日経平均3万円でも「日本株は割安」と判断する理由
トウシル / 2021年3月9日 7時40分
![日経平均3万円でも「日本株は割安」と判断する理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_31258_0-small.jpg)
日経平均3万円でも「日本株は割安」と判断する理由
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]日経平均3万円でも「日本株は割安」と判断する理由」
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日経平均3万円はバブルか?
日経平均株価が一時3万円を超え「これはバブルだ、いつか来た道だ」と声高に警鐘を鳴らす人が出てきています。私は、そうは思いません。日経平均が一時3万円を超えたのは、利益の拡大を織り込んで上昇してきた「普通の株高」と考えています。
ご参考までに、以下、東証一部主要841社【注】の純利益推移と、先行きの予想をご覧ください。
【注】東証一部主要841社:純利益の増減益率が東証一部全銘柄とおおむね同じになるように、業種バランスなどを考慮して楽天証券で選んだ841社
東証一部上場3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/9/-/img_4918c6bd2bbc2c3d8b0d0fdfbcf80ed022518.png)
上記予想に基づき、東証一部全体が割高であるか割安であるか考えます。判断基準として、日本だけでなく世界中で使われているPER(株価収益率)を使います。
上記予想をベースに東証一部上場企業全体のPERを推定します。日経平均3万円、TOPIX(東証株価指数)1,975ポイントを前提に、来期(2022年3月期)予想PERを計算すると、17.5倍です。世界各国の株価指数PERは、おおむね10~20倍に位置しています。歴史的にも、だいたい10~20倍で推移してきています。東証一部の予想PERはその範囲に入っているので、日本株は「妥当な水準」と考えています。
配当利回りやPBR(株価純資産倍率)まで考慮し、さらに、デジタライゼーションや脱炭素で日本企業がこれから活躍すると考えると、日本株は「割安」と判断しています。
20世紀の終わり、バブルとバブル崩壊を経験した日本株
日本株は1980年代後半にバブルを、1990年以降バブル崩壊を経験しました。
日経平均(年次推移):1973~2021年(3月8日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/4/-/img_94b6f576d09dc1b4e457776b18364a2935865.png)
1973年当時、日経平均は5,000円前後でした。東証一部のPERは約13倍でした。この時の日本株は「割安」でした。
ところが、その後、日経平均はどんどん上がり続け、1989年(平成元年)末には3万8,915円の史上最高値をつけました。この時、東証一部のPERは約60倍まで上昇し、10~20倍が妥当と考える世界の常識をはるかに超えた「バブル」となりました。
バブルは、平成に入ってから崩壊しました(平成元年=1989年)。ただし、「平成の構造改革」で復活した日本株は2009年以降、再び、上昇トレンドに戻りました。今はPER10~20倍の範囲に戻りました。利益で説明できる「実力」によって、日経平均3万円まで戻ってきたと考えています。
上のグラフは、1973年から2021年3月までの日経平均の動きと、そのトレンドラインを示しています。トレンドラインは、企業価値から説明できる日経平均フェアバリュー(妥当水準)の推定値です。2020年末時点で2万7,850円まで上昇しています。2021年には、3万円を超えていく見込みです。このように、30年前にバブルだった日本株も、今は財務内容や収益力で説明できる水準となりました。
「失われた20年」から「復活の20年」へ
平成元年(1989年)は、日経平均が史上最高値(3万8,915円)をつけた年です。まさに、「バブル崩壊」「失われた10年」といわれる1990年代がスタートしたところでした。平成に入って最初の10年・20年は、「失われた10年」「失われた20年」と言われます。ただし、今振り返ると、その時に行った構造改革によって、日本企業は復活しました。
平成・令和の日経平均推移:1988年12月末~2021年3月(8日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/4/4/-/img_44db0678ce77b0467184fa4344b78eac46777.png)
平成最後の10年間(2010~2019年)は、構造改革の成果によって、日本企業が新たな飛躍を始めた時と考えています。令和の最初の10年(2020~2030年)は、その成果を刈り取っていくタイミングと考えています。日本株は、失われた20年の後、復活の20年に入っていると考えています。
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(窪田 真之)
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