やりがいで働く人、お金のために働く人の違い!4月から「70歳まで働ける社会」到来
トウシル / 2021年3月9日 7時35分
![やりがいで働く人、お金のために働く人の違い!4月から「70歳まで働ける社会」到来](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_31252_0-small.jpg)
やりがいで働く人、お金のために働く人の違い!4月から「70歳まで働ける社会」到来
2021年4月、70歳現役社会の実現に向けて動き出す
改正高年齢者雇用安定法が4月に施行されます。これは65歳雇用確保に取り組んできた、これまでの法律を一歩「70歳雇用確保」へ進めるものです。
すでに、65歳まで働ける環境の確保は企業の義務となっています。定年を65歳にするか、継続雇用制度を導入して60歳以降も再雇用するかが基本的な選択肢です(60歳より若い定年は認められていない)。
公的年金の受給開始年齢を一律に65歳まで引き上げたことと、65歳現役社会への移行はセットだったわけですが、この春からは「70歳まで働ける社会」へ動き始めます。
といっても、公的年金の受給開始年齢は65歳のままですから、食っていけないから70歳まで働く、というわけではありません(現行の年金給付の条件はそのままに、60~75歳までの間で好きなタイミングで受け始めることができる。65歳より早くもらえば減額、遅くもらい始めれば増額された年金額を一生涯受け取る)。
今回の改正のおもしろいところは、65歳で起業して会社と業務委託契約を取る方法や、会社が関与しているNPO(非営利組織)などへの出向も「65歳以降の雇用確保」として認められることです。継続雇用だけが60歳代後半の働き方ではないという考え方があります。
さて、こうした時代の変化に、私たちはどう向き合うべきでしょうか。そして資産運用はどう考慮するべきでしょうか。
「70歳まで働かされる」のではなく「自分で辞めどきを決める」時代へ
ところで、今回の法改正を「なんだよ、70歳まで働かされるのか!」と理解するのは大間違いです。これは会社には70歳まで雇用確保を求めていますが、あなた自身は何歳で辞めようとも自由であるからです。
もともと、あなたは「定年」や「65歳継続雇用」など気にせず、いつだって仕事を辞めることができます。そうしないのは経済的安定が確立していないからです。
老後の大きな安定収入となる公的年金は65歳の給付水準を据え置きますから、70歳現役社会になっても、あなたは65歳で辞めてリタイア生活に入ることもできます。つまり60代後半は、「働かされる」という発想を捨て、「自分で辞めどきを決める」年代なのだ、ということです。
もし、あなたが65歳になったとき、「お金を稼がなくてはいけないから」という理由で働き続けるのか、「お金の問題はひとまずおいて、やりたいかどうか」を働く理由とすることができるかは、あなたの人生において大きな違いとなってくるでしょう。
しかし、あなたの老後資産形成が十分ではないと考えるなら、仕事のやりがいはともかくとして、働き続けることを考えなければなりません。
できれば、仕事のやりがいだけを考えて65歳の決断をしたいところです。そしてそれは、究極的にはあなたの「65歳時点の資産残高の問題」となります。
50代までの計画的な資産形成が重要になる
あなたが65歳になったとき、退職金・企業年金制度の資産額を含めて、3,000万円以上持っているなら、イヤな仕事をせずに引退することができます。あるいは年100万円以下の収入でも気にせず、やりたい仕事を行うこともできます。
しかし、65歳時点で資産額が1,000万円くらい(退職金以外にほとんど貯められなかった)の場合は、70歳までフルタイムの仕事を求めることになるでしょう。
だとすると、重要になってくるのは、現役時代の資産形成、老後に向けた財産づくりということになってきます。
30~40代の人がiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)に加入したり、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を利用して資産形成を行うことは、究極的には「自分の辞め方を、自分で決められるようにするため」なのです。
つみたてNISAについては「満額の年40万円×自分の65歳までの年数」で考えれば積み上がる元本額が分かります。運用益について過剰な期待は禁物ですが、20年以上の時間をリスク資産に投じられるのなら、元本の1.5倍くらいを受取額に見込んでもいいでしょう(期間と運用利回りによって異なるのであくまで概算ですが、20年で年4~5%くらい稼ぐイメージ)。
iDeCoについては、下記のパターンどちらかを自分の65歳までの年数(65歳まで積み立て可能になる)でかけ算して、現在の法律に基づく元本額を見込んでおくといいでしょう。運用収益についてどのくらいを見込むかはお任せします。
・企業年金なし会社員月2.3万円
・公務員と企業年金あり会社員 月1.2万円
ただ、iDeCoについては、2022年に制度改正があり、会社員の場合は他の企業年金や企業型DC(確定拠出年金)の状況によりiDeCo限度額が月0.0~2.0万円に変動するので、積み立て元本が上積みできる人と減ってしまう人が出るため、ご注意ください(iDeCo限度額が減る人は、企業年金が充実している、ということです)。
そして、退職金・企業年金の受取見込額をこれに加えます。社内制度については多くの人が無理解ですから、自分の老後をマジメに考えるいい機会です。ぜひリサーチしてみてください。
実はもう65歳以降働ける会社が3社に1社?
ここまで「これから70歳現役社会へ移行が始まる」としていますが、あなたが思ったより早く、その時代はやってくるかもしれません。
厚生労働省の「令和2年高年齢者の雇用状況」によれば、65歳定年企業は全体の18.4%を占めています。大企業は11.9%と低いものの、中小企業では20%を超えそうな勢いです。
66歳以降働ける制度のある企業は33.4%もあります。こちらも大企業では28.2%と下がるものの、中小企業では、すでに65歳を過ぎても働ける環境が整っていたりします(元気ならいつまで働いてくれてもいいよ、という感じでしょうか)。
同じ調査では、70歳以降働ける制度のある企業も31.5%あるというから驚きです。
あなたが50代であれば、もう「70歳まで働ける」条件は得られる可能性が高いと思います。そのとき、
「自分がやりたいかどうかで65歳以降働くかを決める」
「自分で辞める年齢を決める」
という選択をするため、iDeCoやつみたてNISAの資産形成をがんばってみてください。
(山崎 俊輔)
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