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人民元は次の基軸通貨となるのか?

トウシル / 2021年4月15日 15時50分

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人民元は次の基軸通貨となるのか?

4月14日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

 4月14日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、今中能夫さん(楽天証券経済研究所チーフアナリスト)をゲストにお招きして、「すべての道はTSMCに通ず⁉」・「半導体市場の激変と今後の見通し」というテーマで話をしてみた。

 多くの投資家に見ていただきたい動画である。今回の放送では半導体業界の動向のみならず、今後の米国株や日本株の長期投資に対して、今中さんが示唆に富む多くの視点を語られている。ぜひ、ご覧ください。

4月14日: 「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

出所: YouTube

 ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。

台湾積体電路製造(TSMC)の週足

出所:石原順

半導体とシリコンウェハ

出所: YouTube

旺盛な半導体需要の背景にあるのは爆発するデータ量

 米国の半導体業界団体であるSIA(半導体工業会)は、2021年1月の世界の半導体産業の売上高が400億ドルと、一年前(2020年1月の合計353億ドル)に比べて13.2%増加したと発表した。SIAによると「世界の半導体売上はこの1月、年次でも月次でも増加し、2021年は堅調な滑り出しとなった。世界の半導体生産は、増加する需要に対応し、自動車セクターなどに影響を及ぼす継続的なチップ不足を緩和するために増加しており、2021年の年間売上高も増えると予測する」としている。

世界の半導体売上(青)と前年比(赤)

出所:SIA(半導体工業会)

 世界的な半導体不足により、自動車各社が減産を余儀なくされ、ゲーム機やスマートフォン、さらには冷蔵庫や洗濯機などの家電製品の供給不足を引き起こしている。コロナウイルスの感染拡大を受けて工場の操業を停止していた自動車メーカー各社が、コロナ禍を経て回復しつつある販売に対応すべく生産を増やしている。部品在庫をほとんど持っていなかった自動車各社は、コンピューターチップの確保に慌てて動いている。

 巣ごもり需要を受けたゲーム機や健康意識の高まりによるヘルステック機器、リモートワークやオンライン学習のためのパソコンやタブレット端末などの需要も引き続き旺盛だ。もちろん米中対立を受けた中国ハイテク企業に対する制裁措置も半導体不足の危機を深める要因のひとつである。

 そこに不幸な事故が重なった。3月中旬、半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場で火災が発生した。ルネサスエレクトロニクスの自動車向け半導体の世界シェアは約30%と大きい。生産の再開までには1カ月程度かかり、出荷量が元の状態に戻るのは6~7月になる見通しだと言われている。

 短期的な品不足だけではなく、半導体は長期的にも強い需要が続くと考えられる。なぜなら、世界中で今後、爆発的にデータ量が増えていくからだ。

 ZDNet Japanの記事「2025年には世界で生成されるデータの約30%がリアルタイムデータに ―IDC」によると、世界のデータ量は、2017年の23ゼタバイトから2025年には175ゼタバイトへと増加する見通しだ。1ゼタバイトは1兆ギガバイトに相当する。

 また、データを生成する消費者の数も増えている。現在、50億人を超える消費者が毎日データをやり取りしているが、その数は2025年までに60億人に増え、世界人口の75%に相当すると言われている。

世界のデータ量の変化

出所:ZDNet Japan

「産業のコメ」と呼ばれる半導体は空前の活況にある。以前はシリコンサイクルと言われ、4年おきに浮き沈みを繰り返していた。製品が世代交代を迎える時期に急激な需給のアンバランスが発生し、好況と不況をほぼ一定のサイクルで繰り返していた。しかし、データ量の急増を受け、半導体は需要が増え続ける<スーパーサイクル>に入っている。

外貨準備における米ドルのシェアが25年ぶりの低水準に

 IMF(国際通貨基金)が先月31日に発表したデータによると、2020年第4四半期の外貨準備に占めるドルの比率は59%と、前四半期の60.5%から低下し、1995年以降で最低を記録した。外貨準備に占めるドルの割合が低下するのは3四半期連続で、25年ぶりの低水準となる。2014年以降、ドルのシェアは66%から59%へと、年平均1%ポイントずつ、トータルで7%ポイント低下している。このまま低下が進むとすれば、今後10年間でドルのシェアは50%を下回ることになる。

世界の外貨準備における米ドルのシェアの推移

出所:WOLFSTREET

 日本を除く各国中央銀行はゆっくりではあるものの保有資産を分散させる動きを着実に進めている。ユーロのシェアは19.5%から20.6%の間のレンジで推移していたが、第4四半期にはそのレンジを抜け出し、データ上で最も高い21.4%まで上昇した。

 一方、中国の人民元はドルのヘゲモニー(確固たる優位性、支配権)を脅かす存在になっているかといえば、外貨準備に占める元のシェアはまだ2.25%に過ぎない。しかし、人民元のシェアは少しずつではあるが上昇している。この2年間での勢い(2年間で0.36ポイント増)で増えていくと想定すると、人民元のシェアが25%になるには、あと50年ほどかかると思われる。

米ドルのヘゲモニー(確固たる優位性)は低下し続けている

出所:WOLFSTREET

 米国は基軸通貨であるドルの「法外的特権」を振りかざし、コロナ対策と称して莫大(ばくだい)な財政赤字を積み上げ、米国企業が中国やメキシコなどのコストの安い地域に生産拠点を移すことで貿易赤字を拡大してきた。しかし、こうした野放図な政策が続けられるかどうかは、日本や中国を始めとする他の国々が大量のドル建て債券を今後も保有する意思があるかどうかに大きく依存している。

脆弱なドルのヘゲモニー(確固たる優位性、支配権)

 ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏はドルのヘゲモニーと人民元について、「中国の為替制度が近代化されれば、ドルの地位に痛烈な打撃を与える可能性がある」と指摘している。プロジェクトシンジケートに寄稿した「The Dollar’s Fragile Hegemony(脆弱[ぜいじゃく]なドルのヘゲモニー)」から以下、一部抜粋してご紹介する。

 強大な米ドルが世界市場の頂点に君臨し続けている。しかし、グリーンバック(米ドル)の優位性は、見た目以上に脆弱なものかもしれない。なぜなら、中国の為替制度の将来的な変化は、国際通貨秩序に大きな変化をもたらす可能性があるからである。

 様々な理由から、中国当局はいつの日か人民元を通貨バスケットに固定することをやめ、現代的なインフレターゲット体制に移行し、為替レートをより自由に、特に対ドルで変動させるようになるだろう。そうなれば、アジアのほとんどの国が中国に追随するだろう。そうなれば、現在、世界のGDPの約3分の2を支える通貨であるドルは、その重みを半分近くまで失うことになるだろう。

 当時のフランスの財務大臣、ヴァレリー・ジスカール・デスタンが「アメリカの法外な特権」と呼んだドルの特別な地位に、アメリカがどれほど依存しているかを考えると、このような変化の影響は大きいと思われる。米国はCOVID-19の経済的被害に対抗するために赤字財政を積極的に行ってきたため、その債務の持続可能性が問われることになるかもしれない。

 中国の通貨をより柔軟にするための長年の議論は、中国の資本規制がある程度の絶縁性を提供するとしても、中国はあまりにも大きすぎて、自国の経済を米国連邦準備制度に合わせて踊らせることはできないというものである。中国のGDP(国際価格で測定)は2014年に米国を上回り、現在も米国や欧州をはるかに上回る成長を続けているため、為替レートの柔軟性を高めるべきだという主張はますます説得力を増してくる。

 中国の政策立案者は、現行の人民元ペッグからの脱却に向けて多くの障害に直面している。しかし、特徴的なスタイルで、彼らは多くの面でゆっくりと基礎を築いている。中国は海外の機関投資家による人民元建て債券の購入を徐々に認めており、2016年には国際通貨基金が特別引出権の価値を決める主要通貨のバスケットに人民元を追加した。

 また、中国人民銀行は、他の主要な中央銀行に先駆けて、中央銀行のデジタル通貨を開発している。中国人民銀行のデジタル通貨は、現在は国内での使用に限られているが、最終的には人民元の国際的な使用を促進し、特に中国が最終的な通貨圏を目指す国での使用を促進する。これにより、中国政府はデジタル人民元の利用者の取引状況を把握することができるようになる。

人民元は次の基軸通貨となるのか?

 中国では複数の都市においてデジタル人民元の試験的な採用が始まっており、既に香港との越境取引も完了した。主要中銀では初めて実用化する方向にある。また、2022年2月の北京冬季五輪に向けて広範な展開が予想されており、今後、デジタル人民元の国際的な利用も想定しているという。国際社会の既存の枠組みを揺るがす動きが通貨面でも着実に進行している。

 ペイパルマフィアのピーター・ティール氏が6日、リチャード・ニクソン財団のバーチャル会議に参加し、中国政府が米国の外交・金融政策を弱体化させる手段としてビットコインを支援している可能性があると警告し、暗号資産の規制強化を検討するよう米国政府に強く求めた。

 ティール氏は以前より、「暗号通貨は自由主義であり、AIは共産主義」とコメントしており、暗号資産に対しては好意的な姿勢を示している投資家の一人である。ティール氏によると、暗号通貨はオープンソースで、技術的な能力を持っている人なら誰でも参加することができる上に、誰でもマイニングして新しいコインを手に入れることができる。

 その一方、人工知能はそれ以前のトレンドやビッグデータに依存しており、そのビッグデータは大きな主体によって収集される。歴史的に共産主義政権は、高度に中央集権化された計画経済を作ろうとした。十分に強力なAIは、数千マイル離れた場所から数カ月前に農民のジャガイモの収穫量を正確に予測するという官僚の夢を実現することができると。

 今回、ティール氏は、「中国は米国が基軸通貨を持っていることを好ましく思っていない。なぜなら、石油のサプライチェーンやあらゆる種類のものに対して、大きな影響力を持つことになるからだ」とし、「現時点でビットコインをある程度、米国に対する中国の金融兵器と捉えるべきでないかと思う。フィアット通貨(法定通貨)を脅かし、米ドルにとって特に脅威になる」と発言した。

元は法定通貨に対して強い動きとなっている一方、対ビットコインでは下落している

出所:ゼロヘッジ

 ティール氏は「中国がビットコインをロングにしていれば、恐らく地政学的観点から、厳密にそれがどう作用するか米国はより厳しく問う必要がある」と主張したが、今後、ドルの基軸通貨としての地位を揺るがす兵器となるのだろうか。

 なお、ティール氏は、中国が人民元を基軸通貨にはしようとしていないと推測している。なぜなら、基軸通貨にする場合、中国政府は資本収支を明らかにすることなど「やりたくないこと」をやらなければならないからだと述べた。

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 筆者のDVD『メガトレンドフォローシグナル』の取り扱いが楽天ブックスでも始まりました。

DVD>石原順のメガトレンドフォローシグナル(<DVD> Wizard Seminar DVD Libra)

 この世に絶対にもうかるトレードシステムは存在しません。これまで、相場のノイズ(ダマシ)を取り除くのに苦労してきました。いずれにせよ、トレンドフォロー(高値を買ってさらに高値を売る・安値を売ってさらに安値で買い戻す)を行うことで、トレードの収益は得られるのだと、私は信じています。

ドル/円(日足)

メガトレンドフォローの売買シグナル(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ポンド/円(日足)

メガトレンドフォローの売買シグナル(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

豪ドル/円(日足)

メガトレンドフォローの売買シグナル(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

ユーロ/円(日足)

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出所:楽天MT4・石原順インディケーター

日経平均CFD(日足)

メガトレンドフォローの売買シグナル(赤↑=買いシグナル・黄↓=売りシグナル)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

(石原 順)

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