儲かっている投資信託は売ってもいい?後悔しない利益確定の基準は?
トウシル / 2021年8月14日 8時0分
![儲かっている投資信託は売ってもいい?後悔しない利益確定の基準は?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_33452_0-small.jpg)
儲かっている投資信託は売ってもいい?後悔しない利益確定の基準は?
利益が出ている投資信託なら売ってもいい?
当面使う予定のない余裕資金とはいえ、良好な市場環境が続き、保有する投資信託(ファンド)のリターン(利益率)が積み上がっていくと、市場の反落を危惧して「このあたりで利益を確定させておいた方がよいのでは…?」と、不安を感じることがあります。
しかし、結論から申し上げると、長期投資を行っている場合、特に積立投資家は、小刻みに利益確定を行うことは、おすすめしません。
では、どのようなときに利益確定を検討したらよいのでしょうか。
筆者が考える、長期投資家が利益確定を行ってもよいケースは、次の二つです。
それでは、一つずつ解説していきましょう。
1:リバランスを目的としている
まず、リバランスとは、相場変動によって変化した資産の配分比率を当初の状態に戻す作業です。
特定の資産(ファンド)が値上がりして配分比率が高くなると、必然的にその資産のポートフォリオにおける影響力が大きくなります。影響力が大きくなると、そのファンドが急落した場合、ポートフォリオ全体がダメージを受けることになります。
そこで、上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い増すことで資産配分を元の比率に修正し、同時にポートフォリオ全体のリスクも当初の水準に戻すのです。リバランスという一連の行為に、利益確定の売却が含まれている点が特徴です。
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/f/6/-/img_f6dc8b0ef7256ba0d29752d30eca761241793.jpg)
足元の市場環境に照らし合わせて例えるなら、含み益が出ている米国株式を売却して、その売却分で相対的に割安な水準にある新興国株式や、代替資産の金(ゴールド)を購入(または買い増し)するイメージです。
リバランスを実践する上で重要なのは、「相対的に出遅れている」、または「(価格が)戻り切っていない」資産や地域にもきちんと目を向けることです。
2020年以降の米国株式の上昇は目を見張るものがありますが、長期資産形成に資するポートフォリオを作る上では、グッと我慢して、米国株ファンドの追加購入は見送りましょう。
2:おおむね20%以上のリターンを積み上げていて、次に投資したいファンドがある
これは、積み立てではなく、主に一括購入で、アクティブファンドを購入しているケースを想定しています。特定の業種やテーマに沿った銘柄を組み入れる、「テーマ型」と呼ばれる投資信託が一例です。
こうした投資信託では、市場の潮目が変化するタイミングを見極めて、適宜利益確定をしていくことも重要です。
ただし、利益が出ているからといってすぐに売却に走るのではなく、その売却益を使って、次にどの投資信託(または他の金融商品)に投資するか、事前に考えておきましょう。
せっかく利益確定をしても、売却益相当分が投資機会を失われたままでいるというのは、長期投資を続ける上で避けたいところです。
インデックスファンドの積立投資では、小刻みに利益確定は避けるべき
上記の2点いずれにも当てはまらない場合、特に、インデックスファンドで積み立てを実践している場合は、小刻みに利益確定をすることはおすすめしません。
というのも、インデックス=市場全体への投資は、原則として「世界経済は長い目で見れば拡大していく」という前提に基づいているからです。
利益確定を行うことにより、途中で事実上「離脱」してしまうと、その資金はやはり投資機会を奪われた状態になってしまいます。インデックス投資の場合は、タイミング投資に走るのではなく、市場に「居続ける」ことが何よりも重要です。
なお、世界経済拡大の恩恵を着実に受けるためには、特定の地域だけではなく、世界全体に目を向ける必要があります。株式市場が好況なときというのは、どうしても目先の高いリターンを追い求めて、こうした原理原則を忘れてしまいがちになります。
集中投資も一つの投資方法ではありますが、長期分散投資のためにインデックスファンドを活用するなら、特定の地域や業種に偏らせるのではなく、「全世界株式インデックス」をポートフォリオの土台にするとよいでしょう。
世界の実質GDPの推移
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/9/-/img_799b65d2447d52bc62d9f1277de6907869273.jpg)
出所:IMF(国際通貨基金)データを基に楽天証券経済研究所作成
世界の経済成長率は短期で見ると大きく上下していますが、長期で見ると、GDP(国内総生産)の累積成長率に与える影響はさほど大きくないことが分かります。だからこそ、市場に「居続ける」ことが大切です。
(篠田 尚子)
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