つみたてNISA、どの投資信託を選べばいいの?
トウシル / 2017年10月23日 13時0分
つみたてNISA、どの投資信託を選べばいいの?
これまで「つみたてNISAってどんな制度?」「つみたてNISAのメリットと注意点って?」について書きました。今回は活用法について考えていきます。
最初に押さえておきたいのは、「制度」ありきで考えないこと。
「つみたてNISA」に関心をお持ちの方は制度を使うのが目的ではなく、稼いだお金の一部を貯蓄や投資を回して、長期的にお金を育てていく(=資産形成を行う)ことが目的ですよね。
ですから、制度を目いっぱい使うとか、効率的に使おう、と考える前に、まずは家計の現状把握(資産や負債、収支など)や、投資する目的、運用できる期間、投資に回す金額などを整理しましょう。大事なのは、運用方針を明確にした上で、制度をどう使うかを決めることです。
つみたてNISAに向いているのは、対象となっている投資信託(インデックス投信が中心)を活用して、年間40万円以内でコツコツ資産形成をしていきたい人です(iDeCoや企業型DCと併用して使うとより効果的)。
この制度は①運用益が非課税、②投資信託の手数料が低い(ノーロード、運用管理費用も上限あり)、③非課税期間が最長20年――という特徴があります。長期で効率的な運用ができるので、金融資産全体で考えると、なるべく期待リターンの高い商品で運用するのが合理的です。
そもそも、つみたてNISAは「株式に投資する投資信託」か、「株式を含む資産複合型(バランス型)」が対象ですが、長い期間で運用していける人は「株式に投資する投資信託」をメインに据えたいところです。
株式を保有していない人は、世界の株の投信を
これまで世界の株にまとめて投資するには日本、先進国、新興国をそれぞれ購入するか、日本と日本を除く海外(先進国+新興国)を組み合わせて持つ必要がありました。
つみたてNISAでは、1本で日本を含む世界の株に投資できる商品も対象となっています。
具体的には、FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスに連動する投資信託や、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)に連動する投資信託です。初心者の方からは「複数の投資信託を組み合わせるのは難しい」「面倒」という声をよく耳にします。
まずはこうした幅広く分散された商品を購入していく方法もあります。
あるいは、すでに日本株(個別株でも投資信託でも)を持っている場合は、海外の株に投資する投資信託だけを積み立てていくという選択肢もあります。
たとえば、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円ベース)に連動する投資信託なら、1本で先進国と新興国の株にまとめて投資できます。あるいは、MSCI-KOKUSAI・インデックスやMSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動する投資信託のように、先進国株と新興国株に投資する投資信託を組み合わせてもいいでしょう。
繰上償還リスクの少ない商品を
日本を含む世界株に投資するタイプは新しいため商品は少ないですが、それ以外、先進国株のインデックス投信などは同じ指数に連動する商品が多く対象となっています。
どんな基準で選ぶ?
つみたてNISAでは投資信託を解約するとその枠は再利用できません。繰上償還(償還予定前に償還されること)された場合も同様です。ですから、なるべく繰上償還されるリスクの低い商品を選びたいところ。
同じ指数に連動するインデックス投資信託がたくさんある場合には、「運用実績がある(新規設定でない)」「運用管理費用(信託報酬)が相対的に低く、運用管理費用(信託報酬)の引き下げ実績がある」「純資産総額が安定的にふえている」という観点で選びましょう。
たとえば、たわらノーロードシリーズ(アセットマネジメントOne)や三井住友・DCつみたてNISAシリーズ(三井住友アセットマネジメント)、<購入・換金手数料なし>シリーズ(ニッセイアセットマネジメント)などです(資産クラスによっては残高が少ないものもある)。
ここではインデックス投信の例を挙げましたが、運用方針やプロセス、実績等を調べた上で、共感・納得したアクティブ投信を買いたい人はそれもよいでしょう。
長期で運用するなら、株式に投資する投資信託をメインに据えたいところ(金融資産全体でみたときに積立額はそれほど多くないと思われるため)ですが、値動きが大きいものは抵抗があるという人も。
本来は、投資する金額で調整する(=つみたて投資に回す金額を減らす)のが基本ですが、「値動きをもう少しマイルドにしたい」「長期で運用しない可能性もある(引き出す時期が比較的近いかもしれない)」という人は、バランス型を持つという選択肢もあります。
バランス型は中身(株式と債券だけか、不動産投信も含まれるか)や配分(国内と海外の比率や各資産の比率等)が商品によって異なるので、必ず確認しましょう。とくにリスク(どの程度変動するのか)は数値をみておきましょう。
押さえておきたいこと3つ
最後に、つみたてNISAを活用する上で覚えておいてほしいことを3つ挙げます。
(1)俯瞰する
金融資産全体をみるクセをつけましょう。その上で、つみたてNISAでは何を運用していこうかな、というふうに考えてください。
(2)続けること
つみたてNISAでは、幅広く分散された商品をコツコツ「継続的に」買っていき、長く保有することが大切。とくに、「暴落のときに積み立てをやめない」「解約しない(損を確定しない)」ことが大切です。長い目でみてください。
(3)ベストよりベターを
ここまで「つみたてNISA」の活用例についてお話してきましたが、唯一の正解はありません。繰り返しになりますが、その人の属性や背景によって、「つみたてNISA」との付き合い方は異なります。自分にとってベターな活用法を考えましょう。
たとえば、すでに投資をしている方で個別の株式を買いたい人は一般NISAでよいでしょうし、つみたてNISAの対象となっていない投資信託を買いたい人は一般NISAや特定口座で購入するという選択肢もあります。自営業の人で「節税しつつ老後資金づくりを優先したい」という人はiDeCo(個人型確定拠出年金)からスタートしてもよいでしょう。
つみたてNISAをきっかけに、自分なりの運用方針を、この機会に改めて考えてみるとよいのではないでしょうか。
(竹川 美奈子)
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