配当利回りランキング2021年10月~長期投資向きの割安好評価株を選定!
トウシル / 2021年10月5日 10時0分
配当利回りランキング2021年10月~長期投資向きの割安好評価株を選定!
アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15
※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。
※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。
上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。
9月30日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。
配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。
ランク外となった銘柄、新規にランクインした銘柄
9月の日経平均株価は前月末比で4.9%の上昇となりました。菅総理の退陣表明を受け、衆院選を控える中で警戒されてきた自民党支持率の回復が期待される状況となったようです。
こうしたなか、ランキング上位銘柄は高安まちまちの動きとなっています。とりわけ、上位4銘柄は下げが目立っています。配当利回り水準が高い分、9月末の配当権利落ちの影響が強く反映される形になりました。
また、アサヒHD(5857)も大幅安ですが、これは米国債利回り上昇に伴う金価格下落の影響が強まったものとみられます。
一方、原油価格の上昇を背景にENEOS(5020)が強い動きとなったほか、ソフトバンク(9434)は菅首相退陣によって通信料金引き下げプレッシャーが後退したものと考えられます。
米国債利回り上昇を受けて、三井住友FG(8316)、りそなHD(8308)などの銀行株も先月末比で上昇となっています。
今回、新規に上位15銘柄にランクインしたのは、西松建設(1820)、日鉄物産(9810)、ふくおかFG(8354)、アサヒHD(5857)、除外は、SBIHD(8473)、INPEX(1605)、熊谷組(1861)、電源開発(9513)となっています。
西松建設はコンセンサスレーティングが引き上がったことが背景とみられます。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が目標株価を4,000円に引き上げたことが材料視される場面もありました。
日鉄物産は、8月に配当予想を引き上げていますが、遅れてコンセンサス利回りの上昇に反映されたものとみられます。アサヒHDは上述したように株価下落で利回りが上昇しました。
除外となった銘柄は相対的な株価上昇で利回り水準が低下しました。とりわけ、INPEX(1605)は原油市況上昇がストレートに株高反応につながっています。
電源開発(9513)に関しては、大和証券、SMBC日興証券と投資判断格下げが相次ぎ、コンセンサスレーティングが低下したため、除外となっています。
ランキング銘柄と相場の注目点
日本郵船(9101)と商船三井(9104)は会社予想ベースの配当利回りとコンセンサス利回りが乖離しています。
会社計画をベースとした利回り水準は日本郵船が8.28%、商船三井が7.28%ですが、両社とも今後一段の増配の可能性が高いので、実質的には表中の数値が適正と考えられます。
また、JFEHD(5411)、日本製鉄(5401)は会社側で通期の配当予想を示していません。
JFEHDは前期の10円配当に対して105円水準がベースになっていますが、上半期に60円実施のため、一段の配当水準の切り上がり余地は大きいとみられます。
一方、日本製鉄は前期の10円配当に対して122円水準がベースになっています。上半期に55円実施のため、ほぼ表中の利回りは適正水準とみられます。
西松建設(1820)、ミクシィ(2121)、丸紅(8002)などの予想配当利回りに関しては、会社計画比での配当金増額を織り込んでいます。
9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を境にして、米国の長期金利は上昇傾向となってきています。金利が上がると、長期のリターン期待が低下するのでグロース株の妙味が低下し、相対的にバリュー株が優位となります。(※)
そのため高利回り銘柄などにはフォローの流れと考えられ、中間期末配当権利落ちで調整している高利回り銘柄などは押し目買いのチャンスとも捉えられます。
とりわけ、海運株などは、今後の業績上方修正、それに伴う一段の増配アナウンス期待が高いと考えています。ただし、海運株は来年度の配当水準は大きく減少が見込まれるため、今年度の増配発表で株価が上昇した局面は、利食い売りの好機となるでしょう。
(※)補足:金利が上がるとバリュー株が相対的に優位になる理由
バリュー株とグロース株に分けた場合、バリュー株は株価水準の割安感が、グロース株は長期間での利益成長が投資妙味となります。
グロース株は、長期の間利益成長が継続することによって、将来的に利益水準が膨らみ、将来のある時点では利益成長しないバリュー株よりも割安感が強まるとの期待が持てます。【例】株価が1,000円のバリュー株とグロース株がある場合
バリュー株:現在のEPS(一株当たり当期純利益)が100円、5年後のEPSも100円とすると、現在のPER(株価収益率)は10倍、5年後も10倍です。
グロース株:現在のEPSが10円とすると現在のPERは100倍ですが、年間80%の利益成長が続くと仮定すると、5年後のEPSは189円になります(10×1.8×1.8×1.8×1.8×1.8)。その場合、5年後のPERは5.3倍になります。
ただし、長期間持つ場合は金利を考慮しなければいけません。年間の利益成長から金利分を差し引く必要があります。
金利が20%の場合、上記のグロース株の式は1000/{10×(1.8×0.8)×(1.8×0.8)×(1.8×0.8)×(1.8×0.8)×(1.8×0.8)}となり、5年後のPERは16.1倍と計算されます。
さらに30%の場合だと、1000/{10×(1.8×0.7)×(1.8×0.7)×(1.8×0.7)×(1.8×0.7)×(1.8×0.7)}となり、5年後のPERは31.4倍との計算になります。
つまり、金利が上昇すると、長期のリターン期待が低下するので、グロース株の妙味が低下することになります。
当然、バリュー株も金利の上昇はマイナスに寄与しますが、こちらはむしろ、現在時点での割安感が妙味となるので、グロース株よりは相対的にバリュー株が優位となるのです。
(佐藤 勝己)
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