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「出遅れ株」への投資は本当に正しい?二極化相場時代の歩き方

トウシル / 2017年10月26日 15時0分

「出遅れ株」への投資は本当に正しい?二極化相場時代の歩き方

「出遅れ株」への投資は本当に正しい?二極化相場時代の歩き方

 日経平均株価が2万円を大きく超えて推移する中、あまり株式に資金を投下できていない個人投資家も多いようです。


 そんな投資家に対して専門家が勧めるのが、全体相場のように上昇していない「出遅れ銘柄」への投資。でもそれって、本当に大丈夫なのでしょうか?

 

高値警戒感が強まりつつある日本株

 日経平均株価は2015年の高値を超えて21年ぶりの高値水準となり、その後も順調に株価は上昇しています。10月24日(火)には日経平均株価が16連騰となり、過去最長の記録を更新しました。こうなると気になってくるのが「高値警戒感」。

 すでに十分に日本株へ資金を投入している投資家であれば問題ありません。でも、今回の株価上昇に乗り遅れていたり、これから本格的に投資をしていこうという方にとっては、株価が高い状態で新たに株式を買うことは抵抗があるようです。

 そこで多くの投資家が考えるのが、まだ株価が大きく上昇していない銘柄、つまり「出遅れ銘柄」に投資しようということです。

 確かに個別銘柄の値動きをみると、年初来高値を更新し続けて株価が大きく上昇している銘柄がある一方、底値からほとんど上昇していなかったり、何年もの間株価が横ばいで推移している「出遅れ銘柄」も数多くあります。

 

「出遅れ銘柄」なら株価は上昇するのか?

 投資情報サイトをみると、数多くの専門家やプロと呼ばれる人たちが、「出遅れ銘柄」への投資をすすめています。

 ここから新たに株式に資金を投下した際、投資した後に株価が調整局面に入ったとしても、そもそもここまであまり上昇していなく、かつPER(株価収益率)はじめ各種株式指標から割安感のある銘柄であれば、下落も大したことないだろう、というのがその根拠です。

 そして、株価上昇局面が今後も続くなら、こうした出遅れ銘柄もゆくゆくは株価が上昇していくだろう、という考えです。

 実際、過去の株価上昇局面をみると、先行銘柄と出遅れ銘柄があるものの、最後はどの銘柄も大きく上昇するという結果になったことが多いです。

 ところが、ここ数年は、日経平均株価が大きく上昇しようとも、個別銘柄の株価はそうした状況とは程遠い動きになっていることに、私たち個人投資家は気づかなければなりません。

 

2013年5月から続く二極化相場

 たとえば2005年の株価上昇時は、上昇率にこそ銘柄間で差はあるものの、ほとんどの銘柄の株価が同じように上昇しました。

 ですから、株価上昇に乗り遅れたとしても、株価がまだあまり大きく上昇していない「出遅れ銘柄」を買えば、株価上昇の恩恵を受けることができたのです。

 2012年11月から続くアベノミクス相場においても、一番最初の半年、具体的には2013年5月までの期間は、先行銘柄の株価が大きく上がった後、出遅れ銘柄にも広がり、最終的にはほぼすべての銘柄の株価が上昇しました。

 しかしながら、2013年5月以降、その流れは大きく変わりました。業績が毎年伸びているような「成長株」の株価は右肩上がりに上昇する一方、業績が伸びていない銘柄については、それが割安と思われる株価水準であっても、一向に株価が上がらないという事態になっています。

 つまり、4年以上前から日本株は上がる株とそうでない株が明確に分かれた「二極化相場」の状況が続いているのです。

 

二極化相場で「出遅れ銘柄」はおすすめ?

 この「二極化相場」が続いていることにより、現状の日本株はどのようになっているでしょうか?

 まず成長株については一部買われすぎと思われる銘柄も見受けられるものの、おおむねマーケットから適正な株価評価を受けているといえます。

 しかし、企業価値より株価が割安に放置されている「割安株」については、割安な状態のまま放置されていて、これらが「出遅れ銘柄」となっているのが現状です。

 たとえば毎年大幅な増収増益とはいかないものの、それなりの好業績が続いている銘柄であっても、PERは10倍を大きく割り込み、配当利回りも4%を超えています。

 一般的にPERの10倍割れは割安とされますし、マイナス金利が続く中配当利回りが4%というのも明らかに割安と判断できます。

 それなのに株価が上昇しない、そんな「出遅れ銘柄」を買ったとして、果たして本当に良いのだろうか、というのが筆者の素朴な疑問なのです。

 

どう転んでも対応できるような対策を立てておく

 ここから考えられるシナリオは大きく分けて「二極化相場が続き出遅れ銘柄は相変わらず買われない」か、もしくは「二極化相場が終焉して出遅れ銘柄が買われる局面となる」のいずれかです。

 実は、今株価があまり大きく上昇していない「出遅れ銘柄」は、もうすでに何年も前からPERが低かったり配当利回りが高いといった割安な状態が続いていました。
 それでもここまでずっと株価が上昇してこなかった、これが事実です。

 今から「出遅れ銘柄」を買うことが果たして正しい判断なのかどうか、残念ながらそれは誰にもわかりません。

 1つだけ言えるのは、成長株が上昇し割安株が上がらない二極化相場は、いつ終わるかわからないということです。明日にも終わってしまうかもしれませんし、ここからさらに何年もの間続いていくかもしれないのです。

 株式投資では、将来を予想することは好ましくないと筆者は思っています。なぜなら、将来を予想しても当たらないことがとても多いからです。

 ですから筆者であれば、次のように行動します。

・株価が割安の状態に放置されている出遅れ銘柄の株価は日々ウォッチしておく
・出遅れ銘柄の株価が上昇トレンドになったらその銘柄を試し買いする
・他の出遅れ銘柄の株価も次々上昇トレンドに転じ、かつ今まで株価が上昇していた
  成長株の株価が下降トレンドに転じるという動きが明確となったら、資金を出遅れ
  銘柄に重点的にシフトさせていく

 このようにすれば、株価のトレンドを無視してなんとなくのタイミングで出遅れ銘柄を買った結果、株価が上昇せずにストレスのたまる思いをする、ということを避けることができます。

 また、上昇トレンドに転じたらすぐに出遅れ銘柄を買うことで、出遅れ銘柄の株価上昇の初動に乗ることができます。

 ここまで4年以上の間、出遅れ銘柄の株価はあまり上昇してこなかったわけですから、ここから「出遅れ銘柄」の上昇に賭けるのではなく、どう転んでも良いような対策を立てておくべきだと思っています。 

(足立 武志)

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