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意外と強い金価格。揺れる米利上げ時期、FRB人事が理由?

トウシル / 2017年10月20日 12時0分

意外と強い金価格。揺れる米利上げ時期、FRB人事が理由?

意外と強い金価格。揺れる米利上げ時期、FRB人事が理由?

底堅い金。ドル売りと安値拾いが支援か

 金相場は一時10月9日以来の安値となる1,276ドルを付けたが反発した。米長期金利の低下を受けたドルの下落が支援材料だった。スペイン東部カタルーニャ自治州の独立問題をめぐり、中央政府と州政府の対立が深まる中、債券など安全資産への需要が拡大したことで米長期金利が低下し、これがドル売りにつながった。

また、政治専門紙ポリティコが次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長人事に関して、トランプ大統領がパウエルFRB理事の指名に傾いていると報じたことも材料視された。パウエル氏はハト派とされており、同理事が議長に就任した場合には、米利上げが緩やかに進むとの思惑からドル売りが強まった。

 ユーロ/ドルがECB(欧州中央銀行)理事会を26日に控えていることから、ポジション調整の買い戻しが入って上昇したことも、金相場の支援材料となった可能性がある。市場では、ECB理事会で来年1月から資産買い入れ額を現在の月額600億ユーロから400億ユーロに縮小するとの見方が大勢となっている。

 市場では将来的な米金利先高観があり、金利の付かない金は買われにくくなっている。地政学的リスクの低下から、安全資産としての金需要も低下しているように見受けられる。それでも1,275ドル前後でサポートされているところを見ると、安値を買いたい向きが潜在的に多く、これが下値の堅さにつながっているのだろう。

 

中国景気の鈍化で上値が重くなった非鉄

 非鉄相場はまちまち。LME(ロンドン金属取引所)在庫は、ニッケルが1,200トン増だったが、その他は減少した。中国の7〜9月期GDP(国内総生産)成長率が1年半ぶりに減速したことを受けて、上値の重い展開ではあったが、その一方で力強さも感じる展開にある。

 中国の9月の鉱工業生産は前年同月比6.6%増(8月は6.0%増)、小売売上高が10.3%増(同10.1%増)と好調。ただし、幅広い投資動向をカバーする1〜9月の都市部固定資産投資は前年同期比7.5%増と伸びが鈍化した。アルミは反発し、2,150ドル手前まで戻した。崩れかけていただけに、この戻りは力強さを感じる。

 銅は続落。節目の7,000ドルを割り込んでおり、これを回復するには時間が掛かりそうだ。もっとも、6,700ドルを維持できれば、基調は変わらないと見ている。ニッケルは反発。高値圏でのもみ合いだが、ここで下げ止まれば、再び1万2,000ドル超えの可能性が出てくる。亜鉛は小動き。3,100ドルを維持しており、底堅さがある。鉛は大幅反落。少し上値が重くなっており、2,450ドル前後までの下落の可能性が出てきている。

 一方、中国の9月のアルミ地金生産量は261万トンとなり、前月比1.1%減、前年同月比5.6%減となった。1─9月累計では2,466万トンとなり、前年同期比5%増加した。政府の違法な製錬所の取り締まり強化に伴う閉鎖により、中国の月次のアルミ地金生産量は過去最高だった6月の293万トンから減少が続いている。政府が冬季のアルミ生産について初の規制を課す中、生産は今後も減少することが見込まれている。また、中国の非鉄金属全体の生産量は9月が444万トンで、前月比0.5%増、前年同月比3.1%減だった。1─9月累計では4,073万トンで、前年同期比4.1%増だった。

 

利益確定売りで原油反落。減産延長、シェール生産増への思惑が交錯

 原油は5日ぶりに反落。最近の上昇に対する利益確定売りが加わった。直近、イラク北部クルド自治区の不安感など中東情勢の緊張が原油相場の押し上げにつながっていたが、この日は売りが優勢に。シェブロンは自治区での掘削を一時停止する方針を明らかにしている。

 一方、OPEC(石油輸出国機構)のバーキンド事務局長は、「世界中の産油国による減産の成果として原油市場がリバランスに向かっていることは疑いようがなく、その動きは加速している」との見方を示している。複数のOPEC関係筋によると、OPECがロシアなど非加盟の産油国との2018年3月までとなっている協調減産合意に関して、9カ月間延長する方針に傾いているようである。ただし、需要がさらに伸びれば、来年初めまで決定が先送りされる可能性もある。

 産油国は11月30日開催のOPEC総会に向けて予備協議を推進。OPEC加盟国は今月23・24日に理事会を開催し、議論の進め方や選択肢に関して非公式に話し合う見通しだ。OPEC関係筋は、11月に延長が決定されなければ、2018年初めに会合を開く可能性があるとしている。いずれにしても、減産合意の延長は規定路線であり、これが世界の原油在庫の調整を確実なものにすると考えている。

 一方、米国のシェール生産業者は、原油安に対する賭け金を大幅につり上げており、2018年もさらに生産が急増するとしている。仏トタルのプヤンヌCEOは、「世界石油需要は今年も大幅に伸び、最大で日量160万バレル増える」と予想。そのうえで「米石油業界は56ドルで売りヘッジを掛けており、米シェール事業に対する投資の波が再び押し寄せる可能性がある」と指摘している。

 原油相場の回復を受けて、ヘッジ取引が急増しているとの指摘もある。2018年のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油の先物平均価格は、52ドル台後半まで上昇しており、4月以来の最高値水準となっている。この水準で売りヘッジを掛ける向きが出てきてもおかしくない。一方で中小規模シェールオイル生産会社の生産ペースは昨年を上回っているようであり、大幅な増産が原油相場の上昇を抑制する可能性が指摘されている。

 スイスの石油大手ビトルのテイラーCEOは、「米国でシェール生産が急増すれば、来年のブレント原油は45ドルに下落する」と予想している。中国の9月の石油精製量は前年比12.7%増の4,934万トン(日量1,200万バレル)と過去最高を記録。8月は日量1,110万バレルだった。1─9月では前年同期比4.7%増の4億1,840万トンだった。国内の原油生産量は前年比2.9%減の1,553万トン(日量378万バレル)となっている。

(江守 哲)

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