オミクロン&パウエル・ショックで世界株安。日本株「買い場」の判断継続
トウシル / 2021年12月6日 7時58分
![オミクロン&パウエル・ショックで世界株安。日本株「買い場」の判断継続](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_35120_0-small.jpg)
オミクロン&パウエル・ショックで世界株安。日本株「買い場」の判断継続
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]オミクロン&パウエル・ショックで世界株安 日本株「買い場」の判断継続」
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オミクロンだけでない、パウエル発言も影響した複合ショック
先週(11月29日~12月3日)の日経平均株価は1週間で722円下落し、2万8,029円となりました。以下のように、オミクロンへの警戒がどんどん高まっている中で、世界的に株安が進みました。
【1】南アで検出された新型コロナウイルス変異型オミクロンをWHO(世界保健機構)が最も警戒レベルの高い変異型に指定。
【2】オミクロンの感染力は「α型」「B型」など従来の変異型より強いことが判明。ワクチン3回接種済みの人や一度コロナに感染して回復した人にも感染。
【3】既にオミクロン感染が世界中に拡大している可能性があることが判明。4日時点で日本を含め39カ国で感染確認。
NYダウおよび日経平均の動き比較:2020年10月1日~2021年12月3日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/9/d/-/img_9d586c0b0a4f237e35d189d742b881e097478.jpg)
日経平均先物に外国人と見られる売りが増えて、日経平均も急落。日本株は、外国人投資家から見ると「世界景気敏感株」なので、過去に何度も見られたパターン通り、世界で何らかの不安が高まる時、外国人は日経平均先物を売ってくる傾向があります。
今回の世界株安を「オミクロン・ショック」と呼ぶ人もいますが、オミクロンだけが株安の要因ではありません。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が11月30日の議会証言で、足元の米国の高いインフレ率(10月時点で+6.2%)が一過性ではないと、表明したことも影響しました。
パウエル議長がテーパリング(量的金融緩和の縮小)のピッチを速め、来年後半に複数回の利上げを行う可能性があると見られたことも、米国株安につながりました。
オミクロン・ショックで、原油先物が急落、米長期金利が下落――やっと「米国のインフレ率が低下に向かう可能性が高まった」と解釈するのが普通ですが、そのタイミンングでパウエル議長が「インフレは一時的でない」と表明したことが、マーケットにとってショックとなりました。
WTI原油先物(期近):2000年1月-2021年12月(4日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/7/-/img_07153ed5f8adabe43f17b559e3986e7b74044.jpg)
以下のグラフを見ていただくとわかる通り、米国株では、インフレ、金利上昇に弱い米ナスダック総合指数の下げが相対的に大きくなりました。
米国株価指数の動き:ナスダック総合・S&P500・NYダウ:2019年12月末-2021年12月3日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/6/-/img_c6bdf9a8198fc32d31b32cc2246b9e3b101113.jpg)
同じ縮尺のグラフで比べて見るとよくわかりますが、日本株のコロナ後の戻りは鈍くなっています。
日本の株価指数の動き:日経平均・TOPIX(東証株価指数):2019年12月末-2021年12月3日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/7/2/-/img_725dfb88da03aa75daa42c8bb34ec74886166.jpg)
オミクロンは世界経済に深刻な影響を及ぼすのか?
オミクロンについて、2つの可能性があります。
【1】感染力が強く、毒性が強い
【2】感染力が強く、毒性が弱い
オミクロンが【1】ならば世界経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。【2】ならば、通常のインフルエンザと同様の扱いとなり、世界経済への影響は限定的となる可能性もあります。
これまでのところ、オミクロンは感染力が強く、感染拡大ピッチが速いことがわかっています。ただし、感染しても無症状か軽症が多く、重症化する例はあまり観測されていません。
オミクロンについて現時点で断定的なことは専門家でも言えませんが、ひとつの仮説として、「感染力は強いが毒性は強くない」可能性があります。
あくまでも仮説ですが、ウイルスとして完成形(最終形)に近づいている可能性があります。毒性が強く、感染したヒトを死亡させてしまうウイルスは永続性がありません。
というのは、感染したヒトが死亡すると、ウイルスも死滅しなければならないからです。ウイルスにとって都合が良いのは、毒性が弱く、ヒトと長く共存できることです。
現時点で確定的なことは何もわかりませんが、オミクロンで健常者が重症化する例が多数報告されない限り、世界経済に深刻な影響を及ぼすことはないという考えもあります。
パウエル・ショックはいつまで?
私は、原油急落によって米インフレ高進が長期化するリスクは低下したと考えています。もちろん、パウエル氏の考えるように、オミクロンへの警戒で物流停滞がさらに長引き、物が届かないことによる物価上昇が長びくリスクもあります。そのリスクを含めて考えても、米インフレへの警戒は低下したと考えるのが妥当と思います。
過去、テーパリングにからんで株式市場にショックが起こりやすいことは、過去のレポートで解説してきました。以下、テーパリング絡みで3回の世界株安があった2013~14年の日経平均、NYダウ(ダウ工業株30種平均)の動きをご参照ください。
日経平均週足:2020年1月6日-2021年11月26日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/5/8/-/img_584ea95e60b3fab9d87ef2a2786e5d9386256.jpg)
私は、オミクロン・ショックもパウエル・ショックも一時的と予想しています。したがって、この下落局面で割安と考えられる日本株に時間分散しながら投資していくことは、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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