9月決算の注目:利益上方修正多い?株価はどう動く?
トウシル / 2021年10月27日 7時38分
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9月決算の注目:利益上方修正多い?株価はどう動く?
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]【日本株】9月決算の注目 利益上方修正多い?株価はどう動く?」
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米景気好調を好感して日経平均反発
米景気・企業業績が好調であることを好感して、26日の日経平均は505円高と反発しました。緊急事態宣言解除で国内消費に回復期待が出ていることも追い風です。一方、資源価格高騰に対する不安、中国恒大の信用不安、国内政局不安が続いていることが上値を抑えています。
日経平均・NYダウの動き比較:2020年10月1日~2021年10月26日(NYダウは25日まで)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/2/5/-/img_25fbcdb9ecf1ac660370812c5e08c20391717.jpg)
そうした中、9月中間決算の発表がいよいよ本格化します。足元の企業業績モメンタム(勢い)がさらなる株高を正当化できるか否か、注目されます。
9月中間決算発表時に、通期業績計画の上方修正が増えると予想
9月中間決算では、通期(2022年3月期)業績予想を上方修正する企業が増えると予想しています。製造業・市況関連産業(鉄鋼・海運・商社など)に、業績上ぶれ含みの企業が多いと見ています。
ただし、製造業でも自動車はまだら模様かもしれません。半導体不足や東南アジア工場の操業停止のマイナス影響がどう出るか懸念があります。
外食・小売り・イベント・観光・電鉄・航空業など、内需サービス産業は緊急事態宣言が長期化していた影響でネガティブな決算が出そうです。ただし、下期は内需回復が期待されるので、業績予想の下方修正はあまり出ないと思います。
全体をまとめると、上方修正が下方修正を上回ると予想しています。
9月中間決算の先行指標となるのが、10月1日に発表された「9月日銀短観のDI(業況指数)」です。日本の景気動向の変化をほぼリアルタイムで表す指標として注目しています。
日銀短観大企業DIの推移:2018年3月~2021年9月
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/b/-/img_9b9fdec834dc582fee56065aa2c1b0f247878.jpg)
9月の大企業・製造業DIは+18と、6月の+14から4ポイント改善しました。米景気好調の恩恵で、製造業の足元の景況は良好と考えられます。円安が進行していることもプラスです。これは大企業経営者が9月に回答したアンケートを集計した結果なので、10-11月に発表される「9月中間決算」の先行指標となります。
一方、9月の大企業・非製造業DIは+2と、6月の+1から1ポイントしか改善していません。景況の回復の鈍さが気になります。ただし、10月以降、緊急事態宣言解除によって、業況が改善すると考えているので9月時点の業況が低水準でも特に問題はないと考えています。
業績上方修正を好感するか、「材料出尽くし」となるか?
決算発表時に、業績上方修正を発表する企業の株価は、通常、上昇します。ただし、時に上方修正で材料出尽くしとなって、売られることもあります。業績修正の株価がどう反応するか注目されます。
中国関連の製造業は足元の業績好調でも、中国経済の先行きに不安があるため、それが素直に好感されない可能性もあります。内需サービス産業が好調な決算を発表すれば、先行きさらに改善する期待があるので好感されると思います。
注目されるのは、鉄鋼・海運などの市況関連産業の株価です。利益好調が続き、業績計画を上方修正する企業が多いと思います。それを株価がどれだけ好感するか、注目しています。
上方修正が想定以上に多ければ日経平均の上値トライにつながる可能性も
株価は、短期は材料で動きますが、長期的にはファンダメンタルズ(景気・企業業績)を反映して動きます。日経平均の動く方向を決定づけるのは、最後は企業業績です。その意味で、これから発表が本格化する9月中間決算はきわめて重要です。
ご参考まで、過去の企業業績と日経平均の騰落を比較した、以下の表をご覧ください。
東証一部3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)と日経平均の騰落率:2016年3月期(実績)~2022年3月期(予想)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/e/-/img_6e6bcb0d7deb2d76b408d522d273dd65107715.jpg)
上記をご覧いただくとわかる通り、日経平均は企業業績のモメンタムに反応して動いています。期初予想(5月に出した会社予想)よりも、着地が上になる年度は日経平均が上昇、着地が下になる年度は日経平均が下落する傾向が鮮明です。
今年度(2022年3月期)は、期初予想よりも着地が上振れると楽天証券経済研究所では予想しています。ところが、10月26日の日経平均は、前年度末(3月31日)対比で0.2%のマイナスです。
今後利益の上方修正が増えれば日経平均は上昇していくのか、あるいは、世界景気の先行きに悲観が広がって上方修正でも「好材料出尽くし」となるのか、株価の反応をみきわめていきたいと思います。
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