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日米の決算が不透明なムードを変えるか?個別物色にとどまる「ゲリラ戦」の可能性も

トウシル / 2021年10月25日 12時26分

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日米の決算が不透明なムードを変えるか?個別物色にとどまる「ゲリラ戦」の可能性も

日経平均は決算シーズンの到来を待つ印象

 先週末10月22日(金)の日経平均終値は2万8,804円となり、前週末終値(2万9,068円)からは264円の下落で取引を終えました。

 今週の株式市場ですが、米国ではアップルやアルファベット、フェイスブックのほか、国内でもソニーGやキーエンス、日本電産、ファナックなど、日米で注目企業の決算が続々と予定されていて、いよいよ決算シーズンが本格化します。

 一足先に決算シーズンを迎えている米株市場では、S&P500種指数やNYダウ(ダウ工業株30種平均)が最高値を更新するなど、いまのところ良好な滑り出しとなっています。

 この流れを受けて日本株も上昇基調を強めることができるかが今週の焦点ですが、決算動向をにらみつつ、引き続き、足元で警戒されているインフレや供給網(サプライチェーン)の混乱、中国の景気減速などが業績に与える影響を注視していくことになります。

 それでは、いつもの通り、足元の状況から見ていきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2021年10月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週の前半は前週からの戻り基調が継続し、20日(水)の取引では25日移動平均線を上抜ける場面もありましたが、いわゆる「上値ライン」が上値を抑える格好となり、週末にかけて失速する展開となりました。

 とりわけ、21日(木)は大きな陰線が出現し、25日と200日の2本の移動平均線を下抜ける「2本抜け」となり、下落の加速が警戒されたものの、週末22日(金)に持ち直しを見せたことで、ひとまず落ち着いている格好です。

 この22日(金)のローソク足は上ヒゲの長い陽線となっていますが、上値が25日移動平均線に抑えられ、下値は75日移動平均線がサポートとなり、そして200日移動平均線水準が終値になっているなど、3本の移動平均線の三つ巴のバランスによる「中立地帯」にひとまず株価が位置して、決算シーズンの到来を待っているような印象です。

 そのため、決算の動向によって3本の移動平均線のどの線が値動きの基準となるのかが決定し、仮に相場の地合いが決算を好感するムードになれば、再び25日移動平均線や上値ラインをトライしていくことになります。

 反対に、この25日移動平均線が上値の抵抗として機能してしまうと、線の傾きが下向きになっていることもあり、下落加速への意識が強まってしまう可能性があり、注意が必要です。

 次に、日経平均の株価の上げ下げのリズムについても考えてみます。

■(図2)日経平均(日足)とエリオット波動(2021年10月22日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は、前回のレポートにおいて、60分足チャートで紹介したものを日足に直したものです。

 前回のレポートでは、日経平均が年初来安値をつけた8月20日を起点に、9月14日の年初来高値までピンク色の上昇推進の波を描いていましたが、修正の第4波が株価の下げ過ぎによって上昇1波の高値を下回ってしまい、上昇推進の波が崩れ、今度は9月14日の年初来高値を起点としたオレンジ色の下落推進の波を描き始めている可能性について説明しました。

 先週の日経平均は、上昇から失速という値動きをたどったことで、先週末時点では、修正の4波から下落推進の5波に入っていると考えることができます。こうした下落推進のリズムを崩すには、下落1波の安値(2万9,573円)を上回る必要があります。

TOPIXも下落推進の状況。値動きの範囲を確認

 もちろん、企業業績が注目される局面では、日経平均よりもTOPIX(東証株価指数)の動きが重要になってきますので、TOPIXについても見ていきます。

■(図3)TOPIX(日足)とエリオット波動(2021年10月22日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3でTOPIXの相場のリズムについて見ても、下落推進の状況にあり、そのリズムを崩すには、日経平均と同様に下落1波の安値(2,043p)を超える必要があります。

 また、TOPIXの日足チャートを別の角度でも見ていきます(下の図4)。

■(図4)TOPIX(日足)とギャン・アングル(2021年10月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のTOPIXも、25日移動平均線を回復した後に失速しました。ただ、週末22日(金)時点の株価と75日・200日移動平均線とのあいだにはまだ距離があるほか、「上値ライン」との距離も離れており、図1のような中立地帯に位置しているような印象はありません。

 節目の2,000pは意識されていると思われますが、意外と値動きは日経平均よりも軽くなるかもしれません。

 また、図4では、8月20日の安値を起点としたギャン・アングルを描いていますが、最近のTOPIXは「4×1」ラインと「8×1」ラインとのあいだで推移していることが分かります。

 そのため、今後のTOPIXの値動きの範囲は4×1ラインや25日移動平均線を意識しつつ上値ラインを目指していく範囲と、75日移動平均線や8×1ラインを目指していく範囲の2つが想定されそうです。

中国の情勢にも注意が必要

 ポイントになるのは、日米の決算動向が相場全体に方向感を与えるかどうかです。個別物色による「ゲリラ戦」にとどまり、上げ下げは激しいが方向感に欠けるという展開も考えられます。

 最高値圏で推移している米国株市場も、これからいわゆるハイパーグロース株や製造業の決算が相次ぎますので、インフレ懸念やサプライチェーン(供給網)の混乱などの影響によって、業績見通しの下方修正が増えてくれば、大きく調整する可能性もあります。

 国内情勢についても、週末31日(日)に控えた総選挙を前に動きづらくなることも想定されます。

 さらに、日本企業は中国との関わりが比較的深いとされることもあり、中国の情勢にも注意を払う必要があります。

 先週の中国では、7-9月期GDP(国内総生産)をはじめとする主要な経済指標が公表され、軒並み減速傾向となりましたが、株式市場への影響は限定的でした。

「ある程度の減速は想定内」という反応と思われますが、先日発表された生産者物価が統計開始以来の高い伸びとなっており、景気減速と物価上昇が同時に起こる「スタグフレーション」っぽい様相のため、この傾向が続いてしまうことには注意が必要です。

 さらに、中国恒大集団の債務問題については、9月23日に支払われなかったドル建て債務の利払いが、デフォルト認定のギリギリの期限(30日間)のタイミングで先週行われた模様で、株式市場にひとときの安心感をもたらしましたが、今後も下の図5のように、利払いスケジュールが立て込んでいるため、油断ができない状況が続きます。

■(図5)中国恒大集団のドル建て債務の利払いスケジュール

出所:リフィニティブ、各種報道を元に作成

 企業業績を背景にした株価上昇が期待できる一方、不安要素が多い状況下では上昇の賞味期限が短くなってしまうことも考えられます。そのため、今週の日本株が強い動きになったとしても、突然の下落転換には警戒しておいた方が良いかもしれません。

(土信田 雅之)

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