ドル/円は100円割れ!世界中で社会情勢が不安定化?:2021年5大予測
トウシル / 2020年12月22日 7時0分
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ドル/円は100円割れ!世界中で社会情勢が不安定化?:2021年5大予測
新型コロナウイルスのワクチン開発がすべてを左右する!
2020年の為替相場は米国大統領選挙が主要テーマになるはずでしたが、初春からの新型コロナウイルスの感染拡大によって状況が一変しました。
そして、今年のドル/円のレンジは2月の高値112.23円と3月の安値101.18円の11円5銭(*)です。2019年の8円30銭(*)の年間値幅をたった3週間ほどで上回りました。その後はこの3週間で形成されたレンジの枠内で動いているだけです。
もし、新型コロナウイルスの要因がなかったら、今年のレンジも昨年のような、あるいは昨年よりも狭いレンジになっていたかもしれません。
(*)筆者の情報収集により算定した参考値
為替ディーラーの相場予想は、短期は10分、中期は1時間、長期は1日で予想すると言われています。ハッサクが他社のディーラーと相場観を交換していても、電話を切ったとたん、お互い相場観を変えていたということはよくあります。お互い恨みっこなしで情報交換していますが、どんな状況にも対応できるように相場シナリオは常に複数用意し、臨機応変に対応することが肝要です。
従って、今回の2021年という1年間の予測は気の遠くなるような予測ですが、一つのシナリオとして参考になると思います。このシナリオをベースに、もし、予想が逆に進んだ場合のシナリオを準備しておくと役に立ちます。
2021年の基本的な考え方は、新型コロナウイルスのワクチン開発によって感染拡大が抑制され、経済も金融政策も、2020年の逆の回転になるかどうかだと考えています。
2021年はこうなる! 5大予測 | |
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1 | ワクチン接種に時間を要し、その間に変異したCOVID-21が猛威を振るい、経済に悪影響 |
2 | 世界経済の回復の勢いは鈍化し、景気は低迷 |
3 | 日米欧の中央銀行は2021年も超緩和政策を継続 |
4 | ドル安の構図は変わらず、ドル/円は100円割れとなり、介入警戒感から緩やかな円高に |
5 | 景気停滞と感染拡大は社会の不満を増大させ、米国だけでなく各国で社会・政治は不安定に |
1:ワクチン接種に時間を要し、その間に変異したCOVID-21が猛威を振るい、経済に悪影響
米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されましたが、生産供給体制、保管体制の問題で米国民の半分以上に行き渡るのは2021年半ば以降との見方が大勢となっています。その間、感染拡大は続き、経済活動に制限をかけ続ける状態が続くと予想します。
また、ウイルスが変異し、新たな新型コロナウイルス・COVID-21として猛威を振るう可能性も予想され、さらなるワクチン開発が必要な事態になることも予想されます。1年を通して感染拡大は抑制されず、感染拡大→経済活動制限→感染抑制→経済活動再開→感染拡大を繰り返し、経済に悪影響を与え続けると予想します。
また、米国内だけ集団免疫ができても世界経済の持続的成長は望めません。ワクチンが全世界に行き渡り、世界的に集団免疫となってヒトの移動、モノの移動が全世界的に自由に行われる必要があります。それには数年かかることが予想され、それまでは世界景気は低迷することが予想されます。
2:世界経済の回復の勢いは鈍化し、景気は低迷
上記1.を背景として、2020年後半にみられた世界経済の回復の勢いは鈍化し、経済活動の制限によって再び経済は減速すると予想します。IMF(国際通貨基金)もOECD(経済協力開発機構)もワクチン開発によって2021年の経済成長率予想は急回復となっていますが、この予想よりもかなり低い成長を予想します。
特に欧州はBrexit(英国の欧州連合離脱)も影響し、経済はかなり厳しい状況が続き、社会的、政治的にも不安定な状況が続くと予測します。
3:日米欧の中央銀行は2021年も超緩和政策を継続
景気低迷によって、日米欧の中央銀行の超緩和姿勢は2021年も変わらないと予想します。ワクチン効果によって、2021年後半にFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策は出口を模索するとの見方がありますが、むしろ、追加緩和を模索する方向と予想します。
4:ドル安の構図は変わらず、ドル/円は100円割れとなり、介入警戒感から緩やかな円高に
米国の経常収支と財政収支の「双子の赤字」拡大は続き、また、FRBのゼロ金利政策と量的緩和の長期化によって、ドル資金供給拡大は続き、これらの要因がドルの価値を押し下げると予想します。このドル安の構図は2021年も変わらず、1年を通してドル安は進行すると予想します。
ドル/円は100円割れを目指しますが、100円以下は介入警戒感からマーケット参加者も慎重になり、100円を中心としたレンジ相場の展開を予想します。介入は、G7諸国に対して介入が正当化できるような環境ではないため、口先介入の域は出ない状況が続くと予想します。
ドル安の構図、社会・政治不安の高まり、日本の物価下落によって円は資産として魅力が高まり、円高地合いは続くと予想します。
5:景気停滞と感染拡大は社会の不満を増大させ、米国だけでなく各国で社会・政治は不安定に
各国とも新型コロナウイルスの感染拡大と景気低迷により、社会の不満が増大し、デモや暴動によって社会が不安定になり、政治リスクが高まると予想します。
特に米国は1月20日に新大統領が就任するまでは目を離せませんが、仮にバイデン政権になっても米国の社会の分断は好転せず、新型コロナウイルスの感染拡大の度合いによっては悪化する可能性も予想されます。
中東をはじめとした新興国は、より経済・社会が不安定な状況になることが懸念され、中東は原油価格下落によって地政学リスクが高まることが予想されます。
そして、中国も予想ほど経済は回復せず、台湾、南シナ海、東シナ海の地政学リスクが高まることが予想されます。7月には中国共産党結党100周年を控えており、7月前後の動向には特に注目する必要があります。
(ハッサク)
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