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利益確定売りで「金」は反落。イラク政府のキルクーク掌握で「原油」は続伸

トウシル / 2017年10月17日 15時30分

利益確定売りで「金」は反落。イラク政府のキルクーク掌握で「原油」は続伸

利益確定売りで「金」は反落。イラク政府のキルクーク掌握で「原油」は続伸

利益確定売りで金は反落

 金相場は反落。これまでの戻りに対する利益確定売りが出ている。

 この日は米長期金利が上昇し、ドルが上昇したことから売りが出やすくなった。一時は1,300ドルを明確に上回り、上値を試す動きにあったが、利益確定売りに押されている。米国の株高は、安全資産である金にとってはネガティブ材料である。目先は1,295ドル前後を維持できるかが重要。

 金相場については今の段階で大きな動きになるとは考えにくい。12月の米利上げは経済指標を見る限り、物理的に難しいと私は考えており、長期金利上昇の頭打ちが金相場の支援材料になると想定している。

 一部に地政学的リスクが残っていることも、短期的には支援材料といってよいだろう。
一方、パラジウムが1,000ドルの大台に乗せる場面があった。この数日で急伸しており、きわめて強い動きにあるといえる。

 

非鉄は堅調続く

 非鉄相場はまちまち。LME(ロンドン金属取引所)在庫はアルミが大幅減少となり、鉛も減少したが、銅・ニッケル・亜鉛は増加した。

 アルミはやや上値は重いものの、下値もしっかりしている。銅はとうとう7,000ドルの大台に乗り、7,130ドルまで急伸。これまで銅については強気な見方を繰り返してきたが、その流れは続いている。ニッケルも続伸し、1万1,880ドルまで上げてきた。この2つの銘柄の最近の上昇は目覚ましいものがある。

 亜鉛は下落したが、3,190ドルのサポートを維持し、鉛も同様に2,120ドルは維持している。非鉄相場は真に堅調であり、この流れが固まりつつある。

 一方、中国の9月のPPI(卸売物価指数)が前年比6.9%上昇と、今年3月以来の高い伸びを記録した。

 建設ブームが建築材価格を押し上げている。この強い建築材需要を背景とする非鉄相場の上昇が影響しているとの指摘もある。また、政府の大気汚染対策によって、原材料が冬季にかけて不足するとの懸念も、PPIの伸び加速につながっている。このPPIの伸び加速は、景気と工業部門企業利益が引き続き底堅く推移する兆候と見ている。

 一方、CPI(消費者物価指数)は前年比1.6%上昇。ただし、前月の1.8%上昇からは鈍化した。食品価格は前年比1.4%低下。食品を除くCPIは2.4%上昇と、8月の2.3%から伸びが加速。19日には鉱工業生産やGDP(国内総生産)が発表される。

 これらの数値が強くなれば、非鉄相場の上昇基調にさらに弾みがつく可能性もあるだろう。中国人民銀行の周小川総裁は、「今年下半期の中国経済の成長率は上半期から加速し、7%に達する」との見通しを示した。さらに「中国の経済成長率は過去数年間に減速したが、今年は回復しており、上半期のGDP伸び率は6.9%となった。下期は7%を達成する可能性がある」と発言し、成長のけん引役は主に家計消費であるとしている。

 しかし、多くのエコノミストは、借り入れコストの上昇や不動産購入制限、政府の大気汚染対策に伴う冬季の工場閉鎖などで、今後数カ月の経済成長は鈍化すると予想しており、見方が異なっている。

 中国の第3四半期のGDP成長率は19日に公表される見通し。市場予想は6.8%増。中国政府は今年のGDP成長率目標を6.5%程度に設定している。周総裁が今回示した見通しは、今年通年の成長率が約6.95%となり、目標を達成するだけでなく、2015年と2016年の成長率を上回る可能性も示唆していることになる。

 また周総裁は、「中国は今後もシステミックリスクを回避し、ファンダメンタルズを健全かつ安定した状態に維持することが可能」とし、「いわゆるシャドー・バンキングのリスクは一部後退し、不良債権は比較的低い水準にとどまっている」と発言。

 市場では「当局の資金供給は投機資金より実際の投資に回りつつあるが、高い融資の伸びに注意を払う必要がある」との指摘もあるなど、中国政府とマーケットの見方にいくつかのギャップがくることには注意が必要だ。

 

イラク政府、キルクーク掌握で原油は続伸

 原油は続伸。OPEC(石油輸出国機構)の産油量2位のイラクで、中央政府とクルド自治政府が帰属を争う、北部の油田都市キルクークを政府軍が制圧し、生産が一時中断されたことが材料視された。

 イラク中央政府は、軍部隊が国営石油会社NOC(ノース・オイル・カンパニー)を管理下に置き、油田での原油生産を直ちに再開したと発表。クルド自治政府は、輸出パイプラインによる原油輸送は続いており、停止操作は行われていないとしている。

 ただし、トルコはイラク中央政府の要請で自治政府が運営するパイプラインを停止する可能性を警告。

 さらに米石油掘削リグ(装置)稼働数の減少やルイジアナ州南東部ポンチャートレーン湖の掘削リグ爆発事故も原油価格上昇の支援材料になっているようだ。徐々に雰囲気が変わりつつあり、これでWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油が52ドルを明確に上抜けてくれば、地合いは大幅に好転しそうである。

(江守 哲)

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