSは、上向き?下向き?
→今期:上向き
来期:上向き
再来期:上向き
いずれも上向きとなっています。
チェック(4):来期、再来期の増益率は?その達成の可能性は?
→来期増益率:33.3%
再来期増益率:12.9%
達成の可能性:来期:今期の数字次第、再来期:?
今期はコロナウイルス感染拡大の影響で大幅な減益が予想されているので、来期は大幅増益見通しとなっています。
来期増益率については、分子である来期の予想EPSは上がってきていますが、分母の今期の予想EPSも上がってきているため、計算上、33.3%より小さくなる可能性はあるとみています。
予想PERの水準は?
日経平均株価と、来期・再来期調整予想EPSを基にした予想PER(株価収益率)の推移を見てみましょう。
日経平均株価と来期・再来期調整予想EPSを基にした予想PERの推移(2013年1月1日~2020年12月4日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/4/-/img_44772fd0b44bff33377ae6c52013526465622.png)
チェック(5):来期・再来期調整予想EPSを基にした予想PERは?
→19.27倍(レンジの上限を上抜け)
2013年1月から2020年半ばにおいては、来期・再来期調整予想EPSを基にした予想PERはおおむね11.5~17.5倍の推移となっていましたが、12月4日時点(日経平均株価:2万6,751円)では19.27倍とレンジの上限を上抜けた状態となっています。
リスクプレミアムの動向は?
リスクプレミアムとは、リスクのある資産の期待収益率から無リスク資産の収益率を引いた差のことで、ここでは、日経平均株価の期待収益率から10年国債利回りを引いた値について見ていきます。
日経平均株価とリスクプレミアムの推移(2016年1月1日~2020年12月4日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/6/-/img_868de65c839fc71105c7192609c2dde4102780.png)
チェック(6):60週平均からみて上方?下方?その乖離(かいり)度合いは?
→下方に乖離
リスクプレミアムは、来期・再来期調整予想EPSの値を使って計算し、割安・割高の基準となる値は、60週移動平均を用いています。「60週移動平均線よりも、上に乖離すればするほど割安、下に乖離すればするほど割高」という見方をしていきます。
日銀のETF買い、世界的な金融緩和が影響していると見られ、リスクプレミアムは低下してきています。12月4日時点の水準は60週移動平均線を下方に乖離した状態となっています。
(1)~(6)を総合すると、現在の日経平均は「割高」
総合的に判断すると、
- 来期・再来期調整予想EPSが上向きになっているので株価が上昇することは理解できるが、PERはレンジの上限を上抜け、高水準であること
- 大規模な金融緩和もあってリスクプレミアムが低下していることは理解できるが、割安・割高の基準となる60週移動平均の下方にあり、乖離率も大きいこと
以上のことから、業績からのみの判断ですが、現在の日経平均は「割高」とみています。
投資は、あくまでも自己責任で。
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(白石 定之)
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