日本株は上昇加速の「のろし」が立ち上がる?強気ムードの裏返しには要警戒
トウシル / 2021年2月8日 11時37分
日本株は上昇加速の「のろし」が立ち上がる?強気ムードの裏返しには要警戒
日経平均は23.6%押しで反発、相場の崩れを回避
2月相場入りとなった先週の国内株式市場ですが、週末5日(金)の日経平均株価終値は2万8,779円となりました。前週末終値(2万7,663円)からの上昇幅は1,116円と大きく、前週末にかけて、米個人投資家が仕掛けた一部銘柄の投機的な動きを警戒して下落した分を早期に取り戻した格好です。
今週は、さらに上値を伸ばして直近高値を更新できるかが試される週になりそうですが、国内企業の決算発表がピークを迎える中、11日(木)が建国記念日で休場、さらに翌12日(金)がオプション・mini先物取引のSQ日ですので、やや変則的なスケジュールになります。また、中国でも11日(木)から春節の大型連休に入り、香港市場は15日まで、本土市場は17日まで休場となります。
早速、足元の日本株は上方向への意識がどれほど強いのかについて、日経平均の日足チャートで確認してみます。
■(図1)日経平均(日足)とMACD(2021年2月5日取引終了時点)
先週の日経平均を振り返ると、週初1日(月)の取引で株価が底打ち反発し、節目の2万8,000円台や25日移動平均線を回復してきました。以降も小休止を挟みながら週末まで戻り基調が続いています。
前回のレポートでも触れた、「押し目(昨年10月末からの1月14日の上げ幅に対する23.6%押し)」の辺りで反発できたことや、5日移動平均線と25日移動平均線の「デッド・クロス」を回避できたこと、そして、1月27~28日にかけて空けた「窓」を埋めたことなど、先週の値動きによって相場が崩れなかったことになります。
さらに、直近高値同士(1月14日と25日)を結んだラインをも上抜けており、株価再上昇の「のろし」が立ち上がりつつある状況です。もっとも、1月中旬からは2万8,500円台から2万9,000円の範囲内で10日近くもみ合っていた価格帯ですので、ココを抜けきる強さを発揮できるかがポイントとなり、下段のMACDがシグナルを上抜けできるかがひとつの目安になります。
TOPIXは日経平均よりも上方向への意識が強まる
また、同様にTOPIX(東証株価指数)についても見てみます。
■(図2)TOPIX(日足)とMACD(2021年2月5日取引終了時点)
TOPIXについては、直近高値同士を結んだラインを完全に上抜け、直近高値(1月14日の1,885p)も超えて高値を更新している他、MACDも5日(金)時点で微妙に上抜けクロスとなっており、日経平均よりも上方向への意識が強まっている印象です。
足元は企業決算シーズンの真っ最中ですが、これまでのところ、製造業を中心に業績予想を上方修正する企業が多くなっています。今週は決算発表のピークとなりますが、決算を手掛かりに銘柄物色に広がりが出てくれば、TOPIX優位の展開が続き、それにけん引される格好で日経平均も上昇していく展開も想定されます。
ちなみに、TOPIXが引き続き上値を試す展開となった場合、前回の25日移動平均線割れから反発した12月下旬からの上昇幅を元に計算した「N計算値」の1,936pあたりがひとまず目安となりそうです。
NYダウも23.6%押しで反発、NASDAQは上昇基調
また、この日経平均とTOPIXの関係は、米国のNYダウ平均株価とNASDAQとも似ています。
■(図3)米NYダウ(日足)とMACD(2021年2月5日取引終了時点)
NYダウも、日経平均と同じく、23.6%押しで反発し、下落分を取り戻している他、直近高値超えやMACDの上抜けクロスを目指している状況です。
■(図4)米NASDAQ(日足)とMACD(2021年2月5日取引終了時点)
NASDAQはTOPIXと同じく直近高値を超えて高値を更新している他、MACDの上抜けクロスも出現済みです。25日移動平均線をサポートとする上昇基調が続いている印象です。
米株市場は、個人投資家の標的となった銘柄(ゲームストップなど)の株価も落ち着きつつありますし、GAFAMなどの決算に対する反応も波乱なく通過しています。さらに、相場の視点はバイデン政権による追加経済政策へと、すでに「次」に向かい始めており、相変わらずの「いいところ取り」の顔ものぞかせています。
過熱感が意識されてもおかしくない
そのため、基本的には強気ムードが優勢と判断して良さそうですが、その見方に死角はないのでしょうか? 一応、気をつけておきたい点を、日経平均の週足チャートで確認します。
■(図5)日経平均(週足)の動き(2021年2月5日取引終了時点)
週足チャートでチェックするのはローソク足です。
先週のローソク足は、前週の陰線をスッポリ包む、「抱き線(包み足)」となっています。陰線の後に陽線となっているため、買いが優勢のように見えますが、高値圏での包み足は天井を示唆することが多く、「最後の抱き線」と呼ばれます。
確かに、移動平均線のすべてが上向きである他、下段のMACDも1,000円を超えるほどの勢いがあり、かなり力強い形となっていますが、過熱感も意識されてもおかしくはない状況でもあります。
上値をトライできずに失速する展開になってしまうと、今週は木曜日が祝日で休場のため、翌金曜日のSQを見据えた需給的な思惑も加わって、早めの手仕舞いの動きなどが活発になる可能性があり、思ったよりも下げ足が早くなる展開も想定しておいた方が良いかもしれません。
(土信田 雅之)
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