オミクロンの影響どこまで?日経平均は2万8,000円割れ?からの回復条件
トウシル / 2021年11月29日 17時46分
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オミクロンの影響どこまで?日経平均は2万8,000円割れ?からの回復条件
今週の予想
南アフリカ発の新型コロナ変異株の影響を見極め
先週は「近くて遠い日経平均3万円」が継続するとしましたが、26日(金)の南アフリカなどで見つかった新型コロナウイルスのオミクロン型変異株への警戒感から、日経平均は900円近い暴落となって3万円台回復が遠のいてしまいました。
2021年は8月20日の安値2万6,954円を底に、10月6日の2万7,293円、10月25日の2万8,472円、11月11日の2万9,040円と下値を切り上げてきました。
ところが、テクニカルでは75日移動平均線(26日時点2万8,966円)、200日移動平均線(26日時点2万8,947円)を割り込み、11月11日の2万9,040円を下に切り、先週末の終値は2万8,751円で、10月25日の2万8,472円を切るところまで下げています。
前週までの下値切り上げの動きは明確に崩れましたので、これを早期に回復できない場合は、10月6日の2万7,293円が意識されることになります。
世界的に新型コロナ感染者が増加している中で、国内では1日あたり感染者数は8月の約2万5,000人をピークに激減、足元では100人を下回る日もあります。
日本政府は新型コロナ感染拡大の備えをしつつ、経済活動の再開に着手しており、景況感も改善する方向にあります。にもかかわらず、南アフリカなどで新たに見つかった新型コロナウイルスのオミクロン型変異株への警戒感から世界的株価暴落となりました。
相関的には新型コロナ感染者が減少傾向の日本市場に優位性がある局面でしたが、そうはなりませんでした。
今週は9月中間決算配当の支払いが本格化しはじめたことで、再投資の買いが見込まれるものの、とりあえず水準訂正への動きを待つところ。基本的に、新型コロナのオミクロン型変異株の感染状況が相場を左右しそうです。
感染の広がりが確認されれば買いが控えられるも、新たな悪材料がなければ、買い戻しから2万9,000円台回復は早いと思われます。
今週の指標:日経平均株価
今週のどこかで、新型コロナ感染者が減少傾向にあるため、日本株の相関的な優位性が見直されるかもしれません。9月中間決算配当の支払いが本格化しはじめたことで、再投資の買いも見込まれています。
新型コロナのオミクロン型変異株への警戒感を見ながら水準訂正が意識されるところです。しかし、先週まで続いていた下値切り上げの動きが崩れたため、立ち直りに時間がかかるかもしれません。
目先は10月25日の2万8,472円を終値で切ると、次は2万8,000円、ここを切ると10月6日の2万7,293円が意識されます。
先週の動き
インフレ懸念から早期利上げ観測が広がり、先週の米国株式はハイテク株中心に軟調な動きとなり、ナスダック総合指数が2日連続下落。
これを受けて日経平均も先週は荒い動きとなり、週末の26日(金)は、新型コロナの新たな変異株が南アフリカで検出されたニュースに香港ハンセン指数の急落もあって、日経平均は一時▲893円の2万8,605円まで下げ、終値は▲747円の2万8,751円の暴落となりました。
25日(木)は、感謝祭で米国市場がクローズされていた影響で、その売りまで日本に集中したため、投機筋の仕掛けも加わって暴落となりました。
海外で新型コロナ感染が拡大している中で、日本の感染減少という状況を本来は評価され、日本株が買われてもおかしくない局面ですが、そうはなっていません。
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今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)
南アフリカで発見された変異株、オミクロン型は、デルタ株よりも感染力が強く、ワクチンの効力も限定的と報じられていますが、実態は明確にされたわけではありません。
バイデン米大統領がパウエル議長を再任したことで、FRB(米連邦準備制度理事会)を巡る人事の不透明感はなくなり、年末に向けて上昇しやすい環境になりました。
年末商戦は今のところ出だしは好調で、小売企業の決算も好調な結果となっているものの、サプライチェーンの混乱によりコストの上昇で利益を圧迫されています。
小売りは先週の「ブラックフライデー」に続き、29日の「サイバーマンデー」が「ブラックフライデー」を上回る売り上げが続いており注目です。
チャートではNYダウが3万4,000ドルを切ると調整が長引くことになります。
先週の動き
先週の予測では、25日(木)は感謝祭で米国市場が休日となり、翌日は短縮営業で正味の営業日数は月、火、水の3日間となるため、大きな動きは出にくいとしました。
その一方で、欧州の一部で新型コロナの感染再拡大でロックダウンが実施されるなど、株式市場にとってはマイナスとしました。
こういう動きの中で、26日(金)に南アフリカで新型コロナの変異株が発見され、警戒感が広がって世界的株価暴落となり、NYダウは一時1,054ドルまで下げ、終値は▲905ドルとなりました。
ナスダック、S&P500種指数ともに2%以上の下落となり、これをきっかけに米国株式が調整入りとなる可能性が出てきました。
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今週の指標:ドル/円
南アフリカの変異株による感染拡大が警戒されており、26日の欧米株式は大幅下落となりました。世界経済の持続的な成長は実現困難との見方が広がり、ドル買い・円売りはすぐに拡大する可能性は低いとみられています。
欧州地域における新型コロナの感染拡大も警戒されており、リスク回避的な円買いはしばらく続くことになりそうです。
先週の動き
ドル/円は、11月24日に2017年1月以来となる115.52円までドルが買われました。しかし、南アフリカで検出された新たな変異株が世界の景気回復を脅かすとの見方が広がり、リスク回避の円買いが急拡大し、ドル/円は一時113円台前半まで円が買われました。
また米利上げが遅れるとの見方も広がり、ドルが売られました。26日には1ドル=114.21円から113.05円まで下落しました。引け値は1ドル=113.16円でした。
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先週の結果
週末に新型コロナの新たな変異株出現報道で暴落
先週の予測では、日経平均は引き続き「近くて遠い3万円」が続くとし、2万9,200~3万円のボックス相場の中の動きを想定しました。日米ともに休日を挟んでおり、上昇のリズムが出るのは難しいとしました。
2021年2月16日に3万714円の高値をつけてからは、8月20日の2万6,954円を安値の底に、10月6日の2万7,293円、11月11日の2万9,040円と下値を切り上げてきました。
それを考えると「11月は高い」というアノマリー(経験則)だと2万9,040円は切らずに、先週末から12月にかけて3万円台を期待していました。
ところが、週末の26日(金)は、一時▲893円の2万8,605円まで下げ、終値は▲747円の2万8,751円となりました。誰もが予想しなかった大きな下げでした。
22日(月)は、前週のNYダウ安を受け、▲203円の2万9,542円まで下落しましたが、売り一巡後はプラスに転換し、+28円の2万9,774円で引けました。
23日(火)は祝日で休場でしたが、休みの間にナスダックが大きく下げたことで、ハイテク株を中心に売られました。ハイテク株の下落要因である早期金融引締め懸念が日本のハイテク株にも広がり、24日(水)は、一時▲562円の2万9,212円まで下げ、終値は▲471円の2万9,302円となりました。
25日(木)は、ナスダックが3日ぶりに反発して、ハイテク株も戻したことで、日経平均は+196円の2万9,499円と反発しました。この日の米国市場は感謝祭で休場でした。
26日(金)の日経平均は、一時▲893円の2万8,605円まで下げ、終値は▲747円の2万8,751円と暴落。10月25日の2万8,472円の下値ポイントはかろうじて守りました。
この日の暴落の要因は、南アフリカで新型コロナの新たな変異株が検出されたと報道されたことでした。英国保健当局は、「最も懸念される変異」との見方を示したことでパニック状態となりました。
ただし、この日は香港ハンセン指数の急落の他、原油や銅の先物も売られ、グローバルリスクが広がる兆しも見せています。
米国株式は、NYダウが調整的な動きをしていたことで、米国株全体も調整気味の動きが出てくるかもしれません。
26日(金)の米国市場は、感謝祭の翌日で午後1時までの短縮取引となりましたが、南アフリカで見つかった新しい新型コロナオミクロン型変異株への懸念から全面安となり、NYダウは一時▲1,054ドルまで下落し、終値は▲905ドルとなりました。
NYダウは3週続落となり、すでに調整に入っていたことを示しています。ナスダック▲353ポイント、S&P500▲106ポイントと主要3指数そろって大幅下落となりました。
シカゴの日経先物は▲635円の2万8,155円でした。
為替はドルが売られ、円はリスク回避の円買いが強まり1ドル=113.35円まで買われました。
(出島 昇)
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