「今、ドルを売ってはだめ!」 週末の重要イベントを前に投資家はリスク回避優先か。今日の注目通貨はユーロ/円
トウシル / 2021年10月7日 9時3分
「今、ドルを売ってはだめ!」 週末の重要イベントを前に投資家はリスク回避優先か。今日の注目通貨はユーロ/円
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは112.30円
↓下値メドは110.65円
中国の石炭価格が過去最高値。北京と上海では計画停電。インドも計画停電のおそれ
6日(水曜)のドル/円は 「横ばい」。高値111.79円、安値111.20円、1日の値幅0.59円。
少し円安に戻してこの日は111.44円からスタート。東京時間に111.79円まで上値を伸ばすが、112円の前であきらめると、NY時間には111.20円まで下押し。終値は111.43円(前日比▲0.03円)
週末のイベント(米雇用統計、中国市場再開と恒大集団の破綻リスク)を意識して株価は不安定な状態。投資家がリスク回避姿勢を強めるなかで「今はドルを手離すな」というムードがドル高として表れ、 ユーロ/ドルは対ドルで年初来安値を更新しました。FRBが緩和縮小へ進むなかで、ECB(欧州中央銀行)やRBA(豪準備銀行)が緩和継続姿勢を崩さないことも、ドルの優位性を高めています。
ユーロやポンドは、ドルだけではなく円に対しても下げたので、ドル/円は対ドルでは円安、しかし対欧州通貨では「円高」。109円にも112円にも行けない中途半端な状態になっています。ドル/円の押し目買い意欲はまだ旺盛なようですが、週後半の重要イベント前に追いかけて買うのも危険か。
日本の新型コロナ対策の方針は曖昧ですが、基本は「ゼロ・トレランス(感染は一切容認しない)」。しかし、欧米ではゼロ・トレランスは放棄して、病院の収容力や死亡率に基づいて移動制限を決定する対策をとっています。
その結果、ワクチン接種の進展によってコロナウイルス感染の重症化を防ぐことができるようなったという理由で、欧州ではたとえ感染者数が減らなくても、次々と移動制限が解除されています。しかし、米国とイスラエルの入院率が再び高水準になり、長期的に効果が持続しないことが明らかになった今、ワクチンによる経済保護効果を過大評価しているのではないかという疑問がでています。
主要指標 終値
今日の為替トレッキング
今日の一言
ポールとジョンが主な才能の源であったということは、疑う余地もない。ジョージ、リンゴ、そして私(ジョージ・マーティン)の三人の才能は、この二人の才能を補うものでしかなかった。音楽的な面からみても、私たち五人は対等ではなかった。二人の力が大きすぎ、残りの三人はたいしたものではなかったのである。- ジョージ・マーティン
My Ever Changing Moods
9月23日、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長はFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見において、「早ければ次回FOMCで緩和縮小の開始を発表する」と事前告知しました。次回のFOMCは11月2、3日なので、約1カ月後ということになります。
緩和縮小のスケジュールについてパウエル議長は「終了は2022年半ば頃が適切だろう」と述べています。現在の量的緩和政策におけるFRBの債券購入額は月1,200億ドル。2022年6月に終了するためには、毎月150億ドルずつ縮小していくとして、8ヵ月必要。緩和縮小はしたがって、今年の11月から始まることになります。
FRBはインフレに関して「著しくエスカレートしている」という見解を共有しています。しかし、エスカレートしているけれど一過性なのか、それとも長く続くのか。実はこの点が重要なのですが、明確になっていません。パウエル議長は、このインフレが想定していたよりも「しつこく持続している」ことは認めています。
緩和縮小は雇用に関わる政策、利上げはインフレに関わる政策と、目的がそれぞれ違います。一般的な順序としては、まず量的緩和を終了して政策をニュートラルに戻す。引締め政策である利上げはその次の段階になります。
FRBは、緩和縮小と利上げは別物だと繰り返していますが、市場関係者は、緩和縮小と利上げはワンセットだと考えています。緩和縮小は、FRB金融政策正常化というフルコースのなかの前菜のようなもの。前菜の次はメインの「利上げ」を期待するのは当然です。
ところが米国経済では、インフレ目標が完全雇用より先に達成される可能性が高いという現象が起きています。つまり、政策の目的を考えると、前菜(緩和縮小)の前にメイン(利上げ)をマーケットに提供しなくてはいけない。インフレが暴走を始める気配の英国でも、BOE(イングランド銀行)が、 量的緩和終了の前に利上げを実施する考えを示しています。しかし、BOEはともかくFRBが逆転技で利上げを先に実施することを決めたら、世界の金融市場は大混乱します。
順番を変えるかわりに、最大雇用を達成したと確信するまで緩和縮小を遅らせるという技もあります。緩和縮小開始を延期するなら利上げも延期ということになる。ではインフレを放置するのか?ここで、インフレが一過性かどうかという判断が、重要な意味を持ってくるのです。
今日の注目通貨:ユーロ/円
予想レンジ ↑131.06円 ↓127.22円
今週のユーロ/円のブルベアの分かれ目は129.14円
129.14円より上ならばユーロ買いが優勢、129.14円より下ならばユーロ売りが優勢
2021年これまでの高値は134.12円、安値は125.09円。平均値は129.61円。
1日の最大値幅は1.85円、最小値幅は0.29円。平均値幅は0.67円。
2021年のこれまでの値幅は9.03円。
134.12円 : 2021年 高値
131.79円 : 第4 レジスタンス(HBO)
131.06円 : 第3 レジスタンス
130.75円 : 09月 高値
130.33円 : 第2 レジスタンス
130.10円 : 第1 レジスタンス
129.67円 : 09月 61.8%
129.34円 : 09月 平均値
129.14円 : ピボット
129.00円 : 09月 38.2%
128.18円 : 第1 サポート
127.95円 : 第2 サポート
127.93円 : 09月 安値
127.22円 : 第3 サポート
126.49円 : 第4 サポート(LBO)
2021年 ユーロ/円データ
(荒地 潤)
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