不安定地合いの日経平均、上昇基調へのハードルは高い?押し目を確認
トウシル / 2021年3月8日 12時49分
不安定地合いの日経平均、上昇基調へのハードルは高い?押し目を確認
日経平均は2週連続下落。「下げ止まるサイン」も出現
3月相場入りとなった先週末5日(金)の日経平均終値は2万8,864円となりました。前週末終値(2万8,966円)からは102円安、週足ベースでも2週連続の下落です。
■(図1)日経平均(日足)とMACD(2021年3月5日取引終了時点)
あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、反発するスタートとなりました。
1日(月)の取引では、先週に下抜けてしまった25日移動平均線や2万9,000円台を回復、翌2日(火)の高値(2万9,996円)が節目の3万円台に迫るなど、昨年の夏場以降から頻出している「月末にかけて下落し、月初に切り返す」という値動きのパターンを踏襲するような格好でしたが、その後は売りに押されて失速していきました。
4日(木)には、25日移動平均線と2万9,000円台を再び下抜け、5日(金)はさらに前日比で600円以上も下げる場面も見られました。下段のMACDについても下向きが続いているほか、ヒストグラム(MACDとシグナルの差を棒グラフで表したもの)も下方向に伸ばしており、チャートから受ける印象は前週と比べて改善したとは言えない状況です。
それでも、5日(金)のローソク足は下ヒゲの長い陽線となっており、「売り圧力を跳ね返した」形ですので、ひとまず下げ止まるサインもあります。
今週は週末のメジャーSQ(特別清算指数)が控える中で需給的な思惑が絡みやすくなるほか、来週は米FOMC(米連邦公開市場委員会/16~17日)・日銀金融政策決定会合(18~19日)が予定されており、不安定な相場地合いになると思われます。こうした地合いが様子見姿勢となって、膠着(こうちゃく)感を強める展開も想定されますが、上方向と下方向の両方のシナリオを念頭に置きつつ、相場に臨んでいくことになります。
トレンドの上昇基調が崩れた?「23.6%押し」で株価反発の余地が残る
次に、日経平均のトレンドと相場のリズムについて見ていきます。
■(図2)日経平均(日足)の動き (2021年3月5日取引終了時点)
上の図2は前回のレポートでも紹介した、昨年10月末を起点にして、1月末の下落時と結んだトレンドラインと、株価の押し目の想定を示したものです。
トレンドラインについて、「ここをサポートにできれば、反発への萌芽(ほうが)となる可能性がある」ことを指摘しましたが、先週末にかけての株価下落によって明確に下抜けてしまいました。トレンド的には上昇基調がいったん崩れた可能性が出てきたわけです。
その一方で、押し目としてはまだ株価が反発する余地があります。チャートを少し過去にさかのぼると、1月末から2月にかけての時は、10月末から直近高値の上昇幅に対する「23.6%押し」のところで株価が反発していきましたが、足元では5日(金)の終値で微妙に下回っているものの、誤差の範囲と考えることもできます。
相場のリズム的には、「ひとまずここを押し目として意識し、戻りを試してみる」動きがでてきてもおかしくはなさそうです。早い段階で25日移動平均線を超えることができれば、買いに勢いが出てくることも考えられます。株価が上昇していった場合には、前回と同じく、直近高値どうしを結んだ「上値ライン」を超えられるかが注目されます。
ただ、戻りの勢いが弱ければ、「38.2%押し(2万7,747円)」、「50%押し(2万6,831円)」が次の押し目となります。ちなみに、38.2%はちょうど75日移動平均線と同じ株価水準、50%押しについても昨年12月にもみ合っていた時の株価水準ですので、仮に下落が進んでいったとしても、サポートとして機能しそうなため、押し目として意識されそうです。
TOPIXは日経平均よりも底堅い状況
また、同じ視点でTOPIX(東証株価指数)についても見ていきます。
■(図3)TOPIX(日足)の動き (2021年3月5日取引終了時点)
TOPIXについては、株価がトレンドライン、23.6%押しの両方を維持しており、日経平均よりも底堅い状況と言えます。メジャーSQが控える今週は需給要因が先行しやすいですが、TOPIXが堅調に推移できれば、日経平均の荒い値動きが抑制されることも考えられます。
また、需給といえば、先週の日本株市場は、「円安・株安」という局面が多く見られました。一般的なセオリーでは、円安は株高につながることが多いのですが、逆の動きをたどったわけです。
恐らく、米株市場が荒れ気味になってきたことで、外国人投資家が日本株を売却(株安)して、資金を引き揚げる(ドル買い・円売り)動きになっているからと思われます。いわゆる外国人売りですが、この動きが一巡すれば、ある程度の株価反発が見込まれます。
NYダウの値動きは落ち着きそう。NASDAQはしばらく底固めの動きに
続いて、米国株市場の動きについても確認していきます。
■(図4)米NYダウ(日足)とMACD (2021年3月5日取引終了時点)
NYダウ平均株価もTOPIXと同じく、値動きは荒っぽくなっていますが、75日移動平均線がサポートとして機能したほか、週末の5日(金)時点でトレンドラインと25日移動平均線を終値ベースで維持しています。下段のMACDも上向きとなっており、相場が落ち着きそうな雰囲気が感じられます。
■(図5)米NASDAQ(日足)とMACD (2021年2月26日取引終了時点)
NASDAQについては、前回のレポートでも想定していたように、先週末の5日(金)時点で、株価が75日移動平均線を下回ったほか、MACDも0pラインを下抜けてきました。
マイナス方向に延びたヒストグラムが縮小してプラスに転じ、株価が25日移動平均線を上抜けすることが上昇基調に復帰する条件であるため、しばらくは底固めの動きになりそうです。
また、昨年3月下旬を起点に描いたギャンアングルでNASDAQの動きを見てみると、先週末5日(金)の株価が「2×1」ラインのところで下げ止まったことが分かります。これまでは、25日・75日移動平均線をサポートにしながら、「1×1」ラインと「2×1」ラインに挟まれたエリアの中心で推移してきましたが、今後は「2×1」に寄せていく動きもシナリオとして浮上してきました。
NASDAQが主戦場となっている、ネット・IT・ハイテクなどのグロース株はこれまでの株価上昇に大きく貢献し、投資家から多くの資金を集めてきただけに、グロース株の不調が続くとバリュー株の受け皿だけでは賄いきれない影響がでてきますので、やはり、相場全体として上を目指していくにはNASDAQの復調が欠かせません。
したがって、今週は売り一巡後に株価がある程度まで反発、次第に様子見ムードに変わっていき、下振れを警戒しつつ方向感を探っていく展開になりそうです。
(土信田 雅之)
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