株高の陰で米労働市場の悪化続く。ついに雇用は「マイナス」か?
トウシル / 2021年1月8日 9時32分
株高の陰で米労働市場の悪化続く。ついに雇用は「マイナス」か?
本日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは105.00円
↓下値メドは102.25円
景気悪化は意図的な政策が引き起こしている。世界経済の不均衡が原因ではない
6日(木曜)のドル/円は大きく円安。103円ちょうどで始まり、いったん102.95円まで下げてこの日の安値をつけました。しかしすぐに戻し、NY時間には103.96円まで大きく上昇。そのまま勢力を保って終値は103.81円。
米上院のジョージア州決選投票は、民主党が2議席とも獲得したことで、民主党が今後2年間の上下両院の支配権を握ることになり、バイデン次期大統領にとってはスムースな政策運営が可能になります。民主党には一時大統領選挙の候補者だったバーニー・サンダース氏のような急進左派が一定の勢力を持って存在しているのですが、上院が議席数では50対50でバランスしているため、増税や規制強化などの極端な政策の抑制機能もあるわけで、マーケットは今しばらく増税を心配することなくリフレ政策に集中することができる。追加景気刺激策を先取りして、米長期金利は昨年3月以来の水準まで上昇しています。
米議会はこの日、バイデン氏の大統領選勝利を正式に認定。マーケットはトランプ時代に完全に終わりを告げました。
今夜(8日)は、米国の12月雇用統計の発表。最新の市場予想によると、非農業部門雇用者数は7.1万人、で失業率は6.8%に1ポイント悪化となっています。雇用者の増加は、6カ月連続で減少することになりそうです。民間機関の雇用統計であるADP雇用データ12月は▲12.3万人(予想8.8万人)でした。今夜のデータがマイナス(前月比減)ならば、新型コロナ第1波が襲来した4月以来ということになります。
なぜ、雇用が減っているのか?理由は明らかです。今日の注目通貨をご覧ください。
主要指標 終値
今日の一言
みんなが気づいたら、それはもうチャンスじゃない
今日の注目通貨
ドル/円: Cheap Thrills
雇用とコロナウイルスの間には「負の相関関係」が存在しています。その相関係数は昨年8月には▲0.20以下だったのが▲0.40以上まで拡大。つまり新型コロナ感染者が増えるほど雇用が減るという傾向が強まっています。全米の約1/3が部分的なロックダウンの状態では、雇用縮小は続くと考えるのが当然です。もっとも、業種によって違いがあり、一部のサービス業では(逆に)従業員の確保が十分にできずに困っている会社もあります。
今夜の雇用統で、非農業部門雇用者数がたとえマイナスに落ち込んだとしても、マーケットに大きな動揺はないと思います。なぜなら、ワクチン接種の展開が順調に進むなら、いずれ問題は解決するだろうという楽観的な見方が広がっているから。バイデン民主党が近い将来披露するだろう追加刺激策のプラス効果が、労働市場悪化のマイナスを相殺してまだ余りある状況です。今のところは。
(荒地 潤)
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