下落・反発の日経平均をどこで買うか?3月の買いポイント
トウシル / 2021年3月1日 14時42分
下落・反発の日経平均をどこで買うか?3月の買いポイント
今週の予想
今週から来週のSQにかけ、大きく調整するところは押し目買い有利
先週末に1,202円急落した日経平均株価、3月相場はどう見ればよいでしょうか。
基本は今年になって「もうはまだなり」の格言に絡む要注意の季節的アノマリー(経験則)としての「2月節分天井、3月彼岸底」をどうとらえるかということになります。
「2月節分天井」の動きですが、年末・年始の株高と新年への期待から1月は堅調に始まり、その余韻が2月まで続き、高値をつけることです。
その後、買い疲れが出て上値が重くなり、3月には確定申告と年度末の決算もあって調整しやすくなります。このとき、大口の個人投資家は税金の捻出のために株を売り、機関投資家は年度末でいったんポジションの調整を行います。3月に「彼岸底」を打てば、4月の新年度への期待が高まり、再び株価は上昇に向かうということになります。
3月の買いポイントは?
以上を考えると、まず3月の1つ目の買いポイントは、3月2週目の12日(金)の3月メジャーSQ(特別清算指数)に向けて下落すれば、買いチャンスとなります。
その後は、米株式の下落があれば連動しますので、そこでも買いポイントがあるかもしれません。
どこまで下がるのかは結果を見ないと分かりませんが、経験則では相場が調整気味のときは、SQの週の中頃・以降に安値をつけやすく、また、普通は調整というものは7~8%必要ですので、3万円の8%というと2,400円下がったところの2万7,600円水準があります。
本格調整は10%で3,000円近い下げですが、現在のような金余りの環境では、コロナ相場は継続するので、下値にも限界があります。
また、500円、1,000円は下げ止まるフシとして作用しますので、ここからであれば2万8,500円、2万8,000円、2万7,500円を下値ポイントとして想定しておくことができます。
先週末の日経平均の1,202円もの大幅下落のきっかけは、米長期金利の上昇ピッチが早くなり、1年以上も前の状態に急上昇したことです。長期金利の上昇の背景にあるのは、世界的にコロナワクチンの接種が進むことで、経済活動が正常化へ向かうとの期待で借入金コスト高となり、株価の上昇が止まってしまうという懸念があります。
ただ、現時点では新型コロナウイルス感染の終息は不透明であり、各国の中央銀行がすぐに金利政策を引き締める可能性は低いと思われます。
そういう意味では、今回の下げはスピード調整と見てよく、大きな下げがあれば買いチャンスといえます。ただし、今後も長期金利の動きには注意が必要です。
今週の指標:日経平均株価
先週、米国の長期金利の上昇から週後半に米国株が下落したことをきっかけに、26日(金)は▲1,202円の2万8,966円と今年最大の下げで、2万9,000円を割り込んで引けた日経平均。
今後、日経平均が調整入りするためには、NYダウ平均株価がさらに大きく下げる必要がありますが、チャート上は、まだ余裕があります。
しかし、日経平均のチャートは2月4日の2万8,325円を切ると短期の調整入りとなります。そのカギを握るのは、3月第2週、12日(金)のメジャーSQがポイントとなります。ここに向かって下げてくれば、1つ目の買いチャンスといえるでしょう。さらなる下値のメドは、NYダウの調整の程度にかかってきます。
今週の指標:NYダウ平均株価
先週、長期金利の上昇が続く中、NYダウは続伸を続け、最高値を更新しましたが、25日(木)は長期金利が2020年2月14日以来の急上昇となったことで、借入コストの上昇が経済成長の阻害要因となる懸念から、主要3指標そろって大幅下落。NYダウは2日続けて大幅下落となり、26日(金)は▲469ドルの3万0,932ドルの下落となりました。
チャート(柴田罫線)では、上向きの先細り三角形の保ち合いで、上値抵抗ラインに3万2,000ドルで到達して急反落の形となっています。しばらくは高値更新には時間を要するかもしれません。
これを見る限り、当面は3万ドルでいったん止まって調整が必要な形です。実質的には金利も低い水準でマイナス金利ですが、経済の今後の回復に伴うインフレや金利の上昇を織り込んでいるため、その速さが問題となります。VIX指数(恐怖指数)は再び上昇基調にあり、投資家の不安を表しています。そのため金利の上昇を警戒した調整が続くかもしれません。
今週の指標:ドル/円
今週のドルは下げ渋る動きとなりそうです。
2月23~24日にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言で、米国経済のスムーズな回復に慎重な見方を示し、物価目標の達成には3年以上かかると述べました。ただし、財政支出による景気拡大の期待は持続しており、長期金利の上昇は一服したものの、インフレ鈍化の可能性は低いととらえられています。このため、リスク回避のドル売り・円買いは拡大する可能性は低いとみられています。
先週の結果
日経平均は今年最大1,202円の下げ幅
先週末の日経平均は、▲1,202円の2万8,966円と大幅に急反落。先週の予測では、基本的に米株式に変動がなければ、3万円水準でもみ合いとしました。
結果的に、休日を挟んで25日(木)まで3万円を中心に大きな上下動でしたが、26日(金)は前日の米株式が長期金利の上昇を嫌気して、大幅下落となったことで、日経平均は1,200円を超す大幅な急落となりました。私の2~3月の予測の主要テーマとして「もうはまだなり」「まだはもうなり」と「節分天井、彼岸底」を組み合わせたシナリオの中で、3月に大きな調整の可能性を述べていました。
例えば、2月9日(火)公開記事の予測の最後のコメントで「目先は、高値更新となれば楽観論が出てきます。これまでの上昇は、世界的超金融緩和が継続しているためですが、いつまでもそれが続く保証はありません。『金融緩和縮小』の兆しを意識したとき、下落することになりますが、いつそうなってもおかしくありません。相場のパターンでいうと、2020年1月にいったん調整を入れ、2月後半にコロナ・ショックという急落相場が起こりましたので、2月は注意が必要です」としました。
続いて15日(月)公開記事のコメントでは「安心感が出てくるところが、過去の経験則ではリスクが出てくるところでもありますので注意が必要です。世界的な『カネ余り』の動きを見てみると、前回のゲームストップの急騰に続いて、今度は『ビットコイン』の急騰が出てきました。世界の商品市場はマネーゲームとなっています。大豆、トウモロコシといった穀物価格の上昇も目立ちます。こうした投機的な動きをFRB(米連邦準備制度理事会)や米政府が黙って見ているとは思えません。何らかの規制に動けば、最高値更新を続ける主要3指標に影響が出ることになります。投資を控えてもうけ損なったといっても大損することにはなりませんので高値圏では注意が必要」としました。
さらに先週22日(月)公開記事のコメントで、「『もうはまだなり』の強気の相場感が支配しており、チャートを見る立場からは要注意です。本当の強気相場であれば、日経平均が3万0,714円で30年6カ月ぶりの高値をつけた先週2月16日(火)の値下がり銘柄数が1,251となっているのは異常といえます。このような直近の大きな上昇は『仕上げ局面』を感じさせますので、短期の『仕上げ局面』で、スピード調整を待つスタンスをとってもよいかもしれません。これまで何度か書きました『2月の節分天井、3月の彼岸底』というものに従えば、3月は要注意かもしれません。」としました。
市場でのコメントは、強気の材料しか出ていませんが、冷静に相場の流れを見ていると、週末の1,202円の下げは不思議でも何でもありません。
改めて先週の日経平均の動きを見ていくと、週始めは反発の後、23日(火)の休日を挟んで、24日(水)の▲484円の2万9,671円、25日(木)の+496円の3万0,168円と大きな上下動に。26日(金)は、前日の米国市場で長期金利が上昇したことを嫌気し、主要3指標そろって大幅下落となりました。これを受けて26日(金)の日経平均は、米国株先物の時間外での下落や上海株、香港ハンセン株価指数などのアジア株安もあったことで、▲1,202円の2万8,966円と今年最大の下げ幅を記録しました。
引け後の米国市場では、NYダウは引き続き▲469ドルの3万0,932ドルと続落しましたが、ナスダックは+72ポイントの1万3,192ポイントと反発し、まちまちの動きでした。
これは長期金利の上昇が一服したことで、先週、下げていたハイテク株が買い戻され、一方、エネルギーや金融などの景気敏感株が売られて、NYダウの下落となりました。ドルは買われ1ドル=106.61円の円安となっており、シカゴの日経先物は+35円の2万9,285円でした。
(出島 昇)
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