「景気敏感バリュー株」買い増し好機と判断する理由。今年はオールド産業復活?
トウシル / 2021年4月19日 7時30分
「景気敏感バリュー株」買い増し好機と判断する理由。今年はオールド産業復活?
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]景気敏感バリュー株「買い」の理由 オールド産業復活?」
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先週(4月12~16日)の日経平均株価は、1週間で84円下がり、2万9,683円となりました。3万円手前でやや膠着しつつあります。
景気・企業業績の回復期待を背景に昨年11月以降、上昇ピッチを速めてきた日経平均ですが、上昇ピッチがやや速すぎることから、2月以降は上値が重くなっています。確かに業績回復のモメンタム(勢い)がここから強くなっていくことを見極める間、日経平均はスピード調整が必要と考えられます。
日経平均推移:2020年10月1日~2021年4月16日
ここからの日本株上昇を牽引するのは景気敏感バリュー株と予想
2021年に入ってから、バリュー株(割安株)の上昇が目立っています。中でも、強かったのが「景気敏感バリュー株」。ところが、そのバリュー株が3月中旬から、利益確定売りに押されて下がってきています。
一方、2020年の上昇率が高かったグロース(成長株)は、2021年は上値が重くなっています。そのことが、以下、TOPIXバリュー指数、TOPIXグロース指数の動きを見るとわかります。
TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の動き:2020年12月30日~2021年4月16日
景気敏感バリュー株とは、具体的には、株価バリュエーションの低い金融株、資源関連株、製造業などが該当します。世界景気回復にともなう、米金利上昇で金融株が買われ、原油価格上昇で資源関連株が買われ、製造業の景況改善で自動車株などが買われていました。
一方、グロース株には、コロナ禍でも業績好調だったIT関連やバイオ株などが含まれます。2021年に入ってから、その逆の流れが出ています。
TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の動き:2020年1月6日~2021年4月16日
今年はオールドインダストリーの業績モメンタムが強くなる展開
バリュー株優位の展開は終わり、ここからはグロース株が復活すると考える人もいます。私は、そうは思いません。バリュー株優位の展開が、今年の秋くらいまで続くと予想しています。それには、2つの理由があります。
【1】 バリュー・グロースのバリュエーション格差がいまだに大きい
2021年に入ってからバリュー優位が続いているとは言え、それはごく短期的なことです。もっと長い目で見るとグロース株ばかりが上がり、バリュー株が低迷する時期が10年近く続いてきました。
その結果、グロース株は全般的にバリュエーションが高くなりすぎている一方、バリュー株はバリュエーションが低すぎるものが多くなっていると考えています。割安なバリュー株を見直す流れがまだ続くと予想しています。
【2】今年は、オールドインダストリー復活の年に
今年は、私が「3大割安株」と呼んでいる「金融株、資源関連株、製造業」の業績モメンタムが強い年になると予想しています。中国と米国の景気が急激に回復するからです。
これにより、一時的にモノや資源が不足し、一時的にインフレが復活、米長期金利が上昇すると考えています。つまり、一時的に、金融株、資源関連株、製造業が活躍する20世紀の経済環境に戻ると考えているわけです。
過去に、日本株でバリュー株優位が長く続いた時は、いずれもオールドインダストリーが活躍した時でした。代表的なものに以下があります。
[1]1980年代後半のバリュー相場:
円高と貿易戦争でハイテク株がさえない中、内需中心のバブル景気が盛り上がり、オールドインダストリーが活躍
[2]2000年代前半のバリュー相場:
金融株やオールドインダストリーが構造改革で復活。さらに、BRICs(中国、インド、ブラジル、ロシア)と言われる新興国の成長加速で、世界的に重厚長大産業が復活
以上の理由から、今年前半の日本株市場では、景気敏感バリュー株のパフォーマンスが強くなると考えています。
これから始まる「業績相場」に備えて、今年増益率が高く、PER(株価収益率)が低く、配当利回りが高い「景気敏感バリュー株」を買っていくべきと考えています。
投資の参考銘柄については、以下、著者オススメのバックナンバーをご参照ください。
▼著者おすすめのバックナンバー
2021年3月8日:日経平均急落、「三大割安株」買い増しの好機と判断
2021年2月24日:「インフレ関連株」に注目。原油・銅・ニッケル・鉄鉱石・穀物・天然ゴム・海運市況上昇
2021年2月17日:配当利回り4.4%!三菱UFJ FGの「買い」判断を継続
(窪田 真之)
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