日本株「掉尾の一振」の可能性~ソフトバンクGの値動きと昨年のパターンがカギ
トウシル / 2020年12月28日 12時52分
![日本株「掉尾の一振」の可能性~ソフトバンクGの値動きと昨年のパターンがカギ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_30246_0-small.jpg)
日本株「掉尾の一振」の可能性~ソフトバンクGの値動きと昨年のパターンがカギ
日経平均は直近高値を超えるも、その後失速
先週末12月25日(金)の日経平均は2万6,656円で取引を終えました。前週末終値(2万6,763円)からは107円安となり、週足ベースで再び反落しました。海外市場がクリスマス休暇で薄商い傾向の中、小幅に下落した格好です。
泣いても笑っても、2020年相場は残り3営業日となりました。毎年この時期になると、「掉尾の一振(とうびのいっしん)」と呼ばれる年末株高の有無が注目されますが、果たして今年はどうなるのでしょうか?
まずは、いつもの通り、足元の状況から見ていきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年12月25日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/3/-/img_a37eb263fddb1c54c843b0ee6a928ccd90138.png)
あらためて先週の日経平均の動きを振り返ると、25日移動平均線への「寄せ」から「攻防」へと推移していきました。
結果的に、週末25日(金)の取引終了時点の株価は25日移動平均線上をキープしており、堅調さもうかがえるのですが、気になるのは週初21日(月)のローソク足です。実は、この日の取引時間中の高値(2万6,905円)は、直近高値(12月7日の2万6,894円)よりも高くなっています。また、5日移動平均線と25日移動平均線とのデッドクロスも実現しそうになっています。
つまり、直近高値超えを達成したにもかかわらず、その後の展開が失速していったわけです。冒頭でも触れましたが、例年のこの時期はクリスマス前で薄商いとなりやすい他、最近のコロナ感染者の増加傾向、そして、コロナウイルス自体の変異への不安などが重なったことが相場の重しになったと思われます。その一方で、下値については、直近安値(12月8日の2万6,327円)まで下落することはなく、売りに押されるというよりは、膠着(こうちゃく)感を強めている格好です。
相場は再び上昇?気になる「米国の政治」と「昨年末のパターン」
日経平均は2万6,000円台半ばを維持し、株価が崩れずに済んでいるということは、売りの一巡で需給が軽くなったり、コロナ感染拡大の一服などがあれば、再び株式市場が上昇してもおかしくはなさそうです。とはいえ、気になる点が3つあります。
一つ目は、米国では来年早々に政治のヤマ場を迎えることです。2021年1月5日に米ジョージア州で上院議員の決戦投票が行われ、まだ決まっていない2議席の行方が争われます。米国議会の「ねじれ(上院が共和党・下院が民主党)」が解消されれば、民主党主導の政権運営となり、積極的な政策による財政赤字の拡大や、GAFAMなど米大手IT企業への規制強化などが警戒されて、株式市場にとって悪影響を及ぼす可能性も出てきます。そのため、政治不透明感を前に慎重な値動きが想定されそうなことです。
二つ目は、昨年(2019年)末の状況と似ているということです。
■(図2)2019年末の日経平均(日足)の動き
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/d/-/img_5dbf8f5c7d078ccb169edd0a163a3d84107799.png)
今年との共通点は、「株価の上値が重たくなり、25日移動平均線に寄せる動きとなった」ことと、「25日移動平均線と75日移動平均線とのあいだに比較的大きなギャップがある」ということです。
移動平均線は一定期間の値動きの中心線として意識されます。25日線であれば約1カ月間、75日線であれば約3カ月間の中心線です。図1をみると、日経平均がもみ合いの中で、1カ月間の値動きの中心線水準までの調整を完了させたといえます。
となると、次は3カ月間の水準まで調整が進むのかが焦点になりますが、25日線と75日線とのあいだにかなりのギャップがあり、ここをどう埋めるのかが注目されます。具体的には、株価が75日線に向かって動くのか、それとも、株価が25日線をキープしつつ、75日線がキャッチアップしてくるのを待つのかです。
そこで、図2で昨年の状況を見ると、大納会(年末)と大発会(年始)を挟んで、株価が一気に75日線に近づいていく動きを見せていたため、相場の記憶からは多少なりとも警戒感が芽生えてもおかしくはなさそうです。
個人的に注目しているのは、足元の25日線の攻防は、25日線と75日線のギャップが拡大してしてから、初の調整局面であるということです。図2で昨年の状況を見ると、2019年9月下旬に25日線と75日線がゴールデンクロスし、11月から12月にかけての25日線の攻防による調整を経て、先ほどの2度目の調整局面で75日線に向かっていきました。そのため、もうしばらくは25日線の攻防が続いた後、上放れを試すも株価を伸ばしきれずに、75日線まで失速という値動きになるのではと考えています。
ソフトバンクGの値動きが日経平均の上値トライに影響
そして、最後の三つ目は、日経平均の寄与度の大きいソフトバンクGの値動きです。
■(図3)ソフトバンクG(日足)の動き(2020年12月25日取引終了時点)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/e/-/img_fe7af12e5eaf5f44a7802c769491d87371435.png)
先週末25日(金)に日経平均は前日比で0.04%安でしたが、同日のソフトバンクGは3.15%安となっていて、日経平均を54円ほど押し下げていました。もしこの日のソフトバンクGが堅調だったならば日経平均は上昇していたことになります。
そのソフトバンクGの値動きを上の図3でみると、25日(金)に「窓」を空けて25日移動平均線まで下落していたことが分かります。株価下落の理由とされているのは、同社が大株主となっている中国企業アリババ集団に、中国当局が独占禁止法違反の疑いで調査を始めたと発表したことです。
この材料が今週もソフトバンクGの株価の重しになるようだと、日経平均の上値トライが限定的になる可能性があるため、同社の値動きも併せてチェックする必要がありそうです。
(土信田 雅之)
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