日経平均2万2,000円!外国人は強気・個人は弱気、どっちが正解?
トウシル / 2017年10月30日 7時0分
日経平均2万2,000円!外国人は強気・個人は弱気、どっちが正解?
執筆:窪田真之
外国人の買いで上昇してきた日本株
先週の日経平均は、1週間で550円(2.6%)上昇し、2万2,008円となりました。外国人の一手買いで、押し目らしい押し目もないまま、上昇が続いています。東証データによると、外国人は9月第4週から10月第3週まで、4週連続で日本株を買い越しています。株式現物の買い越し額は、合計で、1兆7,639億円に達します。
まだ統計の出ていない先週(10月23~27日)も、外国人の買いで上昇していることは、ほぼ間違いありません。
日本株の主体別売買動向:9月25~10月20日
主体別の売買動向を見ると、外国人の一手買いで上がっていることが、わかります。
◆個人投資家:1兆4,509億円も売り越し
◆投資信託:主に個人投資家の解約により、3,191億円の売り越し
◆金融法人:持ち合い解消売りが続き、2,115億円の売り越し
◆事業法人:自社株買いで買い越しになることが多いが、この上昇局面では売り越し
◆信託銀行:年金や日本銀行の買いが含まれること多い。この局面は売り越し
外国人が日本株に強気の理由
外国人は以下4つの理由から日本株の組み入れを引き上げていると考えています。
(1) 世界同時の好景気が続く
「世界景気敏感株」である日本株の組み入れ引き上げ
(2) 円安進行
米景気好調で、12月に米利上げが見込まれることを受け、ドル高(円安)が進む
(3) 企業業績好調
好調な世界景気・円安を受け、これから本格化する9月中間決算で、業績予想を引き上げる会社が増える見込み
(4) アベノミクス継続
衆院選で自民圧勝。スペインなど世界各国に政治不安が広がる中、日本の政治がきわめて安定していることに高評価
上記の中で、もっとも重要なのは、(1)の世界景気だと思います。今、世界的に製造業が復活、ひさびさに設備投資が盛り上がる機運があります。中国では今、産業用ロボット・工作機械など、省力化投資を急いでいます。中国による「ロボット爆買い」と言われる状況になっており、その恩恵が日本のロボット産業に及んでいます。
これまで、製造業の組み入れを下げ、非製造業(IT・情報通信など)の組み入れを高くしていたグローバル投資家は、製造業復活を受けて、製造業の組み入れを引き上げる必要性を感じています。そこで、製造業が強い日本株を買う動きが出ています。
世界的に製造業の復活が続く間は、日本株を見直し、買い増しする動きが続くと考えています。
外国人の買い余力は大きいと予想
日経平均の上昇はいつまで続くのでしょう? 需給面で言えば、シンプルです。外国人が買い続ける限り上昇が続き、外国人が売りに転じれば下がることになるでしょう。日本株は、外国人が動かしています。外国人は、買うときは上値を追って買い、売るときは下値を叩いて売ってくる傾向が強いからです。
外国人売買の先行きがわかればいいのですが、残念ながら、先行きを当てるのは難しいことです。ただ、外国人の売買にはある程度、傾向があるので、過去のパターンから推測することはできます。
まず、アベノミクス開始後の、外国人の売買動向を簡単に振り返ります。
外国人投資家による日本株売買動向:2013~2017年(10月20日まで)
◆2013年:アベノミクスに期待し、15兆円超、買い越し
◆2014年:前半売り越し(消費増税後の景気悪化嫌気)。後半、景気回復で買い越し
◆2015年:前半買い越し。後半売り越し
◆2016年:前半売り越し。後半トランプラリーで買い越すが、年間では大幅売り越し
◆2017年:前半売り越し。後半、買い越し。10月20日までで8,723億円買い越し
こうして見ると、外国人が、足元、日本株を大幅に買い越しているとはいっても、まだ、2015~16年の売り越し分を買い戻しているにすぎません。欧米のグローバル投資家は、現時点でまだ日本株をアンダーウエイト(基準となる組入比率よりも低い組み入れ)と推定されます。
日本および世界の景気が悪化せず、東アジアでの戦闘勃発がない限り、外国人の日本株買い、日経平均の上昇は続くと予想しています。
ただ、リスクとして、以下を意識しておく必要があると思います。
◆米金利上昇を嫌気して米国株が下落するリスク
◆米朝間、米中間で不測の事態が起こるリスク
◆スペインの政治不安が欧州全体の不安に発展するリスク
27日、スペインからカタルーニャ自治州が独立を宣言しました。これに対し、スペイン政府はカタルーニャの自治権を停止し、独立を強硬に阻止する構えです。もし、経済が強いカタルーニャが独立すると、スペインの国家信用が低下します。そうなると、EU(欧州連合)全体に不安が広がるリスクもあります。
(窪田 真之)
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