日経平均先物を見る時の注意点:9月28日まで日経平均より約180円低い値で推移する
トウシル / 2021年9月16日 7時50分
日経平均先物を見る時の注意点:9月28日まで日経平均より約180円低い値で推移する
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]日経平均先物を見る時の注意点 9月28日まで日経平均より約180円低い値で推移する」
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結論:これだけ覚えておいてください
今日のレポート内容は、中・上級向けです。日経平均先物についてあまり詳しくない方は、以下の結論だけお読みください。
【結論】
- 9月28日までの日経平均先物(12月限)は、日経平均より180円低い水準で推移する
先物が180円低くても、それは先安観を表すものではなく、理論値通りに値がついているだけです。
たとえば、「前日のCME(シカゴ)日経平均先物の終値が3万円」だったとすると、新しい相場変動要因がその後何も出なければ、「今日の日経平均は3万180円くらいでスタート」すると考えることができます。
- 9月29日以降、日経平均先物(12月限)は、日経平均とほぼ同値で推移するようになる
たとえば、「前日のCME日経平均先物の終値が3万円」だったとすると、新しい相場変動要因がその後何も出なければ、「今日の日経平均は3万円くらいでスタート」すると考えることができます。
今日は、先物の値動きが上記のようになる理由を、解説します。「なぜ、そうなる?」まで、きちんと勉強したい方は、以下をお読みください。
日経平均先物の夜間取引は、翌日の日経平均を先取りすることもある
朝、東京証券取引所が開く前に、「CME日経平均先物が(前日の日経平均終値と比べて)大幅安」というニュースを聞くと、ヒヤリとします。その日の日経平均が大幅に下がって始まることが多いからです。
逆に、「CME日経平均先物が大幅高」と聞くと、期待が高まります。その日の日経平均が大幅に上昇して始まることが多いからです。
通常、日経平均先物(期近)の理論値は、日経平均とほぼ同値です。したがって、「CME日経平均先物が、(前日の日経平均終値より)180円安い」と聞くと、「今日の日経平均は180円くらい下がって始まる可能性がある」と解釈する人が増えます。普通は、その解釈でOKです。
例外として、9月10日(9月のSQ後)から9月28日(9月の権利つき最終売買日)の間に日経平均先物(12月限)を見る場合だけ、見方が異なります。
「約180円下でCME日経平均先物(12月限)の値がついていれば、当日の日経平均は上がりも下がりもしないで始まる可能性が高い」と解釈されます。
9月15日の日経平均先物(12月限)は、日経平均より約180円低い水準で推移
百聞は一見にしかず。それでは、実際に9月15日の日経平均先物(12月限)の値動きを、日経平均と一緒にご覧ください。
日経平均と日経平均先物(12月限)の日中足:2021年9月15日8:45~15:15
ご覧いただくとわかる通り、株式現物と日経平均先物の売買が両方ともできる時間帯(9時~11時30分、12時30分~15時)、日経平均先物(12月限)は日経平均よりも常に約180円低い値がついています。
これを見て、「日経平均先物(12月限)に日経平均の先安観が表れている」という誤った解釈をしないようにしてください。先物(12月限)は、理論値通りに値がついているだけです。
9月の配当金の権利つき最終売買日である9月28日まで、この状況が続きます。ただし、配当金の権利落ち日である9月29日以降は、日経平均先物(12月限)は、日経平均とほぼ同値で推移するようになります。
これだけ覚えてください!2つのポイント
少し難しくて、わかりにくい話になっているかもしれません。すみません。難しい理屈はどうでもいいですが、とにかく、以下2つのポイントだけ、覚えてください。
以下2点だけ頭に入れていただければ、後半の説明はやや難解ですが、わからなくても問題ありません。
- 【ポイント1】日経平均先物12月限の理論値は、9月28日までは、日経平均の値を約180円下回る。その間、先物が日経平均より180円低い水準にあっても、それは、先安観を表しているのではない。理論値通りに値がついているだけである。
- 【ポイント2】日経平均先物12月限の理論値は、9月29日以降は、日経平均とほぼ同値となる。9月29日以降は、先物と日経平均は、ほぼ同じ価格で取引されることになる。
9月決算の配当金の権利落ち(予想額)は180円
9月28日まで、日経平均先物(9月限)は、日経平均よりも約180円価値が低いわけです。その理由は、9月中間決算での配当金にあります。
日経平均(現物)を保有していると、9月中間決算の配当金の権利落ち日(今年は9月29日)に、配当金を受け取る権利が確定します。ところが、日経平均先物(12月限)を保有していても、9月配当金を受け取る権利は得られません。
9月末基準の配当金は、約180円と予想されています。したがって、日経平均先物(12月限)は、日経平均(現物)よりも、180円低い値段が付くのです。
ところが、9月29日以降は、日経平均と先物(12月限)は、ほぼ同値で売買されることになります。9月28日までに日経平均(現物)を買えば、9月末基準の配当金が得られますが、権利落ち日の9月29日以降に買っても、配当金は得られないからです。
先物を持っていても、現物を持っていても、9月末基準の配当が得られないのは、同じです。
したがって、9月29日から12月9日(先物12月限の最終売買日)まで、日経平均先物(12月限)を保有しても、日経平均を保有しても、どちらも9月配当金が得られないという点で、同じになります。したがって、9月29日以降は、両者はほぼ同値で推移することになります。
【参考】日経平均先物(12月限)の理論値の計算方法
詳しい説明は割愛します。概算値を出す計算式を掲載します。
(日経平均先物12月限理論値)=
(日経平均の値)-(12月9日まで日経平均現物を保有することで得られる配当金予想額)+(日経平均現物を購入するのに必要な現金を、12月10日まで短期金融市場で運用した時に得られる利息)
現在、短期金利はほぼゼロなので、金利要因は無視しても大丈夫です。配当落ちは、9月が特に大きいです。6月や12月にもあります。
東京市場の取引時間中は、日経平均先物が理論値から大きくかい離することはありません。かい離すれば、裁定取引が入り、先物は常に理論値の近くに維持されます。
ただし、東京市場の現物取引時間が終了すると(15時以降)、日経平均先物は理論値からかい離して動くようになります。裁定取引が入らないので、大引け後のニュースに反応して、日経平均の理論値から離れて動くわけです。
今日の説明は、わかりにくくてすみません。途中に掲載した「これだけ覚えてください! 2つのポイント」だけ、頭に入れていただければOKです。
▼著者おすすめのバックナンバー
2021年3月11日:日経平均先物を見る時の注意点:3月12~29日は日経平均より約190円低い値で推移する
(窪田 真之)
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