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政局相場続く。外国人の日本株買いで「ワニのくち」閉じる

トウシル / 2021年9月13日 7時43分

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政局相場続く。外国人の日本株買いで「ワニのくち」閉じる

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
[動画で解説]政局相場続く 外国人の日本株買いでワニのくち閉じる
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外国人の日本株買いで、ワニの口が閉じる

 先週(9月6~10日)の日経平均株価は1週間で1,253円上昇し、3万381円となりました。「政局相場」が続いています。菅首相辞任で、衆院選での自民党大敗リスクが低下、新総裁の元で大型の経済対策を実施する期待が高まったと見た外国人投資家【注】が日本株を買い戻したことが、日経平均の急騰につながりました。

NYダウと日経平均の動き比較:2020年10月1日~2021年9月10日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 上のチャートを見ていただくとわかりますが、3月から8月まで、NYダウが史上最高値を更新する中で日経平均の下落が続いていたため、NYダウと日経平均がワニの口(くち)が開く動きになっていました。

 ところが8月末から9月にかけて、NYダウが少し下がる間、日経平均が急騰。開いていたワニの口が閉じる動きとなりました。外国人の日本株売りがワニの口を開かせ、外国人の日本株買い戻しがワニの口を閉じる動きを生み出しました。

外国人投資家が日本株を見る目が変わった

 外国人投資家は、なぜそのように日本株を売ったり、あわてて買い戻したりしたのでしょう。それは、外国人投資家の日本株に対する見方が変わったからです。どう変わったでしょうか。大きいのは、政局と経済の見方が変わったことです。

【1】政局の見方が変化

「菅首相の元で自民党が衆院選に大敗、政権が一段と弱体化する」懸念から、「新総裁への期待で自民党支持率が回復、衆院選を乗りきった後、大型財政出動に動く」期待へと変わりました。

【2】日米の消費モメンタム(勢い)の差について見方が変化

 非常に好調だった米景気が来年は減速する懸念が出ています。今年盛り上がったリベンジ消費(コロナ禍でできなかった消費がまとめて出ること)が一巡し、来年は減速する見込みです。

 一方、コロナ感染拡大が長びいた日本の消費は不振です。このままいつまでも不振が長引くと見られていましたが、少し状況が変化する可能性があります。日本でワクチン接種率が急速に上昇し、2回接種完了者の比率が5割を超えた模様です。

 1カ月以内に6割を超える見込みです。遅れていたワクチン接種率が急速に上昇し、欧米並みに高まる見込みです。これを受け、日本でも遅れてリベンジ消費が出るとの見方があります。

 米国消費が減速する中、日本の消費が回復する期待が出たことが、米国株を少し減らして日本株を買い戻すアクションにつながった面もあります。

外国人が支配する日本株の動き

 外国人投資家が日本株を見る目が変わったと考えているので、しばらく日本株が米国株を上回るパフォーマンスになると予想しています。

 外国人投資家といってもいろいろな種類があります。先物主体で素早く動く海外ヘッジファンドもあれば、やや遅れて出る欧米年金や中東・アジアの国家ファンドもあります。

 今のところ、素早く動く投機筋が日本株を買ったと思いますが、日本の政局への期待が続くならば外国人の買いはしばらく続くと思います。やや遅れて動く、海外機関投資家が少し日本株の保有を増やす動きを続けると予想しています。

 いつもお伝えしている通り、日本株の動きを支配しているのは、過去30年、外国人投資家です。外国人は買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売るので、外国人が買い越す月は日経平均が上昇し、外国人が売り越す月は日経平均が下落する傾向が鮮明です。

 外国人投資家は日本の政治をよく見ています。資本主義の構造改革・成長戦略を推進する自民党が選挙で勝って支持率が高まり強いリーダーシップを発揮する時に日本株を積極的に買ってきます。自民党の支持率が低下する時には、日本株を売ってきます。

 自民党新総裁への期待、新内閣が打ち出す経済対策への期待が続く限り、外国人はグローバルポートフォリオの中で、かなり低くしていた日本株の組み入れを少し増やす動きを続けるでしょう。ワクチン接種率が急速に上昇していることも、日本株に追い風となっています。

【参考】外国人投資家は小泉内閣と第2次安倍内閣を高く評価

 2001年4月以降の日経平均の動きと、日本の政権推移を振り返ります。

小泉政権発足以降の歴代首相と日経平均の動き:2001年4月~2021年9月(10日)

出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 上のグラフで、外国人投資家の大量の買いによって日経平均がNYダウを大幅に上回る上昇率になった年が2回あります。赤丸をつけているところです。

 2005年と2013年です。2005年はNYダウが前年比0.6%下落する中で日経平均が40.2%上昇。2013年はNYダウが26.5%上昇する中で日経平均は56.7%も上昇しました。

 この2つの年の共通点は、「解散総選挙で自民が大勝、小泉首相・安倍首相が強いリーダーシップを発揮」したことです。資本主義の構造改革・成長戦略が進む期待から、外国人が日本株を積極的に買ってきました。米国株以上に、日本株が魅力的になったと外国人が考えた年です。

 外国人がいかに日本の政治の変化をよく見ているかご理解いただくために、小泉政権以降の、解散総選挙前後の日経平均をお見せします。解散総選挙後の大きな動きは、外国人投資家が引き起こしています。

衆院解散総選挙前後の日経平均の動きを比較:総選挙の28営業日前から、58営業日後までの動き

出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成。総選挙実施日直前の日経平均を100として指数化。▲28は28営業日前、30は30営業日後、50は50営業日後を示す

 2005年の第3次小泉政権による郵政解散選挙と、2012年12月の第2次安倍内閣がスタートした選挙の直後に、外国人投資家は、日本株を大量に買ってきました。これから同じことが起こるとは考えられませんが、しばらく外国人が日本株を買う展開になると予想しています。

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(窪田 真之)

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