なぜ同じ投資信託が何本も?かんたんポイントで優秀ファンド選び
トウシル / 2021年10月9日 8時0分
なぜ同じ投資信託が何本も?かんたんポイントで優秀ファンド選び
投資信託の名前が似ていて、紛らわしい問題
検索エンジンや「投信スーパーサーチ」を使って投資信託を検索したとき、似た名称のファンドが何本も出てきて戸惑ったという経験はありませんか。
これは、投資信託を組成・運用する運用会社では、投資家のニーズに応じて、実質的に同じ投資信託で複数のコースを設けることがあるためです。
例えば、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」を検索すると、AコースからDコースまで、計4本がヒットします。パッと見ただけでは、どれを選べばよいのか、どれが自分に合っているのか、判断が難しいかもしれません。
そこで今回は、複数のコースが展開されている投資信託で、確認したいポイントについて解説します。
複数コースがあるのはこんな理由
実質的に同じ運用を行う投資信託で、複数コースが展開される典型的なパターンは以下の二つです。
1)為替ヘッジの有無
2)決算回数(分配頻度)の違い
1)為替ヘッジの有無:基本は「為替ヘッジなし」を選ぶ
為替ヘッジとは、為替変動の影響を抑えるための「保険」のような機能です。
円が主要通貨に対して上昇する円高の状態(例:1米ドル100円から90円になる)は、外貨建て資産に投資する、投資信託のリターンを押し下げます。そこで、「為替ヘッジあり」のコースを選んだ場合、将来、交換する為替レートをあらかじめ予約する「為替先物予約」などを通じて、為替ヘッジを行い、円高進行時のリスクを抑えるのです。
ですが、為替が円安(例:1米ドル100円から110円)に振れたとき、「為替ヘッジあり」を選んでいた場合でも、為替差益によるリターンを見込むことはできません。
そのため、既に保有している他の資産で為替リスクを取っている、または、金(ゴールド)のように、為替リスクを抑えた方がよい一部の資産を除いては、基本的に「為替ヘッジなし」を選ぶことをおすすめします(金=ゴールドと為替ヘッジの関係について詳しく知りたい方はこちら)。
2)決算回数(分配頻度)の違い:基本は「決算回数が少ない方」を選ぶ
決算とは、投資信託が組み入れている資産の時価や損益を計算し、財務状況を明らかにすることで、どの投資信託にも最低年1回の決算が義務付けられています。決算の際、運用会社の判断で収益の一部が投資家に還元されることがあり、これを分配金といいます。
最近は同じシリーズ内で、定期的な分配金の支払いを目的としたタイプ(決算回数年12回)と、分配を抑えて信託財産の成長を優先するタイプ(決算回数年1~2回)の双方を展開するケースが増えています。
では、どちらを選べばいいのでしょうか。
公的年金の足しにしたいなど、明確なキャッシュフローのニーズがあるなら、毎月決算型を検討してもよいでしょう。
しかし、長期の資産形成を目的とするなら、決算回数の少ないファンドを選ぶのが鉄則です。決算回数が多く、分配の頻度が高い投資信託は、運用効率の観点でおすすめできません。
具体的な商品で比較チェック!
ではここで、先の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」各コースのリターンも確認してみましょう。
これら全4ファンドの投資方針は同じですが、リターンに目を向けると、差があることが分かります。
例えば、同じ「為替ヘッジなし」のBコースとDコースを比べた場合、毎月決算型のDコースよりも、年2回決算のBコースの方が、すべての期間においてリターンを上回っています。この差こそが、先述した運用効率によるものです(A・Bコースと、C・Dコースは設定時期が異なるため、「設定来」については、ここでは無視してください)。
また、毎月決算型のCコースとDコース、年2回決算のAコースとBコースを比較しても、やはりリターンに違いがあることが分かります。為替変動の方向性によっては「ヘッジあり」のリターンが、「ヘッジなし」を上回ることもありますが、過去5年を振り返ると、結果的に「ヘッジなし」の方が高いリターンを獲得できました。
以上をまとめると、基本は「為替ヘッジなし」で、かつ「決算回数が少ない方」を選んだ方がよいでしょう。検索などで同じような名称を持つ複数の投資信託に遭遇したときは、なんとなく一番上に表示されたものを選択するのではなく、まずは冷静に各ファンドの特徴を確認するようにしましょう。
(篠田 尚子)
この記事に関連するニュース
-
日経平均4万円台復活を先回り!? 大手証券投資家は6月に日本株投信に「買い」
Finasee / 2024年7月19日 7時0分
-
【NISA】「投資信託の分配金は非課税だから気にしなくていい」という人は知らない…非課税枠に関わる“意外な盲点”
Finasee / 2024年7月10日 11時0分
-
1カ月で約7万円増!まつのすけのポイント投資&投資信託だけで、目指せ100万円!
トウシル / 2024年7月3日 7時30分
-
投信市場全体に前月比1兆円の流入!「オルカン」「S&P500」がけん引する中、次なるトレンドは?
Finasee / 2024年6月28日 16時0分
-
大手銀行の売れ筋トップに異変!? みずほ銀はゴールドを含むバランス型でインフレ対応
Finasee / 2024年6月26日 13時0分
ランキング
-
1ユークス、脚本家の野島伸司氏が社外取締役を辞任 一身上の都合
ロイター / 2024年7月23日 16時55分
-
2危険な暑さ…千葉で39度も 「長袖」で対策? 直射日光防ぎ、「冷感」「放熱」猛暑対策に特化【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月23日 23時6分
-
3トヨタ子会社の3工場で稼働停止、部品欠品で「ランクル」「アルファード」の生産ストップ
読売新聞 / 2024年7月23日 20時15分
-
4「トヨタが日本を見捨てたら、日本人はもっと貧しくなる」説は本当か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月24日 6時20分
-
5「脱ママチャリ」電動自転車がここへ来て人気の訳 10万超でも高性能化、小型化で「1人1台」に?
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください