ナスダックがリベンジ高!ハイリスク・ハイリターンの米国株式投資戦略
トウシル / 2021年4月16日 7時58分
ナスダックがリベンジ高!ハイリスク・ハイリターンの米国株式投資戦略
ナスダック100指数が史上最高値を更新した意味
米国市場では、13日にS&P500指数とナスダック100指数が史上最高値を更新しました。FRB(米連邦準備制度理事会)は14日に公表した地区連銀経済報告書で、「2月下旬から4月上旬にかけ経済活動の拡大はほとんどの地域で緩やかに加速した」と総括しました。
13日に発表されたCPI(消費者物価指数)の前年同月比は+2.6%となりましたが、商品市況上昇に伴う一時的な物価上昇とみなされ、コアCPI(エネルギーと食品を除く消費者物価指数)の伸びが+1.6%にとどまったことに注目です。FRBは「インフレの持続的な上昇」を想定しておらず、実際に長期金利は1.6%台で落ち着いています。
こうしたなか、4月はグロース株を象徴するナスダック主力株の回復基調が鮮明となっています。一時の勢いを失ったバリュー株に代わり、ナスダックへの資金回帰が市場平均(S&P500指数)を押し上げた要因となりました。
例えば、大手デジタル関連銘柄で構成される「NYSE FANG+指数」は11営業日連続の上昇を記録して注目されました(13日)。
図表1は、ナスダック主力株の株価動向を示すナスダック100指数とS&P500指数の推移を示したものです(2020年初を100として比較)。
「GAFAMT」と呼ばれるナスダック100指数の時価総額上位6社は、S&P500指数(時価総額加重平均)と重複しており、ナスダック100指数がリベンジ(逆襲)に転じたことで、S&P500指数の高値更新に寄与した流れがわかります。
<図表1:ナスダック100指数のリベンジがS&P500の堅調をけん引>
ナスダック主力株のパフォーマンスが上向いてきた
図表2は、ナスダック100指数の構成銘柄について「時価総額」の上位10社を一覧したものです。「1年前比騰落率」でみると、GAFAMT(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、テスラ)を中心とするデジタル関連株がナスダック相場のけん引役となってきたことがわかります。
こうしたなか、ナスダック100指数の「年初来騰落率」は7.1%となっています(14日)。一覧表のナスダック主力銘柄のうち、4月に上場来最高値を更新した銘柄としては、マイクロソフト、アルファベット、フェイスブック、エヌビディア、ASMLホールディングの5社が挙げられます(オレンジ色でハイライト)。
企業価値を象徴する時価総額を拡大させてきたナスダック主力株には、卓越した技術力、経営力、財務力を誇るグローバル企業が多い点が大きな特徴と言えます。
<図表2:ナスダック主力銘柄のパフォーマンス比較>
最新の米国企業番付「経営トップ250社」(ドラッカー研究所調査)によると、「財務力」のトップ5社にはマイクロソフト、アップル、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、フェイスブックが選出されました(WSJ紙報道/4月13日)。デジタル分野のプラットフォーマーが、成長期待だけでなく財務力でも評価されている現状がわかります。
グロース株を象徴するナスダック主力株の見直しが進むには、2021年1-3月期の決算とガイダンス(業績見通し)の発表で、売上高や営業利益の「成長持続」が確認されることが肝要となります。業績見通しを巡る安心感が醸成されると、株価が堅調トレンドを維持する可能性があると考えています。
ナスダック100指数は30年で約70倍に成長した
本稿では、ナスダック100指数が13日に史上最高値を更新した事象に注目します。図表3は、1991年以降におけるナスダック100指数の推移を対数チャートで示したものです。過去30年で約70倍に成長してきた経緯がわかります。年率平均リターンにすると「+16.7%」の成長ペースでした。
同指数は毎年12月に銘柄の入れ替えが実施されます。新陳代謝とリスク(リターンのブレ)を繰り返しつつ、S&P500指数の成長(30年で約12.5倍)をしのいできた市場実績が知られています。
リスクを加味した長期パフォーマンスの面で、ナスダック100指数はS&P500指数を凌駕(りょうが)して「史上最強の株価指数」と呼べるかもしれません。
<図表3:ナスダック100指数は30年で約70倍に成長した>
インデックスファンド(指数連動型ファンド)を活用してナスダック100指数の堅調トレンドを享受する投資を実践することが可能です。
図表4は、楽天証券で売買できるナスダック100指数連型ファンドを一覧したものです。
米国籍ETF(上場投資信託)の「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」(QQQ)は、米国市場で人気が高く(愛称は「トリプルQ」もしくは「the Q’s」)、運用純資産は約1,649億ドル(約17.9兆円)に達しています。ITバブルの最中だった1999年3月に設定されたQQQの好調・不調は、(当然)ナスダック100指数の好調・不調と連動してきました。
近年は、米国のオンライン掲示板「レディット」のフォーラム「ウォールストリートベッツ」などのネット・コミュニティーで若年層の個人投資家に評価されています。上位組み入れ銘柄にグーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなど製品・サービスが身近な企業群の株価に連動していることが特徴だからです。
とはいえ、S&P500指数連動型のファンドと比較すると「ハイリスク・ハイリターン」的な特性をはらむファンドでもあります。長期目線でナスダック100指数の優位を見込むなら、インデックスファンドを活用して時間分散投資を実践し「貯めながら増やす資産形成」に注目したいと思います。
<図表4:ナスダック100指数連動を目指すファンド>
種別 | コード | ファンド名 | 通貨 | 取引価格 | 1年前比 |
---|---|---|---|---|---|
米ETF | QQQ | インベスコQQQトラスト・シリーズ1 | ドル | 336.51 | 60.7% |
東ETF | 1545 | NEXT FUNDS NASDAQ-100・連動型 | 円 | 15,280 | 62.6% |
東ETF | 2568 | 上場インデックスファンド米国株式(NASDAQ100)H無 | 円 | 2,598 | ―― |
投信 | 04317188 | iFreeNEXT NASDAQ100インデックス | 円 | 18,010 | 70.0% |
投信 | 0331A211 | eMAXIS NASDAQ100インデックス | 円 | 11,238 | ―― |
*米ETF=米国上場ETF、東ETF=東証上場ETF、投信=追加型投信。*取引価格=基準価額。1年前比=登録率。上記した騰落率には分配金を含めていない。*1年前比騰落率が表示されていないファンドは設定が1年以内であるため。 |
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(香川 睦)
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