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外国人による日経平均先物「空中戦」ほぼ終了、実需筋はこれからどう動く?

トウシル / 2021年4月28日 8時0分

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外国人による日経平均先物「空中戦」ほぼ終了、実需筋はこれからどう動く?

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]外国人による「空中戦」ほぼ終了。実需筋はこれからどう動く?
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日経平均・NYダウとも小動き、上下とも大きくは動きにくい

 日経平均株価は2万9,000円前後で、膠着しています。世界景気回復を織り込んで昨年11月から世界株高が加速、日経平均も外国人投資家の買いによって上昇してきましたが、2月以降は上値が重くなっています。上昇ピッチの速さやコロナ変異種の感染拡大に警戒感が広がり、上下とも大きくは動きにくくなっています。

NYダウと日経平均の動き比較:2020年10月1日~2021年4月27日

出所:ブルームバーグより作成

 NYダウは日経平均よりも好調で、3月以降、日経平均が調整する中でも史上最高値を更新してきました。緊急事態宣言の発令で日本の景気回復が遅れる懸念が出ているのに対し、米景気は好調、年後半に景気過熱の可能性も出ています。日米の景気モメンタム(勢い)の差が、株価の差に出ています。

 ただし、NYダウも上昇ピッチの速さへの警戒感から、4月16日に史上最高値の3万4,200ドルをつけた後、3万4,000ドル前後でやや上値が重くなっています。以上が足元の相場動向の振り返りです。

 今日は、日経平均の動きを、投機筋による日経平均先物売買の動きから振り返ります。

日経平均先物「踏み上げ」は終了

 日経平均の上昇に、需給面で先物「踏み上げ」【注】が寄与していたことは、本連載でたびたび指摘してきました。

【注】踏み上げ
日経平均が下落すると予想して日経平均先物の売り建てを積み上げていた投機筋(主に外国人)が、日経平均がどんどん上昇していく中で、損失拡大を防ぐために日経平均先物の買い戻しを迫られること。

 それが、東京証券取引所が発表している「裁定売り残」の推移から読み取れます。詳しく説明すると難解なので、説明は割愛して結論だけ述べます。2つ覚えてください。

【1】東京証券取引所が発表している「裁定売り残」の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「売り建て」の変化が表れます。売り建てが増えると裁定売り残が増え、売り建てが減ると裁定売り残が減ります。

【2】東京証券取引所が発表している「裁定買い残」の変化に、投機筋(主に外国人)の日経平均先物「買い建て」の変化が表れます。買い建てが増えると裁定買い残が増え、買い建てが減ると裁定買い残が減ります。

 それでは、2018年以降の日経平均と、裁定「売り残」「買い残」の推移をご覧ください。

日経平均と裁定売り残・買い残の推移:2018年1月4日~2021年4月27日(裁定売り残・買い残は2021年4月16日まで)

出所:東京証券取引所データに基づき楽天証券経済研究所が作成

 2021年4月16日時点で、裁定売り残は、8,583億円まで減少しました。コロナショック直後に約2.6兆円あったのと比べて大幅な減少です。日経平均が下落すると予想して先物売り建てを積み上げていた投機筋(主に外国人)が、日経平均がどんどん上昇していくため、損失拡大を防ぐための先物買い戻しを迫られてきたことがわかります。つまり、先物の「踏み上げ」が起こっていました。

 注目いただきたいのは、上のグラフに矢印を書き込み「踏み上げ」と書いてあるところです。2か所あります。2019年10~12月と、2020年6月~2021年3月です。ともに、日経平均が大きく上昇する中で、裁定売り残高が減少しています。ここで「踏み上げ」が起こっています。

今後は実需筋に注目

 4月16日時点で、裁定売り残が8,583億円まで減少する一方、裁定買い残は1兆781億円まで増加しています。久々に、裁定買い残が売り残を上回るようになりました。空売りを積み上げていた投機筋の買い戻しが進むと同時に、逆に投機的な買いポジションを持ち始めている投機筋が出てきていることがわかります。

 以上から、日経平均先物「踏み上げ」による、先物買い戻しは終了したと言えます。今後は、先物主導の空中戦が終わり、景気実態を見きわめた上での、外国人投資家「実需筋」の売買が重要になってきます。つまり、海外年金基金や中東やアジアのソブリン・ウエルス・ファンド(国家資金ファンド)が、日本株の組入比率を増やすか減らすかによって日経平均の動きが決まると考えています。

 私は、これから米景気・中国景気拡大の恩恵を受けて、年後半には日本の景気回復もより鮮明になってくると予想しています。ワクチン接種の遅れで内需回復が遅れても、世界景気回復の恩恵によって、日本の景気回復が進むと見ています。そうなれば、外国人投資家「実需筋」による日本株の買い付けが増加し、日経平均は年初来高値を更新していくと予想しています。
ただし、そうなるまで、今しばらく時間が必要です。しばらくスピード調整が必要と考えています。

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(窪田 真之)

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