日経平均は一気に2万9,000円半ばを試す動きへ。金融緩和縮小の兆しに警戒
トウシル / 2021年2月9日 16時43分
日経平均は一気に2万9,000円半ばを試す動きへ。金融緩和縮小の兆しに警戒
今週の予想
今週は、本日SQに絡んで一気に上昇し、その後2万9,000円半ばを試す動きへ
今週は、NYダウ平均株価が史上最高値を更新すれば、SQ(特別清算指数)も絡んで2万9,000円台乗せが期待されましたが、空売りの踏み上げも加わり、8日、一気に2万9,000円台に乗せました。
先週、半導体株から自動車株に物色の対象が変わり、注目は10日のトヨタの決算となります。ソニーのようなサプライズ決算となれば別ですが、予想通りの決算であれば、自動車株もいったん材料出尽くしの可能性があります。半導体が一服しているところですので、物色がバリュー株や出遅れ株に向くと思われます。
普通「節分天井・彼岸底」という格言は、2月に入ってから使うことが多いのですが、私は1月20日のバイデン米大統領の就任式が米株式の一区切りとなる可能性を考えて、2週間ほど前倒しして「節分天井・彼岸底」を想定したシナリオを考えましたが、今のところスピード調整で終わっています。
これまで上昇してきた主力株が半導体株から自動車株に入れ替わり、ハイテク株売り、景気敏感株、出遅れ株と環境物色が繰り返されると、大きな調整にはなりにくく、堅調さが続くことも考えられます。
しかし、日本株はNYダウの写真相場となっていますので、米株式に波乱があれば連動することになります。
目先は、高値更新となれば楽観論が出てきます。これまでの上昇は、世界的超金融緩和が継続しているためですが、いつまでもそれが続く保証はありません。「金融緩和縮小」の兆しを意識したとき、下落することになりますが、いつそうなってもおかしくありません。相場のパターンでいうと、2020年1月にいったん調整を入れ、2月後半にコロナ・ショックという急落相場が起こりましたので、2月は注意が必要です。
8日(月)は、先週末のNYダウがプラスで終わっていたことで、日経平均は+52円と小幅に寄り付きましたが、その後は、時間外の米株先物高や円安を背景に大幅上昇となり、終日、高値圏で推移。2万9,400円の高値をつけ、引けは+609円の2万9,388円と1990年8月以来の高値水準となりました。
今週の指標:日経平均株価
今週も米株式が上昇し、NYダウが史上最高値を更新するかどうかが、日経平均が2万9,000円台乗せのポイントとなっていましたが、8日はSQ絡みで一気に2万9,000円を突破しました。日経平均は先週、半導体株の一服に変わって自動車株が上昇してきましたが、これが続くかどうかは、10日のトヨタの決算次第のところがあります。
今週の指標:NYダウ平均株価
先週のナスダック総合指数とS&P500は連日の最高値更新となり、NYダウは最高値まであと20ドルと迫りました。主な上昇要因は、民主党の1.9兆ドルの追加経済対策の成立の期待ですので、これが成立すれば材料出尽くしでいったん調整の可能性もあります。
また、金融システム混乱のリスクが心配されましたが、投機熱が鎮静化し、投資家の不安も緩和して再び上昇し、史上最高値を更新する動きとなりました。そのため良好な決算への期待や経済活動の再開ペースの加速を期待して、株式は堅調な展開となりそうです。
ワクチンに関しては、大量生産が可能で接種が1回で済み、また扱いも容易なため期待が大きいとされるジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが当局に申請中であり、承認されれば経済活動の回復期待をさらに後押しすることになります。
今週の指標:ドル/円
今週は、ドルの上値は重い展開が想定されます。目先的には、10-12月期のユーロGDP(国内総生産)が低調だったことで、ユーロ売り・ドル買いが観測され、これが円売り・ドル買いにつながりました。また、追加の経済対策法案の成立へ向けて、長期金利が上昇すればドル買い要因となります。ただし、パウエル議長の講演があり、この中で中長期の低金利が示されれば、ドル買い・円売りは縮小する可能性があります。また、105円台後半から106円台のゾーンは、まとまったドル売り注文が観測されているということですので、一段のドル買い・円売りは限定的となります。
先週の結果
米株式の大幅回復に日経平均も連動して、昨年来高値に接近して終わる
先週の予測では一つのシナリオとして、あと一段の大きな下げがあれば、日経平均が三空天井の型を完成させて、買い場がくることを期待、そのためにはNYダウのさらなる下落が必要としました。
NYダウは、1月29日(金)に▲620ドルの2万9,982ドルとなったことで、下げが想定されましたが、翌週から反発に転じ週後半は、S&P、ナスダックは史上最高値更新となりました。そのため米株式に連動する日経平均も戻りを試し、2月1日(月)の2万7,649円を安値に2万8,000円台を回復し、3日(水)には2万8,669円と3日間で1,000円強の反発となりました。
4日(木)に日経平均は▲304円の2万8,341円と一服するも、引け後の米国株式が史上最高値を更新する動きとなってきました。そして、新規失業保険申請件数が予想を下回る強い結果となり、翌日5日(金)の1月雇用統計の上振れ期待が高まりました。そのため、ドルが買われて、ドル/円が105円半ばの円安進行となったことも重なり、主要3指標そろって大幅上昇し、S&P、ナスダックはザラ場、終値ともに史上最高値を更新しました。
これを受けて週末の5日(金)の日経平均は、株価先物の買いを支えに上げ幅を拡大し、後場の終盤はジリ高歩調となって+443円の2万8,785円まで上昇し、終値は+437円の2万8,779円となりました。日経平均は、昨年来高値を更新できませんでしたが、TOPIX(東証株価指数)は+25ポイントの1,890ポイントと、1月14日の昨年来高値1,873ポイントを更新しました。
引け後の週末の米国株式は、注目の1月米雇用統計が予想をわずかに下回り、前月分を下方修正したことで、新型コロナウイルス感染拡大による雇用の悪化は意識されましたが、民主党独自の1.9兆ドルの追加経済対策成立期待から、主要3指標とも連日の上昇となりました。特にS&Pとナスダックは連日の最高値更新となり、NYダウは最高値にあと20ドルと迫りました。シカゴの日経先物は▲5円の2万8,785円でした。
(出島 昇)
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