コロナ猛威は止まらず。日本株は好調な米国株頼みの展開が続く!?
トウシル / 2021年8月16日 15時13分
コロナ猛威は止まらず。日本株は好調な米国株頼みの展開が続く!?
新型コロナウイルス感染症の爆発的なまん延に加え、線状降水帯による水害多発と、多難が続く国内状況。今週16日(月)から20日(金)の日本株は値固め、もしくは我慢の1週間になりそうです。
国内の海運株や求人関連株が好調。米国株は最高値更新!
先週がお盆ウイークだった日本市場は、日経平均株価が2万8,000円の大台を一時回復するなど、底堅く推移しました。
コロナ禍による物流網のひっ迫で船賃上昇の続く明治海運(9115)など中小型海運株が急騰したほか、12日(木)に今期業績を早くも上方修正したリクルートHD(6098)の株価が翌日に10%上昇するなど、業績回復が鮮明な求人関連株も好調でした。
米国では、11日(水)に発表された7月のCPI(消費者物価指数)が前年同期比5.4%増と予想の範囲内に収まり、物価上昇が際立っていた中古車やガソリン価格、航空運賃の伸びが鈍化したこともあり、13日(金)にはNYダウ、S&P500がそろって過去最高値を更新。それも先週、日本株が底堅く推移する要因になりました。
日本株自体の上昇力はそれほど強くないのですが、米国株が好調すぎるので、日本株も大きく下がらない、といった状況が続いています。
とはいえ、12日(木)に発表されたPPI(米国生産者物価指数。企業サイドの物価動向を示した指標)が前年比7.8%増と2010年以来で最大の伸びを記録。
これを受けて、米国の10年国債の金利が1.3%台まで上昇し、金利が上昇すると下落しやすい成長株主体のナスダック総合指数は週間で小幅ながら下落しました。
米国の12地区にある連邦準備銀行の中には、10月からテーパリング(量的緩和策の縮小)を開始すべきと主張する総裁もいるなど、テーパリング開始時期についての議論が今後は米国株の不安要素になりそうです。
中でも8月のこの時期になると注目されるのが、米国ワイオミング州ジャクソンホールで毎年、各国中央銀行要人などを集めて開かれる経済シンポジウムです。
今年は8月26日~28日に開催される予定ですが、その席でFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が従来のハト派(金融緩和的な政策を支持する傾向)的な言動で市場の懐疑心をなだめるのか、それとも一転、テーパリングの具体的な内容に踏み込むのかに注目が集まります。
国内GDPの年内急回復は期待薄。米国ではテーパリング議論が本格化!?
本日16日(月)朝には、日本の4-6月期のGDP(国内総生産)の速報値が発表されました。緊急事態宣言下にあったため、国内消費は落ち込んだものの、企業の設備投資拡大で実質GDPは2四半期ぶりにプラス転換し、前期比1.3%(年率換算)の伸びを記録しました。
しかし、日本の実質GDPは米国と違って、いまだコロナ禍前の2020年1-3月期の水準を超えていません。7-9月期もコロナ禍の影響が残ることから、内需産業も含めたコロナ超え回復は来年にずれ込む可能性が高いでしょう。
米国では物価上昇や景気失速懸念を占う意味でも、17日(火)に発表される7月の小売売上高が注目されるでしょう。
市場予想は小幅な落ち込みですが、デルタ株(インド由来の変異株)の感染再拡大で個人消費がどれぐらい落ち込むのか、もしくは予想外に健闘するのかが、今週も米国株が史上最高値を更新できるかどうかの鍵となるでしょう。
5月に早期利上げ懸念で急落して以降の米国株は、景気が加速して金利が上昇する思惑が広がると金融株、資源株、消費関連株の寄与度が高いNYダウが上がり、金利低下やデルタ株まん延による景気先行き懸念が広がると、逆にIT株の多いナスダック指数が上昇する展開が続いています。
いずれにしても、どちらかが上昇して、史上最高値を順繰りに更新していく展開は当面、続きそうです。
米国株の上げにはなかなかツレ高できない日本株ですが、米国株が下げればそれ以上に急落する可能性もあるので注意が必要です。
中国のIT、教育、ゲーム産業への統制強化や、アジア全域に広がるデルタ株感染拡大で、香港市場のハンセン中国企業指数やフィリピン、マレーシアの株価指数は今年に入って10%前後下落しています。
半導体関連の多い台湾や韓国の株価指数は好調ですが、ワクチン接種がゲームチェンジャーになり、昨年とは違ってコロナの感染状況が深刻なアジア株は、日本株も含めて世界的に見て「最弱」といえる状況にあります。
まずは一刻も早く、「災害レベル」といわれる国内感染者・重症者の拡大に歯止めがかかってほしいものです。
(トウシル編集チーム)
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