バイデン次期大統領の雇用創出策から選ぶ4銘柄
トウシル / 2021年1月12日 7時0分
![バイデン次期大統領の雇用創出策から選ぶ4銘柄](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_30417_0-small.png)
バイデン次期大統領の雇用創出策から選ぶ4銘柄
1.バイデン次期大統領の施策
2021年の米国株式市場は、民主党のバイデン次期大統領の施策によって大きく左右される年になります。その実行力に影響を与えるのが米ジョージア州の連邦議会上院2議席の決選投票結果であり、仮に2議席を民主党が確保すると、米議会では上院下院共に民主党が優勢となります。
このレポートを書いている1月6日時点で、決選投票の結果は不明ですが、民主党が優位になった場合に投資家が警戒するのは、法人増税です。具体的には、(1)法人税率を21%から28%に引き上げる、(2)1億ドル以上の利益を上げる企業に15%の代替ミニマム税を課す、(3)海外子会社の利益に高い税率を課す、施策が警戒されています。
しかし、ネガティブな材料ばかりではありません。(1)~(3)の施策は実施時期などで調整される可能性があり、また、民主党が大規模な景気刺激策を打ち出すことも想定されます。特に、バイデン氏は新規の雇用創出に積極的であり、(4)米国で新規雇用を創出した企業には10%の税控除を適用する、(5)保育園の一部無償化や低所得者層に対する公的医療保険予算の増額を行う、(6)中低所得者層に対して税額の控除を設置することも検討しています。これらが実現されると、中低所得者の労働・生活環境は改善に向かいます。
こうしたなか注目したい銘柄は、中低所得者の消費回復から恩恵を受ける銘柄です。雇用が回復し所得が安定すれば、身の回りの買い物や飲食の消費機会が増えます。今回は特に、2020年にコロナ禍の影響を受け苦戦した銘柄から4つ選定しました。
<コロナ禍で打撃大も、今後成長が期待できる消費銘柄4選>
銘柄名 | 株価 | 配当 利回り |
調整後EPSの増減率 | |||
前期 実績 |
今期 予想 |
来期 予想 |
再来期 予想 |
|||
TJXカンパニー (TJX) |
66.72 | 1.54 | 9% | -84% | 518% | 15% |
スターバックス (SBUX) |
103.44 | 1.78 | -59% | 141% | 20% | 14% |
ウォルト・ ディズニー (DIS) |
178.44 | 0.61 | -65% | -10% | 163% | 22% |
チポトレ・ メキシカン・グリル (CMG) |
1355.11 | - | 55% | -22% | 94% | 34% |
※株価は2021年1月5日現在。単位はドル。配当利回りは予想で今後の4四半期ベース、単位は% ※決算月は、TJXカンパニーが1月、スターバックスが9月、ウォルト・ディズニーが9月、チポトレが12月 ※出所:ブルームバーグより楽天証券作成。予想はブルームバーグコンセンサス |
1.TJXカンパニー
TJXカンパニー(TJX)は、アパレル、アクセサリー、ホームファッションのオフプライス店を運営するトップ企業で、4,574店舗を展開しています(2020年10月末時点。このうち米国は3,309店舗)。競合のロス・ストアーズ(ROST)の店舗数は1,869店です。
オフプライス店は、有名ブランド品などを定価から割り引いて販売する店舗を指しますが、同社は100カ国以上から、キャンセル品、メーカーの過剰生産品、小売業者の見切り品、工場の直接生産品などを調達するネットワークを築いています。
提供する商品のデザインが古くなりがちな業態ですが、同社は、高級ジュエリーやアクセサリー、ハイエンドのデザイナー商品もそろえ陳腐化を回避、場合によっては商品を自社開発して豊富な品ぞろえをサポートしています。
コロナ禍前は、値ごろ感が好感され既存店売上高の伸びが続いていたほか、店舗数も拡大傾向にありました。2020年はコロナ禍の影響を受け店舗の営業停止を余儀なくされましたが、今後は、ロイヤリティプログラムによる顧客の囲い込みや、ホームファッション業態のオンライン販売強化などを背景に、業績が回復に向かう見込みです。
<TJXカンパニーの主要業態における既存店売上高前年同月比推移>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/e/0/-/img_e0b34a40e038f583a02c8307a106538417585.png)
単位:%
出所:ブルームバーグより楽天証券作成
<TJXカンパニーの店舗数推移>
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/c/-/img_8ca0b727ef6e189928c7d674345af86a17521.png)
単位:店舗
出所:ブルームバーグより楽天証券作成
2.スターバックス
スターバックス(SBUX)も、人々が通勤や外出する機会が増えれば、業績が回復に向かう銘柄です。コロナ禍前から、アプリによる事前注文などデジタル化による効率化を進めていましたが、今後もドライブスルー店舗の増強など店舗の効率化が期待できます。先月、会社側は長期の成長計画を公表しており、これも投資家から好感される材料になります。会社側は、今後中国を中心に積極的な出店を進め、2030年度までに店舗基盤を5万5,000店に拡大する目標を示しています(2020年4Q時点では3万2,660店舗)。
3.ウォルト・ディズニー
ウォルト・ディズニー(DIS)は、テーマパーク閉園の影響を受ける一方で、公式動画配信サービスである「Disney+(ディズニープラス)」が急速に拡大しています。会社側は、12月2日時点で「Disney+」の加入者数が8,680万人まで増加し、2024年までには、2億3,000万人~2億6,000万人まで拡大する見通しを公表しています。コロナ禍の終息に備え話題作りにも積極的で、足元では、公式YouTubeチャンネル「Disney Parks」を利用して、ディズニークルーズラインに追加する新しいクルーズ船のお披露目映像を公開しました。ディズニーは、オンライン動画を活用して自らの訴求力を高める取り組みを進め、コロナ禍の逆境をチャンスに変換しているように見えます。
4.チポトレ・メキシカン・グリル
オーガニックのメキシカンフードを提供するチポトレ・メキシカン・グリル(CMG)も、業績拡大が期待できる銘柄です。同社の強みは、ブリトーやボウルなど、手早く食事ができる商品を値ごろな価格で提供する点にあります。コロナ禍で店舗閉鎖を余儀なくされましたが、急速にオンライン販売を伸ばすことに成功し、2020年12月期通期は増収で着地する見込みです。人件費などがかさみ、利益は落ち込む見込みですが、2021年12月期は増益が予想されています。去年、大幅に上昇する局面がありましたが、足元の株価は調整局面にあり値ごろ感があります。
<チポトレ・メキシカン・グリルの株価チャート>(日足、1月5日まで)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/9/-/img_597abcb57094d236e5c0a41bad2a124a18781.png)
(松村 梨加)
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