米国はQEインフィニティとMMTで資産バブルとインフレの限界を試す!?
トウシル / 2021年2月25日 15時18分
![米国はQEインフィニティとMMTで資産バブルとインフレの限界を試す!?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_31098_0-small.jpg)
米国はQEインフィニティとMMTで資産バブルとインフレの限界を試す!?
「資産バブルVSインフレ」の限界を確認する実験中…
米国はQEインフィニティ(無限大介入)とMMT(現代貨幣理論)で、「資産バブルVSインフレ」の限界を確認する実験中である。中央銀行はもはや足抜けできない緩和中毒者。さらに拡大する以外に道はない。緩和の片道切符で、いけるところまでいくという作戦を実施中だ。
「信用拡大は政府が市場経済と闘う第一手である」「資本主義から計画経済に導くすべての歩みが必然的に専制・独裁に近づく歩みとなる」と、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは述べたが、この作戦が失敗すると、ジョージ・オーウェルの「1984的な監視社会」(デジタル共産主義)の方位に世界は動いていくだろう。
ヘリコプターマネーは、中央銀行または政府が、対価を取らず、国債買い入れで財政資金を供給して、大量の貨幣を市中に供給する究極の経済政策。中銀のバランスシートは債務だけが増え、債務超過の状態になる。その結果、中央銀行や貨幣に対する信認が損なわれる可能性があるため、平時には行われない。
米国経済は政府支出とFRBの膨れ上がるバランスシートに完全に依存
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このままなし崩し的にMMT的な政策が推進されると、FRB(米連邦準備制度理事会)がある時点で、株式、住宅用不動産、商業用不動産、すべての国債、社債、農地などを含むすべての米国資産をマネタイゼーションする可能性がある。
FRBが抱えている証券
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Investment Watchの「Equity Purchases by the Bank of Japan Reach a New Milestone(日本銀行による株式購入は新たなマイルストーンに到達)」という記事に、「日銀は2010年に初めて株式を購入した中央銀行であるため、このマイルストーンは世界の政策立案者の注目を集める可能性がある」という観測が書かれていた。
【日本銀行(日銀)が保有する国内株式 は、2020年11月に4,340億ドルに達し 、バランスシートに記録された過去最高となった。日銀は、経済の安定化を支援するため、2010年に株式ETF(上場投資信託)の購入を開始した。
日銀は現在、日本株の最大の所有者として国の政府年金投資ファンドを上回っている。日本銀行(日銀)は、 2020年11月に保有する株式を4,340億ドルに増やし、 日本の政府年金投資ファンドを上回り、国内最大の国内株式保有者となった。
日本銀行による株式購入は新たなマイルストーンに到達
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日銀は2010年に初めて株式を購入した中央銀行であるため、このマイルストーンは世界の政策立案者の注目を集める可能性がある。
日本銀行が株式を購入するのはなぜなのか? 何十年もの間、日本は他国と比較して一貫して低い経済成長率を経験してきた。日銀の成長を後押しするための最善の努力にもかかわらず、この傾向は2008年の出来事の後も続いている。
何十年もの間、日本は他国と比較して一貫して低い経済成長率を経験してきた
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日銀は型破りな政策に精通しているわけではなく、株式購入が株式市場に安心感を与え、その結果、より高いレベルの投資を促進すると信じている。これらの購入が始まって以来、225の日本の大企業を追跡するインデックスである日経225は約160%のトータルリターンを生み出した。そして、自作自演相場で日本の株式市場はついに30年以上前の水準を超えてきた。
日経平均(月足)
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株式の4,340億ドルは決して少額ではないが、日銀の総資産である6.7兆ドルと比べると見劣りする。総資産には日本国債 5.1兆ドルと国内社債594億ドルが含まれる。これらの数字は、現在バランスシートに7.4兆ドルの資産を保有しているFRBを含む他の中央銀行と一致している。しかし、FRBが株式の購入も開始するかどうかはまだ分からない】
出所:NLI研究所、2020年
注:2020年11月30日現在のデータ。換算率1円= 0.0096米ドルによる数値。
出所:Investment Watch
MMTでは必然的に、より良い世界―ただし私たち庶民よりもはるかに賢い学者様が計画した世界―を生もうとして、 短絡的な愚策が次々と考案される。 そして、取り返しのつかない大失敗がもたらされるだろう。
「2008年の銀行救済の後、新自由主義はいかなる意味でも信用を失った。これは、新自由主義が消えたということではない。むしろ反対に、依然として政治経済を席巻するのだが、それはもはや、確固たる促進惰性的な死に損ないの欠陥(default)として、そこに存在し続けるのだ」(マーク・フィッシャー)
「私にとって自明なのは、米国ではベーシックインカム(所得保障)を導入したようにみえることだ。もちろん、最初は「緊急対策の一環として」である。米国経済は政府支出(主に非生産的な無償の給付あるいは無益な戦争)とFRBの膨れ上がるバランスシートに完全に依存するようになるだろう。パウエルは「かなり支離滅裂なつぶやき」を新たな高みに引き上げたようにみえる。景気が予想よりも早く回復した場合、FRBは利上げを検討するかと聞かれ、次のように回答した。「利上げについては考えていない。利上げについて考えることすら考えていない。考えているのは、この経済を支援することだ。この声明を私なりに解釈すると「米国の財務省・企業・家計が膨大な債務残高を抱えているため、利上げは選択肢にない」となる。現在、経済は1ドルの経済成長を製造するために7ドルを超える負債を必要としている。成長のための資金を負債に依存していることを考えると、金利の上昇は本質的に破壊的である」(マーク・ファーバー)
1ドルのGDP成長を生み出すために必要とされる政府支出
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現在は、将来から借りてきた借金で食っている先送り経済となっている。これでは、やがて若い世代の怒りが爆発するだろう。人間は飯が食えているうちは現状維持で変われないが、すでに食えていないのかもしれない。
現在のバブルでカンカン踊りを楽しむのはいいが、将来、どういう結末が訪れるのかを頭に入れておく必要がある。今だけカネだけ私だけの世の中ではあるが、不始末には後始末が待っている。MMTの世の中になり、誰も気にしていないが…。
大衆は「みんなと同じ」だと感じることに苦痛を覚えないどころか、それを快楽として生きている存在だと、オルテガは指摘した。
【大衆は、急激な産業化や大量消費社会の波に洗われ、自らのコミュニティや足場となる場所を見失い、根無し草のように浮遊を続ける。他者の動向のみに細心の注意を払わずにはいられない大衆は、世界の複雑さや困難さに耐えられず、「みんなと違う人、みんなと同じように考えない人は、排除される危険性にさらされ」、差異や秀抜さは同質化の波に飲み込まれていく。こうした現象が高じて「一つの同質な大衆が公権力を牛耳り、反対党を押しつぶし、絶滅させて」いくところまで逢着するという】
NHKテレビテキスト「100分 de 名著」『オルテガ「大衆の反逆」』 2019年2月
いずれにせよ、「個人の自由と自由市場」が、美辞麗句の“目的”を並べたてて同調圧力をかけてくる全体主義者たちに破壊される流れにある。
ポピュリズムもバブルも悲劇しかもたらさない。西部邁氏によれば、大衆という人種は、「わかりやすい単純模型」に簡単に飛びつく愚かな人々である。大量の人間が飛びつくものに、ろくなものがあった試しがないのである。相場の世界では、流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。
「人生はまことに短いから、命を賭すほどの最高の価値はなかなか見つからないかもしれないが、最高の価値を見つけることが一番好きだと構えてこその人間なんだから、それを見つけるべく暮らしなさい」と。(西部邁)
現在の最強通貨は英国ポンド
現在の為替市場で最強通貨はポンドである。
以下のチャートは、筆者の順張り売買システム「メガトレンドフォロー」の売買シグナルである。(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
ポンド/ドルは日足、4時間足、1時間足、30分足、15分足のすべてのタイムフレームで買いシグナルが点灯中である。
ポンド/ドル(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
株価連動通貨の豪ドル/円は、日足と4時間足は買いシグナルが継続しているが、1時間足、30分足、15分足は売り買いまちまちのシグナルを発している。
すべてのタイムフレームで売りや買いがそろう相場が強いトレンド相場である。
豪ドル/円(日足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
豪ドル/円(週足)
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出所:楽天MT4・石原順インディケーター
豪ドル/円の相場の上値がどこまで伸びるかは、米国株がどこまで上がるかにかかっている。西暦末尾1の年のNYダウのサイクルは5月いっぱいまで上昇となっている。
西暦末尾1の年のNYダウのサイクル
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一方、豪ドルのシーズナリーチャート(過去20年間の平均)を見ると、豪ドル買いの賞味期限は、4月いっぱいまでで、5月は急落のシーズンである。
豪ドルのシーズナリーチャート(過去20年間の平均)
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そのあたりのサイクルを頭に入れながら、豪ドル/円相場を観察していきたい。
2月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
2月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「今後のテック株をどう見るか」・「手数料ゼロのからくり」・「日本のバフェット指標」というテーマで話をしてみた。今中さんのテック株分析は面白くて役に立つ! ぜひ、ご一聴を!
今中能夫さんの注目銘柄
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ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
2月24日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/1/5/-/img_157fccf31634efb8bf7ecb159c5ece88155548.png)
(石原 順)
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