リスクオンで、なぜドル/円だけ「円安」? あのトレードがしばらくぶりに復活?
トウシル / 2021年2月16日 9時25分
リスクオンで、なぜドル/円だけ「円安」? あのトレードがしばらくぶりに復活?
本日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは106.75円
↓下値メドは103.25円
ロックダウンによる米国の経済損失は1日250億ドル
「東証、一時3万円突破。バブル期以来30年半ぶりの大台回復」生まれて初めて日経3万円台を見た為替Walkerの読者の方も多いのではないでしょうか。世界は同時株高で、15日のNY市場は休場でしたが、先週末のダウ平均株価は史上最高値を更新。マーケットは「リスクオン」です。
リスクオンの理由のひとつに、トランプ前大統領の弾劾裁判が異例のスピードで結審し、無罪評決となったことを指摘する人もいます。米議会は政治闘争よりも経済対策を優先したと評価されました。政治分断化は当面回避され、景気刺激策の早期かつ満額に近い成立がより現実的になってきた。
15日(月曜日)のマーケットは円安。ドル/円は104.89円からスタートして安値は104.88円。まったく下げることなく欧州時間に105.42円まで上昇して高値をつけました。終値は105.37円。終値105円台は5営業日ぶり。
ドル/円は円安ですが、マーケットの大きな流れは「ドル安」。欧州通貨や豪ドルやカナダドルなどの資源通貨がドルに対して上昇しています。リスクオンによってFX市場ではキャリートレード復活の兆しが見えています。新興国通貨では、南アランド/円は1年ぶり高値、トルコリラ/円は昨年8月以来の高値。メキシコペソは利下げしたにもかかわらず上昇。円やスイスフランはキャリートレードの調達通貨。したがってリスクオンのドル安の動きでも、円高は限定的。ドル/円が流れに逆らっているように見えるのはこのような背景もあるでしょう。
主要指標 終値
今日の一言
人は負けることを知りて、人より勝れり – 徳川家康
「テーパー・タントラム」がやってくる?
マーケットでは不思議な動きが起きています。米国の経済データは悪化しているのに、米長期金利は逆に上昇している。1月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が僅か4.9万人の増加にとどまりました。米国の雇用市場は、コロナショック直後に崩壊ともいえるような縮小を経験しました。その後は驚異的なリカバリを見せたのですが、あえなくペースダウンが始まり、昨年12月の雇用者はついに23万人「減」。1月CPI(消費者物価指数)も予想より低かった。マーケットが期待するインフレの兆しは、少なくとも統計データのどこにも表れていません。
しかし、米長期金利は、予想より悪い経済データに反応して下落するのではなく、逆に上昇している。この不可解ともいえる現象は、データが悪いほど、バイデン景気刺激策は大きくなる(1.9兆ドルに近づく)という期待のあらわれかもしれません。大型景気刺激策とともに、ワクチン接種率の高まりで移動制限も解除も近く、今年下半期の米経済成長は爆発的な回復が期待できる。そのような予想が増えています。
すると、あの「テーパー・タントラム」が繰り返されるリスクも高まるといわれています。「テーパー・タントラム(taper tantrum)」とは何かというと、2013年5月にFRBが(米連邦準備制度理事会)異例の緩和縮小(テーパリング)を示唆したことで、国際金融市場に大きな波乱が起きたことです。
緩和縮小についてパウエルFRB議長は、「(FOMCの)議題にさえ上っていない」ときっぱりと否定。ですが、それを心から信じている投資家はあまりいないでしょう。今年の夏以降は緩和縮小という爆竹に注意です。
今日の注目通貨
ドル/円: 今週の予想レンジ:上106.25円、下103.72円
今週のドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は104.98円。104.98円より上ならばドル買い優勢、104.98円より下ならばドル売り優勢。
106.73円 : 第4レジスタンス(HBO)
106.55円 : 2020年 09月 高値
106.25円 : 第3レジスタンス
106.11円 : 2020年 10月 高値 (10月07日)
105.77円 : 2021年 02月 高値
105.76円 : 第2レジスタンス
105.61円 : 第1レジスタンス
104.98円 : ピボット
104.35円 : 第1サポート
104.41円 : 2021年 02月 安値
104.20円 : 第2サポート
104.00円 : 2020年 09月 安値
103.72円 : 第3サポート
103.24円 : 第4サポート(LBO)
103.18円 : 2020年 11月 安値
102.59円 : 2021年 01月 安値
(荒地 潤)
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