1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

夜明け前が一番暗い…マザーズ指数は無常の節目割れ、そして夜が明ける

トウシル / 2021年9月7日 11時22分

写真

夜明け前が一番暗い…マザーズ指数は無常の節目割れ、そして夜が明ける

8月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 最悪級の悪地合いで突入した8月の新興株市場。強い米国株という後ろ盾はあるものの、「だったら米国株を買えばよくないか?」は日本の投資家の間でも浸透していますしね…。むしろ、深刻だったのがアジア株安(とくに香港株の下落)。

 取引時間帯が重なる日本株はアジア株安との相関が強く出ました。中国ネット企業に対する政府の統制強化が嫌われ、アリババやテンセント、バイドゥなどが大幅調整。アリババを保有するソフトバンクGが安値を切り下げ、猛暑に逆行して個人投資家のセンチメントは冷えっぱなし。

 この状況ではマイナス思考が増幅するのか、デルタ株の感染拡大、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨によるテーパリング懸念、アフガニスタン情勢への不安、半導体市況のピークアウト懸念、そしてトヨタ減産によるショック連鎖懸念…いろんな角度から飛んできたマイナス的材料を極度にマイナス材料視し、株価の重石にしていたようでもありました。

 そんななかで、下落基調を続けてきたマザーズ市場は、まさに“落ちてくるナイフ”状態に。3カ月前の決算発表シーズンの悪夢をほうふつとさせるように、決算発表に向けて地合いは悪化の一途をたどりました。

 直近IPO(新規公開株)がほぼ全滅、決算発表銘柄もほぼ下落(決算悪いと急落、良くても難癖付けられ急落する銘柄多発)。また、今回の決算発表シーズンは、“炭鉱のカナリア”的に海運株が大フィーバー。郵船と商船三井の大掛かりな増配に関心が向かったことも、増配とは無縁のマザーズ銘柄には逆風で…。

 安値銘柄が続出する状態で、一挙200社超を消化した8月第2週の決算発表ピークを通過。16日にはマザーズ銘柄だけで10%超の下落率銘柄が26も出てくる惨状となり、翌17日にマザーズ指数は節目の1,000ポイント割れ。

「もうダメか」と落胆ムードが広がった辺りで、静かに底入れしました。需給で壊れた相場ですので、需給でしか修復できない…ということでいえば、株価下落によって売らざるを得なくなった買いポジションの整理は、銘柄ごとに進んでいたということでしょう。

 売りが少なくなるなか、薄商いの中でリバウンドする銘柄が多く生まれました。壊滅状態だった直近IPO銘柄も復活モードに。一時、前月比で8%強の下落率となっていたマザーズ指数は、安値を付けた17日から月末にかけて14%以上のリバウンドに成功。

 月間騰落率は、日経平均株価+3.0%、TOPIX(東証株価指数)+3.1%、日経ジャスダック平均+0.5%に対して、東証マザーズ指数は+4.6%と大ドンデン返しの8月相場でした。

8月の売買代金ランキング(人気株)

 値動きの悪いマザーズ銘柄を敬遠するムードが広がり、個人の短期勢の資金は今夏の主役になった「海運株」に流れました。海運株フィーバーが強まった5日、10日にマザーズ市場の売買代金は1,000億円を割り込み、今年の最低を更新。

 下落トレンドで流動性が低下すると(板が薄くなると)、同時に大量の売り注文が出るタイミング(決算発表通過など)での下方向の振れ幅が異常に大きくなります。

 下方向の振れ幅が大きくなると、逆張りの買い指値も、現在水準よりかなり下の水準に入れる投資家が多くなります。ロスカットの成行売り(積極的な売り)が増え、消極的な逆張り買いで受け止めるという悪循環が続きました。

 マザーズ市場が底入れする17日にかけ、流動性は大きく低下。月後半のリバウンド時には売買代金も回復傾向となりましたが、売買代金25日移動平均値は前月比で減少する銘柄が大半でした。

 売買代金ランキングトップのプレミアアンチエイジングも77.4億円と、前月の95.9億円に比べると大幅な減少となっています。

市場 コード 銘柄名 8月末
終値
時価総額
(億円)
売買代金
25日移動平均値
(億円)
月間
騰落率
マザーズ 4934 Pアンチエイジ 16,120 1,406 77.4 6.0%
マザーズ 4385 メルカリ 5,440 8,627 70.8 -4.9%
マザーズ 7370 Enjin 4,785 353 60.0 44.3%
ジャスダック 8256 プロルート 369 109 57.2 -8.9%
マザーズ 7379 サーキュ 4,200 342 53.5 -2.3%
ジャスダック 4582 シンバイオ 1,072 412 52.9 -46.6%
マザーズ 4477 BASE 1,144 1,268 48.6 0.4%
ジャスダック 6890 フェローテック 3,240 1,212 38.3 12.2%
マザーズ 3998 すららNT 2,753 184 34.7 38.8%
マザーズ 4068 ベイシス 6,400 116 32.5 -11.4%
マザーズ 3936 グロバルウェ 6,240 73 31.9 101.0%
マザーズ 7342 ウェルスナビ 3,805 1,735 31.3 -10.3%
ジャスダック 2702 マクドナルド 5,250 6,980 29.1 6.3%
マザーズ 5759 日本電解 3,340 242 28.8 9.3%
マザーズ 4485 JTOWER 9,130 2,007 26.6 25.8%
マザーズ 4475 HENNGE 4,850 787 26.4 49.5%
マザーズ 2158 FRONTEO 1,790 702 26.0 65.6%
マザーズ 4074 ラキール 2,150 162 25.8 8.1%
ジャスダック 1407 ウエストHD 4,905 2,258 24.8 -0.2%
マザーズ 4478 フリー 8,920 4,894 22.1 -5.1%

売買代金ランキング(5銘柄)

1 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 マザーズ界の“ユニクロ”(指数ウエイト的に)の急落が、8月にマザーズ指数が年初来安値を付ける元凶となりました。

 日経平均におけるファーストリテイリングの指数ウエイトは9%台ですが、マザーズ指数におけるメルカリのウエイトは約12%。そのメルカリが大きく下落したのも、決算発表がきっかけでした。

 12日の引け後、2021年6月期の本決算を発表。前期実績は57億円の最終黒字(前期は227億円の赤字)で、上場来で初の通期黒字決算に。ただ、これは事前の上方修正で織り込み済み。

 注目はガイダンスですが、2022年6月期の見通しは「未定」でした。意外だったのが、決算を受けた株価反応。翌13日は上昇で始まり、上場来高値を試そうとした矢先、強烈な売りで反転…13日の始値6,280円から、18日の安値4,990円まで約2割の急落に。

 これだけで、マザーズ指数を2%以上、押し下げた計算になります。その後、外資系証券の投資判断引き上げなどで持ち直しましたが、マザーズ界の“ユニクロ”の影響力の大きさを改めて考えさせられる8月相場に。

2 プロルート丸光(8256・ジャスダック)

 前月からコロナ関連の材料で盛り上がっていましたが、それでも前月末の売買代金は16億円程度。それが、8月は25日移動平均売買代金で57億円まで膨らみランクイン。小型の低位株に材料が付くと、ここまで盛り上がるのか? という驚きの展開でした。

 7月に急騰したきっかけは、同社が子会社化を予定していたマイクロブラッドサイエンスが、新型コロナウイルス治療薬の開発で変異株に対応できる有望な結果を示したというリリースでした。

 8月も続報として16日の前引け後、マイクロブラッドサイエンスの開発するコロナ治療薬が創薬の段階に進むと発表。翌17日に付けた高値730円まで水準を切り上げました。

 なお、24日の引け後、筆頭株主が持ち株を市場内とPTSで売却したと発表。「まあ、売りますよね…」的な顛末でひと相場終了?

3 BASE(4477・東証マザーズ)

 前月に上場来で最大の下落率(▲32%)を記録したBASEは、8月も下値を切り下げ、年初来安値は(マザーズ指数底入れ翌日の)18日に付けた968円でした。

 マザーズ株の底入れと合わせてリバウンドに転じ、月間ではかろうじてプラスに。信用買い残を積み上げていたこともあり、最悪なマザーズ需給の象徴のような存在でした。

 警戒されてきた5日の決算発表ですが、今上期は最終損益が2.46億円の赤字に転落。赤字転落を嫌った面もありそうですが、ポジティブサプライズ要素が無い限りはシビアな株価反応が続出する悪地合い。

 また、メルカリが新規事業としてEC支援への本格参入を打ち出すなど、競争激化の連想も嫌われました。なお、決算発表からしばらくし、一部外資系証券では同社の投資判断を「ニュートラル」から最上位の「アウトパフォーム」に引上げています。

 ショップあたり月間流通総額の底入れが確認できている点などを前向きに見るべき点もあるようです。

4 フェローテック(6890・ジャスダック)

 ジャスダックの老舗銘柄が、決算サプライズで堅調な値動きに。同社は13日、第1四半期決算を発表。

 第1四半期の営業利益が前年同期比3倍になり、同時に通期の営業利益予想を前期比2倍の200億円(従来予想は150億円)に大幅増額しました。配当も、従来の年間配当1株30円から46円へと大幅に積み増し。

 半導体市況も好調で、製造装置向けの真空部品、石英・セラミックスなどの販売が伸びたようです。

 修正後の1株当たり利益は535円ですので、予想PER(株価収益率)は6倍程度。バリュエーション指標でかなり割安感がありますし、27日には一部国内証券が目標株価を4,200円から5,000円に引上げていました。業績好調で、株主還元のさらなる強化に期待できると。

5 すららネット(3998・東証マザーズ)

 昨年のコロナラリー時に人気化しましたが、8月下旬にひさびさ脚光を浴びる場面。そのきっかけが、世界的な新型コロナウイルス感染の再拡大。デルタ株の感染が国内外で広がりましたが、デルタ株は子どもの感染も増加。

 9月の夏休み明けの学校再開が近づくなか、臨時休校などの対応で夏休み延長が広がるのではないか? という不安が広がりました。

 この話題をメディアも多く取り上げたことで、オンライン教育関連株の代表格として人気が再燃。そこに燃料を投下するように23日、今期業績予想の上方修正も発表されました。27日には終日の売買代金で329億円という、時価総額の2倍規模となる大商いも記録。

 これは、上場来でも1日の売買代金としては最大でした。物色意欲が高いことはいいことですが、とはいえ毎度のことですが、極端過ぎるほどにやり過ぎで…。

8月の株価値上がり率ランキング

 前月に続き、(年前半の)INCLUSIVEをほうふつとさせる大相場を演じるグローバルウェイがランクイン。前月の月間上昇率158%に続き、8月も101%と2カ月連続で株価は2倍以上に。そのほか、決算発表で台頭した銘柄も多くランクインしています。

 知名度が高く、信用買い残の多い新興のグロース株は、好決算でも出尽くし売りと称した非情な反応に泣かされた8月でした。ただ、事前の知名度が低く、時価総額が小さく、信用買い残も少なく、流動性の低かった不人気銘柄の場合は全くの別反応。

 ここまで買うか? くらいの勢いで急騰する銘柄も少なくなく、手掛かり難の中で、短期マネーが手あかの少ない決算サプライズ銘柄には大挙。極端過ぎる決算プレーが発生しました。

 月後半は、マザーズ指数が安値を付ける最悪地合い下で、安値までの下落率が大きい銘柄のリターンリバーサルを狙う動きも広がりました。

市場 コード 銘柄名 月間
騰落率
8月末
終値
前月末
終値価格
時価総額
(億円)
マザーズ 7089 フォースタ 116.4% 3,305 1,527 113
マザーズ 3936 グロバルウェ 101.0% 6,240 3,105 73
ジャスダック 5820 三ッ星 80.8% 2,815 1,557 36
ジャスダック 7855 カーディナル 74.3% 922 529 20
ジャスダック 9941 太洋物 69.7% 1,010 595 13
マザーズ 2158 FRONTEO 65.6% 1,790 1,081 702
マザーズ 9272 ブティックス 63.1% 2,799 1,716 142
ジャスダック 6626 SEMITEC 61.6% 8,500 5,260 242
マザーズ 6034 MRT 60.9% 2,421 1,505 138
マザーズ 6069 トレンダーズ 60.6% 1,063 662 81
マザーズ 7072 インテM 60.2% 1,575 983 49
マザーズ 7082 ジモティー 56.5% 2,890 1,847 173
マザーズ 4475 HENNGE 49.5% 4,850 3,245 787
ジャスダック 9073 京極運 45.9% 1,243 852 40
マザーズ 7372 デコルテHD 44.4% 1,398 968 79
マザーズ 7370 Enjin 44.3% 4,785 3,315 353
マザーズ 6094 フリークアウト 43.5% 2,300 1,603 399
マザーズ 7036 イーエムネットJ 42.6% 7,130 5,000 136
ジャスダック 7809 壽 屋 40.3% 2,906 2,072 81
ジャスダック 4837 シダックス 39.8% 425 304 174

値上がり率ランキング(5銘柄)

1 フォースタートアップス(7089・東証マザーズ)

 5日発表の決算発表をきっかけに急騰。昨年3月の上場直後に付けた高値を、決算によるギャップアップで突き破るという珍しい動きに。

 同社は5日に第1四半期の決算を発表し、このタイミングで通期予想を修正しました。この修正幅にサプライズが発生、営業利益予想は従来の1.8億円から4.5億円への大幅増額でした。

 IPO後に株価が低迷し、人気離散で売買低迷…こういう動きになるIPOが大半ですが、人気が無かったことで急騰につながった面が非常に大きいといえます。決算発表直前の時価総額は約50億円だったのですが、信用買い残は2,500万円相当しかありませんでした。

 決算に期待して信用で持っていた投資家がほぼ皆無…そこに新規の買いが群がったことで生じた需給ギャップで跳ね上がったパターンです。

2 グローバルウェイ(3936・東証マザーズ)

 7月後半から始まったグローバルウェイ劇場。7月21日の1,103円から始まり、8月12日に付けた高値は8,390円。ただ、翌13日からドテン売り気配となり、2日連続ストップ安売り気配に。

 17日は値幅制限が下限のみ4倍適用となり、この日の安値は3,265円。高値から安値まで、3営業日で半値以下に。壮絶な上げの反動は壮絶な下げで、「これでひと相場終わったか?」と思われていましたが…。

 グローバルウェイ劇場“シーズン2”開幕!そのきっかけは26日に発表された1対5の株式分割でした。5分割発表によるストップ高で再点火した直後(27日引け後)、今度は通期予想の上方修正(保有するベンチャー企業の売却による特別利益約4,900万円計上)を発表。

 さらに、タイミング良く東証が信用規制を解除したため、燃え始めた火に燃料が複数投下され、“シーズン1”を超えるほどの盛り上がりに発展中の“シーズン2”。

3 カーディナル(7855・ジャスダック)

 MBO(経営陣が参加する買収)の発表で値上がり率上位にランクイン。同社は5日、MBOを実施し、株式を非公開化すると発表しました。TOBでの1株当たり買付価格は851円と、5日終値573円を約5割上回る水準に設定されていました。買付予定数には上限設定が付いていません。

 このパターンはTOB価格にサヤ寄せするわけですが、8月末終値は922円とTOB価格を大きく上回っています。これはなぜか? おそらく、プレミアムが約5割付いたといっても、それでもTOB価格を安いと感じている投資家が多いからでしょう。

 TOB価格でもPBR(株価純資産倍率)は0.8倍未満ですので、「最低でもPBR1倍で設定しないとTOBに応じない株主が多く、MBO価格の引き上げもあり得る」という思惑が働いていそうです。

4 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 決算発表通過で売り叩かれるマザーズ銘柄が相次ぐなか、決算サプライズで高値奪回を果たす希少な存在に。結果、流動性の面でもマザーズ上位に浮上しています。16日の第1四半期決算発表のタイミングで、通期予想を大幅増額。営業利益予想は従来の6億円から倍増の12億円に。

 リーガルテックAI事業でAIレビューツールの「KIBIT Automator」が日本・アジアで大型案件を受注したようです。

 決算発表後の上昇で7月に付けた最高値をブレイクし、数少ないモメンタム銘柄としてトレンドフォローの短期資金も殺到。決算で株価が上向く過程で、京大との共同研究開始や韓国子会社でのメール&チャット監査システムの提供開始といったリリースが随所に出ました。

 強い材料かどうかは抜きにして、株価が強い時期に刺激材料が投入されるサイクルは6月の急騰時に似ていました。

5 トレンダーズ(6069・東証マザーズ)

 決算サプライズでド派手な上昇に。13日に発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比2.7倍、営業利益が同2.2倍の2億円で着地しました。美容向けメディアやSNSなどを活用したデジタルマーケティング事業が絶好調のようで、前期比の変化率にインパクトがありました。

 通期予想は据え置いていますが、売上高の通期予想に対する進ちょく率は第1四半期にして4割強、営業利益は5割強。これから上方修正が出るのは確実と市場は見ているようですね。

 そもそも期待値が低かった(決算発表直前の信用買い残も過去1年で最低水準)こともあり、決算発表翌日から2日連続ストップ高買い気配に。

9月に注目したい新興株の動き

 尋常ではない需給悪化で、1,000ポイントの節目を割れたマザーズ指数。ただ、ここでアク抜けし、ひさびさの自律反発を果たしました。

 指数もかなり戻しましたが、個別株でも「こんな上がったの!」と驚くほどのリバウンド銘柄が続出。一安心ではありますが、今後の新興株市場に楽観できるとも思えず、あくまで一安心程度?

 というのが、同じことが3カ月前にも起きているからです。3カ月前の安値を付けた5月も(この8月も)、反転ポイントは「決算発表ラッシュを通過後」でした。

 決算発表ラッシュに向けて、下げが下げを呼ぶ、売りが売りを呼ぶ格好でローソク足でいう“陰線”連発で崩れました。完全に需給で崩れたわけですが、底入れ時も底入れ後も「売買代金が増えていない」のが特徴。

 教科書的には、底入れ時はセリングクライマックス(損失に耐えられずロスカット、価格破壊を起こしたところでの押し目買いが大量にぶつかり合い、株主がごろっと入れ替わる現象)になり、出来高が急増すると言われます。

 それが、3カ月前も、そして今回も起きていません。気付いたら下げ止まり、気付いたら戻していた…そんな感じ。

 このパターンでは、一定量のロスカットが進んで安値圏での売りは減っている一方で、安値圏で買った投資家も短期の投資家である可能性が高いといえます。

 とくに、マザーズでいえば、中小型グロース系のアクティブファンドのような機関投資家が安値圏で買っている感じはありません。

 つまり、短期の個人の売りを短期の個人の買いで吸収した可能性が高く、また下がり始めると、同じことが起きるということです。実際、3カ月前で起きたことが3カ月後の8月に起きたわけで…。

 ある程度は戻しても、前回高値までは戻せない…そうこうしているうちに、3カ月に1回訪れる四半期決算の集中シーズン(次は11月)が訪れるという展開は考えておくべきだと思います。

 決算発表でいえば9月は少ないですが、10日にセルソース、13日にビジョナル、14日にプレミアアンチエイジング、スマレジ、サンバイオなどが予定。流動性ではマザーズトップ級のプレミアアンチエイジングは本決算ですので、内容と株価反応には注目されます。

 9月はIPOも比較的多く、これも「IPO以外のマザーズ銘柄の流動性を奪う」という意味でマイナスでしょうか。下がり始めれば、バリュエーションが高いとか、少し整理されたとはいえ信用買い残が多いとか、難癖を付けられながら地合いを悪くするのがマザーズ市場。

 9月は、菅総理の退陣意向を受け、政権刷新を期待していた投資家が多いのか“変化は買い”的な強い初動を示しています。

 自民党総裁選が不透明感を増していますが、急激に日経平均が上がり始めた中、たまっていた日経平均ショートのポジションが買い戻しを迫られる「踏み上げ相場」の雰囲気が強まっています。

 日経平均がグイグイ上がるなら、マザーズなど新興株市場にもマイナスでは無いはず。ただし、日経平均上昇の理由が買い戻しという需給要因だとすれば、マザーズには買い戻し要素がほぼ皆無。

 日経平均がグイグイ上がるなか、マザーズは全然上がらないという昨年11月~今年1月に起きた展開を有力シナリオと考えます。

(岡村 友哉)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング