投資でお金を増やしたい人が陥るNG思考
トウシル / 2021年3月24日 6時0分
![投資でお金を増やしたい人が陥るNG思考](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_31488_0-small.jpg)
投資でお金を増やしたい人が陥るNG思考
投資を「目的」にしてしまう人は投機的なスリルを楽しみたがる
いきなりですが、一つ質問です。あなたが投資を「何か他のもの」と同列に置くとしたら、相当するのは何でしょうか。
ちょっと考えてみてください。
ある人は「資産形成」という視点から、「預貯金」と投資を同列に置くかもしれません。リスクの有無、期待リターンが差というわけです。これはこれで間違いではありません。
ある人は似たようなものとして、競馬をなぞらえます。投資をしたとき予想する楽しみ、スリルや一獲千金のようなギャンブル性を、投資に見いだします。投資をどう楽しむかは人それぞれなので、「これはダメ」というつもりはありません。
しかし、スリルを楽しむものと投資を位置づけている人は、それ自体を投資の「目的」としてはいないでしょうか。
そして、投資の目的は本当にそこにあるのでしょうか。
あなたの資産形成はすべて「手段」であって目的ではない
あなたの資産形成は何を目的としているのか、ときどき問いかけてみることをオススメします。
資産形成には何らかの目的があるはずです。
子どもが高校や大学に通うことになったときのため、学費を貯める人には明確な目的があります。マイホームの購入を目指して頭金を貯めている人にもはっきりとした目的があります。
そこで、リスク資産での投資を組み入れるかどうかは判断が必要ですが、資産形成が無目的に行われることはまずありません。学費準備の一部に投資を組み入れるなら、そこにもきちんと投資の目的があります。
ぼんやりとした安心の確保、ということもあるでしょう。病気やケガ、あるいは不意の失職などを考えれば、3カ月分くらいの生活費が定期預金にあるだけで、ずいぶん安心です。雇用保険や健康保険の給付ももらえるとしても、やはり生活の不安は大きく減少します。
老後の備えも同じです。金額目標がはっきりしていなくても、将来の不安のために積み立てや投資をしている人がたくさんいます。
金融広報中央委員会の調査では、資産形成の目的の第1位は老後への備えとなっています。
アーリーリタイアメントを志す人も同様です。自分がやりたい何かを持っているからこそ、私たちは資産形成を試み、目の前の生活を切り詰めます。
投資は人生の目的ではなく、本来的には手段であるわけです。
あなたはその「手段」にどこまでリソースを割くべきか
私たちはしばしば、投資そのものを目的にしてしまいがちです。もし、あなたの投資が本来は目的であって、手段ではない、と気づくことができたらそれは大きな発見だと思います。
しかし、その先にまだ考えるべき課題があります。あなたは「手段」にどこまでのリソースを注ぎ込むべきかという問題です。
定期預金で資産形成をしようとする人は、低金利と安心のトレードオフを受け入れつつ、「何もせずに元本が保証され、少しは利息がつく」という運用を選択しています。
仕事やプライベートに預金は一切邪魔をしません。しかし、株式や投資信託を用いて投資を行う人は、スリルを目的としないとき、どこまであなたの人生の時間的資源を配分するべきなのでしょうか。
毎日、テレビ番組の「モーニングサテライト」を視聴し、「トウシル」に毎日アクセスするのが楽しい人は、毎日数時間をマーケットとつきあっても苦にならないでしょう。
しかし、マーケットニュースがあなたの本業にはほとんど無関係で、情報収集や分析をするのが「しんどい」と思うのなら、賢い省力化を図ってもいいわけです。
例えば、期待リターンは落としても、投資信託やETF(上場投資信託)メインのトレードにしたり、売買頻度を数年以上のスパンに据えるだけで、いわゆる「投資の負担」は軽減させることができます。
私は銘柄の選択、売買判断はファンドマネジャーに任せて、自分の仕事とプライベートの充実に時間を注ぎたいと思っているので、運用のほとんどは投資信託に委ねています。
判断は人それぞれで構いません。しかし、「投資は目的ではない」という原点に立ち返って、あなたはどれくらいのリソースをそこに割くか、考えてみることをオススメします。
金持ちの次のステージ、「幸せ持ち」になろう
今回、ちょっと不思議なコラムのように思うかもしれませんが、お金を増やすことそのものを否定しているわけではありません。
しかし、お金を増やすことそのものを目的としてしまうと、本来の幸せを見つけることを忘れてしまいがちです。
やはり、世の中の幸せの多くは「お金で買う」ものです。もちろん、お金をあまり使わずに幸せを得ることのできる「幸せ持ち」もいますが、お金が多いほうが幸せを多く買えるという基本構図も否定できません。
投資教育家の先達である岡本和久さんは、お金を持つことの目的は「幸せ持ち」になることだと説きます。
私も、お金を増やすことの本来の目的はそこにあると思います。
お金がたくさんあるのに幸せはない、というのがもっとも不幸なことです。逆にいえば、資産形成を通じて、多くのお金を手にした人は、そのお金を上手に使って幸せ持ちになる入り口にはたどりついているのです。
さて、あなたの人生の目的を「投資」にするか「投資のその先にある幸せ」にするか、考えてみてください。
(山崎 俊輔)
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