好業績株が8月中旬までに大きく下がれば、買いチャンスの理由
トウシル / 2021年8月2日 17時37分
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好業績株が8月中旬までに大きく下がれば、買いチャンスの理由
今週の予想
8月中旬の高値期日に向けて売られてくる好業績銘柄を探そう
11カ月連続で、月末の日経平均株価が前月比で値下がりしています。これが示すように、指数が上値を切り下げる動きが続いています。
企業の好決算を打ち消し、米国の史上最高値も日経平均のサポートになっていない理由は、新型コロナウイルスによる日本経済の景気回復が遅れるとの見方が、外国人投資家に広がっている動きといえます。
この景気回復が疑問視されている状況としては、27日にIMF(国際通貨基金)が改定発表した世界経済見通しで、米国をはじめとする先進国の成長率予想が軒並み引き上げられる中で、日本だけが0.5%引き下げられていることがあります。
この状況から今週の日経平均は、引き続き新型コロナの感染状況と上場企業の決算内容をにらむ展開が想定されます。2万7,000円台で推移しそうですが、米国株が最高値圏から調整に入れば、ツレ安して2万7,000円を割る場面も想定しておく必要があります。
さらに今週は、2021年4-6月期決算発表が本格化するため、前年同期からの業績回復状況に加え、市場予想を上回る見通しが示せるかに注目が集まります。ただし、新型コロナの感染拡大が続けば株価の重しとなってきます。
これらのことから今週は、米国株が安定していれば、2万7,500円をはさんだもみ合いが想定されます。
また、需給から見ると、8月中旬以降は好転することになります。
2月の高値から6カ月後にあたる高値期日が到来するため、8月中旬に向けて、投げ売り(セリングクライマックス)からの需給改善が期待できます。
日経平均の年初来高値2月16日、TOPIX(東証株価指数)は3月19日ですので、日経平均は8月15日、TOPIXは9月18日に信用期日が到来し、この日までに投げ売りが出て、その後は需給の面からは動きやすくなります。この時、好業績銘柄が大きく下がれば、買いチャンスとなります。
今週の指標:日経平均株価
今週の日経平均は2万6,900~2万7,800円の間でのもみあいを想定しています。
企業決算が今週から来週にかけて予定されているものの、国内での新型コロナ感染拡大のスピードが上がっており、菅政権の求心力の低下も加わって先行き不透明感から、安値圏でのもみ合いとなりそうです。
また、8月中旬にかけて、日経平均が2月につけた年初来高値の信用期日が到来するため、売り物が多く出てくることになります。そのため、好決算でも大幅なサプライズがなければ売られ、高く買われてきたものは失速してしまいます。
好決算から株価が上昇しても長続きしない可能性が高いので、一気に飛びつくのはやめた方がよいかもしれません。
先週の動き
先週は、米株式の主要3指数そろって史上最高値更新を受け、前週末のシカゴ日経先物が+620円の2万8,180円となっていたことで、2万8,000円台での動きを想定しました。
しかし、新型コロナの感染拡大が予想以上のスピードで進んでいることで、日本経済への懸念が外国人投資家の間に生まれ、週始めこそ2万8,000円をつける場面がありましたが、週半ばは2万7,500~2万8,000円の間のもみ合いに。
週末の30日(金)は、前日の感染者数の1万人超えを嫌気し、▲498円の2万7,283円と2021年1月6日の2万7,055円以来の安値で終わりました。
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今週の指標:NYダウ平均株価
季節的に8月の相場は弱く、新型コロナの感染拡大を嫌気して売られる場面が出てくる可能性があります。
ただし、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で金融緩和を解消するには、長い道のりになるとの見解が出されており、大きく下げる場面があっても押し目買いのチャンスになる可能性があります。
民主党のインフラ投資が超党派で前進しており、経済の回復期待を後押しすることになります。ただし、ハイテク株の上昇ペースは短期的には減速となりそうな感じです。
先週の動き
先週は、史上最高値圏で主要3指数はマチマチの動きとなりました。
週始めの7月26日(月)は、主要3指数そろって5日続伸し、連日の最高値更新となりましたが、27日(火)はアジア株の下落や翌日にFOMCを控えていることで、3指数は6日ぶりの反落となりました。
28日(水)はFOMCを受けて、NYダウとS&P500種株価指数は続落、ナスダック総合株価指数は反発とマチマチの動きでした。
29日(木)は、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長による、テーパリング(量的緩和の縮小)は急がないとの発言を受け、NYダウとS&P500は最高値更新、ナスダックは小幅続伸しました。
週末の30日(金)は、アマゾンの4-6月期売上高が、過去3年間のうちで初めて市場予想に届かなかったことで大幅下落となり、つれて主要3指数とも売られました。
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今週の指標:ドル/円
先週は、FRBのパウエル議長の記者会見で金融緩和を縮小する状況へ達するには時間を要するとしたことで、年内の量的緩和縮小はないとの見方になっています。
しかし、将来的に量的緩和は縮小される可能性は高く、その後に金利引き上げが予想されるので、リスク回避的なドル売りが強まる状況ではなく、ドルは下げ渋ることになります。
先週の動き
FOMC後のFRBのパウエル議長が「労働市場の回復は程遠い」との見通しを示したことで、量的緩和縮小の開始時期は来年以降になるとの見方が広がりました。そのためリスク選好的なドル買い・円売りが縮小し、ドルは弱含みました。
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先週の結果
週始め2万8,036円に乗せた場面も。終値では▲498円の2万7,283円
米国市場が前々週の始めに大幅下落を予想よりも早く回復し、日本の2日休日を含めて4日続伸となり、史上最高値を更新し、週末のシカゴ日経先物は+620円の2万8,180円となっていたため、先週の日経平均の予想では、2万8,000円で寄り付いて、その後2万8,000円台での値固めができるかどうかに注目としました。
結果的には、米国株式は史上最高値圏でしっかりした動きとなっていましたが、日本株式は新型コロナ感染再拡大が予想よりも大きく、この問題は米株式よりも日本経済への懸念に投資家の不安が向かいました。
日経平均は、週始めこそ2万8,000円をつける場面がありましたが、週後半は終値では下げ幅を切り下げる展開となり、週末の30日(金)は▲498円と、1月6日の年初来安値2万7,055円以来の2万7,283円で引けました。
7月26日(月)は、前週末のNYダウが終値での史上最高値3万5,000ドルを初めて突破したこともあり、日経平均は+442円の2万7,990円で寄り付き、+488円の2万8,036円まで上昇しました。しかし、そこから上値は重く+285円の2万7,833円で引けました。
27日(火)は、前日の米国株式で主要3指数そろって5日続伸で連日の史上最高値更新となったことで、日経平均は+78円の2万7,911円で寄り付き、一時、前日と同じ2万8,036円まで上昇するものの、買いは続かず伸び悩み+136円の2万7,970円とすんなりと2万8,000円を超えられませんでした。
28日(水)になると、前日の米国株式が主要3指数そろって6日ぶりの反落となり、翌日にFOMCを控えていることで様子見強く、日本市場では国内での新型コロナの感染拡大が広がり、後場になると日経平均は一時▲503円の2万7,466円まで下落して、終値は▲388円の2万7,581円と大幅反落となりました。
29日(木)になると、日経平均は2万7,500円水準まで下がってきたことで押し目買いが入り、また上海株式が5日ぶりに反発し、ハンセン指数も続伸したことで、一時+216円の2万7,798円まで買われ、終値は+200円の2万7,782円でした。
週末の30日(金)は、前日の米国市場では、NYダウとS&P500が最高値を更新したにもかかわらず、日本市場は29日、新型コロナの感染者がついに1万人超えたことが嫌気されました。
これによって日経平均は、一時▲509円の2万7,272円まで下落し、終値では▲498円の2万7,283円となりました。1月6日の年初来安値(2万7,055円)以来の水準で、また、2020年9月以来の11カ月連続の月末安で引けました。
30日(金)の米国市場は、主要3指数そろって反落。アマゾン株が4-6月期の売上高が過去3年間で初めて市場予想を下回ったことを嫌気して、▲7.5%と大幅安となったことで全体が売られました。シカゴの日経先物は+100円の2万7,450円でした。
(出島 昇)
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