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2日続けて日経平均急落、米中対立激化の日本株への影響も要警戒

トウシル / 2021年4月22日 7時27分

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2日続けて日経平均急落、米中対立激化の日本株への影響も要警戒

日経平均は2日続けて急落、日本株の下げが大きい

 4月21日の日経平均は、前日比591円安の2万8,508円となりました。2日連続で急落、2日間の下げ幅は1,176円(4%)となりました。大阪・東京などで緊急事態宣言が発令される見通しとなり、日本の景気回復が遅れる懸念が出たことが急落のきっかけとなりました。

 4月21日には、日本銀行が4月に入って初めて日本株ETF(上場投資信託)の買い入れ701億円を行いました。それでも、午後に日経平均が大きく反発することはありませんでした。

 日本独自の要因による急落なので、下落は日本が一番大きくなっています。

NYダウと日経平均比較:2020年10月1日~2021年4月21日(NYダウは20日まで)

出所:ブルームバーグより作成

 3月中旬以降、NYダウが堅調な中、日経平均の弱さが目立っています。日米の景気モメンタム(勢い)の差が、そのまま株価に出ていると思います。米景気は足元、回復色を強めています。ここからさらにバイデン政権が1.9兆ドルのコロナ対策財政出動を行えば、年後半に米景気が過熱する可能性すら出ています。

 一方、日本はコロナワクチン接種が遅れ、消費回復が遅れています。そこで、3回目の緊急事態宣言が出れば、米国との景気モメンタムの差はさらに開く可能性があります。

 それでも、ここは日本の景気敏感株を押し目買いすべきと私は考えています。緊急事態宣言が発令されれば、外食・観光・イベント・航空産業の低迷は長引くことが予想されます。ただし、中国・米国景気拡大の恩恵を受ける、自動車・半導体・海運・鉄鋼・非鉄・化学などの業績回復は続くと予想しています。したがって、景気敏感バリュー株を中心に買い増しする好機と判断しています。

 ただし、1つ気になる問題が起こっています。米中対立が激化する予兆が出ていることです。中国と経済的なつながりの大きい日本企業は、米中対立に巻き込まれてダメージを被るリスクが出ています。

 緊急事態宣言が出る影響よりも、米中対立に巻き込まれる影響の方がより重大な問題となっていくリスクがあります。

米中対立が、再び世界経済・株式への脅威に

 今、私が景気よりもコロナよりも心配しているのは、米中対立の激化です。1月に民主党バイデン政権が発足してから、しばらく米中対立は小康状態でした。バイデン大統領が、トランプ政権の「米国第一主義」を修正し、国際協調路線に回帰する方針を示していたからです。米国も中国も、新たな関係構築の可能性を見据えて、対立を激化させる行動を控えていたと思われます。

 ただし、それは長続きしそうにありません。3月18日には、米アラスカ州で米中外交トップによる会談が行われました。米国からブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官が、中国から楊潔篪・中国共産党中央政治局委員と王毅・外相が出席しました。

 冒頭から、異例の展開となりました。米国から、ウイグルや香港、台湾での中国の行動や、米国へのサイバー攻撃などへの懸念が表明されると、中国は、米国の人種差別問題や歴史問題まであげて反論しました。その後、激しい非難の応酬となりました。これで、バイデン政権になっても米中対立を緩和することは困難、との印象が強まったことは否めません。

米中対立激化で、日本が板挟みになるリスクは要注意

 日本企業は、米国でも中国でも幅広くビジネス展開しています。そのため米中対立が激化するとその板挟みになる可能性があります。

 4月16日にワシントンで実施された日米首脳会後に発表された声明文には、台湾海峡の平和・安定の重要性が明記されました。台湾海峡で軍事的圧力を強める中国への強い牽制となります。日米共同声明に台湾が明記されるのは、1969年以来で52年ぶりです。

 ウイグル・香港の人権問題に加え、中国による台湾威圧問題が、米中の重大な火種となっています。米国との連携を強める日本に対し、中国は今のところ制裁を発動していません。ただし、万一、中国が日本企業に対して制裁を発動するようになると、中国でビジネスを行う日本の「中国関連株」は大きなダメージを受けます。米中関係、日中関係の変化は、注意して見ていく必要があります。

 中国で成長する株というと、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(9983)(以下ファストリと表記)はその代表ですが、同社は今、ウイグル問題で窮地に立たされています。

 ファストリはウイグル地区で生産されている綿を原料として使っていると考えられますが、それが中国政府によるウイグル族の強制労働に加担する行為となる可能性に、懸念が強まっています。欧米企業でウイグルからの綿の調達を止める企業が出ていますが、その企業に対して中国で不買運動が起こっています。

 ファストリは、どんな決断をしても業績に悪影響を受けるリスクがあります。もし、ウイグル綿の調達をしていてそれを継続するならば、人権に対する問題企業と欧米でレッテルを貼られるリスクがあります。もし、ウイグル綿の調達を止めると、中国で不買運動が起こり中国ビジネスに重大なダメージが及ぶリスクがあります。

 4月21日時点で、ファストリは1銘柄だけで日経平均の10.8%を占めています。ファストリへの売り圧力が続けば、日経平均の下押し要因となります。

▼著者おすすめのバックナンバー
2021年4月21日:3度目の緊急事態宣言は必至?急落する日経平均、株はいつ売るべき?

(窪田 真之)

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