民主党のグリーン銘柄と金利を上げたくないFRB
トウシル / 2021年1月28日 15時37分
民主党のグリーン銘柄と金利を上げたくないFRB
EV政策を推し進める裏側で民主党の政治家がテスラのコール・オプションを買っていた!?
米民主党の大物政治家が昨年12月22日にアップルとテスラのコール・オプションを購入したとのうわさが広がっている。先日、アップル(AAPL)がEV市場への参入を目指し、複数の既存自動車メーカーと提携交渉を始めたことが報じられるなど、現在、EV(電気自動車)関連は米国株式市場で熱いテーマとなっている。
●アップル(日足)
●テスラ(日足)
しかし、車の充電に使われる電気が太陽光パネルや風力タービン、さらには原子力や水力発電などのクリーンエネルギーで作られているなら話は別であるが、化石燃料から作られている場合、発電の段階で大量のCO2が放出される。また、EVバッテリーの製造過程における環境負荷も意外と大きい。バッテリーにはニッケルやコバルトなどの重要な原材料がいくつか含まれているが、これらは地下から採掘しなければならない。このような原材料を採掘する過程で多くの排出物が発生する。さらにバッテリーは、電力が化石燃料で供給されている国において製造されているケースが多い。
つまりEVは、「環境にやさしいとは言い切れない」というのが真実である。しかし、EVは環境関連株の本命ということになっている。世の中は「やったもの勝ち」なのである。大手メディアを使って「EVは環境に良い」というステルス報道を連発すれば、ヒトの潜在意識の中に「電気はクリーンエネルギーとか米民主党が推し進めるグリーン政策の目玉」という情報が刷り込まれる。
そういうでっち上げでも、株が上がれば、DS(ディープステート)や民主党はそれでいいのだ。オバマ政権時代の唯一の政策とも言える「国民皆保険」も、民間の保険会社を富ませるためだけの政策で、裏では多額のロビー活動資金や賄賂が飛び交ったといわれている。政治家は国民のことなど一切考えていない。私利私欲の職業政治家だからだ。そのおこぼれをもらっている大手メディアも真実など報道しない。人は新聞やTVが報道していることは無意識のうちに真実だと思い込まされる。だが、本当の情報は、いつもメディアによって抑えられている。
バイデン大統領は就任式直後から脱トランプ政権を前面に打ち出すべく、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」への復帰や「WHO(世界保健機関)」からの脱退撤回、環境保護と新型コロナウイルス対策の強化など、多数の大統領令に署名したことが報じられている。
コロナ禍における難題を抱えつつの船出は、さぞ前途多難であろうと同情さえ覚えてしまうところであるが、ベテラン政治家の手腕を発揮できるのだろうか。バイデン米政権の顔ぶれや政策をまとめたNHKのサイトによると、バイデン大統領の環境政策について「任期の4年間において電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及に向けた施策に2兆ドル、日本円で200兆円規模の巨額の投資を行い、新たな雇用を創出する」とされている。
米カリフォルニア州のニューサム知事が、2035年までに州内におけるガソリン車やガソリントラックの販売を停止すると発表したのは昨年9月のことである。今後、カリフォルニア州内で販売される新車については排ガスを出さない「ゼロエミッション車」にするよう義務づけ、これにより温室効果ガスの排出を35%減らすという大胆な目標であった。
約4,000万の人口を抱えるカリフォルニア州は、米国内でも特に環境に対する意識が高い州である。ガソリンの車やトラックは、カリフォルニア州における温室効果ガスの半分以上を占めているとされており、この目標を達成するための最大の障害とされてきた。カリフォルニア州の大胆かつ野心的な立場は、トランプ前政権下の2020年時点では国と一線を画す動きであった。しかし、民主党政権の誕生により、全米における大きなうねりとして、脱ガソリン車の流れを一気に進展させるだろう。
筆者は金もうけを否定しているわけではない。ただ、もうけるなら堂々とやってほしいものだ。人に聞こえがいいことばかりささやいて、裏でやっていることは自分の金もうけというのが政治家のステレオタイプである。それは、米民主党だけではなく、米共和党も同じである。日本から米国のシンクタンクを訪問すると、民主党系・共和党系にかかわらず、最初に出てくる言葉は、「いくら払うんだ?」である。われわれは未来を語るものを決して信じてはいけない。
下院の大物民主党議員が買っているのが「コール・オプション」というのが笑える。短期決戦なのだろう。こういうやからがトランプの弾劾をやっているとは、まったくのお笑いである。
株価を下げたくないFRB
独アリアンツの首席経済アドバイザーであるモハメド・エラリアン氏が、CNBCのインタビューに答え、年初に見られた米国の長期金利の上昇に関して、「FRB(米連邦準備制度理事会)は現状の政策はかなりの困難を迎えるだろう」と指摘、「財政政策や家計から注入される潜在的な流動性は今年だけでGDP(国内総生産)の20~25%にも匹敵する」と述べた。
一般的に市場や経済に積極的に関わっていく「大きな政府」を標榜するとされる民主党政権においては、ドル安が進みやすいとされており、バイデン政権における政治主導によるドル安は2021年のリスクシナリオの一つである。
エラリアン氏は次のように続けた。
「FRBは現在、マーケットのあり方を微調整しようとしている。今年最初の5日間で、2年と10年、2年と30年でイールドカーブは20~23ベーシスポイントほどスティープ化した。それは5日間の動きとしてはかなり大きいが、長期的な経済見通しという点で起きたことと一致している。すると直ちに、ブレイナード、クラリダ、パウエルが集まり、イールドについて口先介入した。FRBがイールドカーブの動きにこんなにも早く行動したことは興味深い」
FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれているが、市場は政策の大きな変更はないと見ているのか、金利は今のところ落ち着いた動きを示している。今年年初に見られたような金利の急激な動きがあった場合、FRBは慌てて火消しに回ることが証明された。金利を上げたくない、上がっては困るという意図が露呈した結果となった。
エラリアン氏は、金利の急激な上昇によってFRBが2つのコントロールを失うことを恐れていると指摘している。
「もしイールドの動きが早すぎる場合は、金融安定の鍵である2つのコントロールを失うことを示している。一つは、TINAという考え方(There is no alternative risk assets:株を除いて他に投資可能なリスク資産はない)である。二つ目はDCF(ディスカウントキャッシュフローモデル)が発している『株を買え、株を買え』というメッセージである」
金利の上昇と株安、そして金利の上昇とドル高がそれぞれ表裏一体であるとするならば、金利の急激な上昇による株価を断固避けたいという思惑がFRBにあるとするならば、ドル高というよりは引き続き、ドル安傾向が続くと見て良いだろう。
イタリアの政局不安定化を背景にユーロが売りトレンドに転じている。ポンドは引き続きドルに対して堅調である。ドル/円はもみ合いながらもドルがじり安の展開。オセアニア通貨ではNZドル/ドル、豪ドル/ドルの強さが継続している。
●ユーロ/ドル(日足)
●ポンド/ドル(日足)
●ドル/円(日足)
●NZドル/ドル(日足)
●豪ドル/ドル(日足)
1月27日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
1月27日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、土信田雅之さん(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト)をゲストにお招きして、「コロナバブルと株式市場の行方」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。
1月27日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
1月27日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
(石原 順)
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