日経平均、信用取引買残高から測る絶好の買いタイミングとは?
トウシル / 2021年12月23日 5時0分
![日経平均、信用取引買残高から測る絶好の買いタイミングとは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_35405_0-small.jpg)
日経平均、信用取引買残高から測る絶好の買いタイミングとは?
「コツンと来た」は買いタイミング?
日経平均株価の下落が続いた後に出来高を伴って大きく下げると、「コツンと来た」という言われ方をすることがあります。出来高を伴って下げるということは、大きく下げた局面で売っている人がいる(もしくは売らされている)ということでもあり、得てして、信用取引をしている人が損失覚悟で投げ売りをさせられている状態であったりします。
逆に考えると、信用取引で投げ売りが発生しているときが買いのタイミングであるとも言えます。そのような絶好の機会を捉えられるよう、今回、検証していきたいと思います。
まずは、直近の信用取引買残高と日経平均の推移をみてみましょう。
(表1)信用取引買残高と日経平均株価の推移表
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/f/-/img_0f11f2871c92acf05440c7daf0945733123581.png)
出所:日本証券取引所公表データを基にマネーブレインが作成
この表を見ると、おおむね日経平均が下がるときに信用取引買残高が増え、日経平均が上がるときには減る傾向があります。信用取引をしている人たちは基本的に逆張りの行動をしていることがわかります。
ところが、時々、日経平均が下落しているなかで信用取引買残高が減少しているときがあります。
直近では、12月3日までの1週間に日経平均が722円下げるなか、信用取引買残高が913億円減少しています。この週は、東証マザーズ指数が大きく下落した週でもあり、実際に投げ売りが一部に発生したのではと思います。その後の日経平均の動きをみると、12月16日には2万9,000円台まで上げているため、12月3日の週を底に、短期的ではありますがいったんは反発する動きをしたと言えるでしょう。
このように、日経平均の下落と信用取引買残高の減少が合わさったときは、買いのチャンスであると言えます。
ただし、いったんは反発しても、その後下落していくことも多々あり、日経平均の下落と信用取引買残高の減少が合わさったときに買えばよいとは一概には言えない、と考えています。
そこで、どのくらい信用取引買残高が減少したら、どのくらい日経平均が下落したら、買いのタイミングとしての確度が高まるのかについてみていきたいと思います。
2013年以降の投げ売り発生タイミング(日経平均下落5%未満)
2013年以降の信用取引買残高と日経平均株価の推移、その間に起こった投げ売りのタイミングについてみていきましょう。
(グラフ1)信用取引買残高と日経平均株価の推移
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/2/d/-/img_2d512949998c301113f83095c252586b49002.png)
*投げ売り発生(2)は、信用取引買残高が1,000億円以上減少、日経平均株価が下落(5%以上)した週
出所:日本証券取引所公表データを基にマネーブレインが独自分析し作成
投げ売り発生(1)(信用取引買残高が1,000億円以上減少し、日経平均が下落するも5%未満だった週)は、2013年以降、5回ありました。
(表2)投げ売り発生(1)(2013年以降)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/2/9/-/img_2961450b48dd282f0a604ca13149ed2838783.png)
このタイミングで買いに入ったとしても悪くないと思いますが、より買いのタイミングとしての確度を上げるため、日経平均が下落したケースである投げ売り発生(2)(信用取引買残高が1,000億円以上減少し、日経平均が5%以上下落した週)についてみていきたいと思います。すると、2013年以降では6回あり、見事なほどに、それぞれほぼ底に近いところとなっています。
2013年以降の投げ売り発生タイミング(日経平均下落5%以上)
(表3)投げ売り発生(2)(2013年以降)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/1/e/-/img_1e2639b1518f344537d1830bcbfc5daa45288.png)
2013年6月7日は、直前にアベノミクス相場で日経平均が1万6,000円台まで上げた後に大きく下落した時で、このタイミングが底となっています。
2016年2月12日は、原油価格が急落し、新興国危機がいわれ、企業業績が悪化していた時で、このタイミングが底となっています。
2016年6月17日は、イギリスが国民投票でEU(欧州連合)離脱となった時で、この翌週が底となっています。
2018年12月21日は、米中貿易問題がいわれ、企業業績が悪化し始めた時で、この翌々週が底となっています。
2020年3月13日、19日はコロナショックの時で、19日の週が底となっています。
2012年以前についても、投げ売り発生(2)のタイミングについて見てみましょう。
(表4)投げ売り発生(2)(2003~2012年)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/3/-/img_c342129c56b4a569e23731cc5b21613734118.png)
2006年6月9日は、その年の1月にライブドアショックがあり、株価が下落していった局面で、このタイミングが底となっています。
2007年8月17日は、その年の7月に日経平均が1万8,000円台の高値を付けた後、急落した局面で、このタイミングがいったん、底となっています。
2008年10月10日は、リーマンショック直後で、その後、日経平均は7,000円台に下がる局面もありましたが、ほぼ底に近いタイミングと言えるでしょう。
2011年3月18日は、東日本大震災が発生した翌週で、このタイミングが底となっています。
絶好の買いタイミングは
以上から、信用取引買残高が1週間で1,000億円以上減少し、かつ、日経平均が5%以上下落したときは、絶好の買いタイミングと考えてよいのではと思います。この頻度は2003年以降、19年間で10回発生しているので、おおむね2年に1回チャンスがあるともいえます。
この2年に1回を少ないとみるか、十分とみるかは人によって異なると思いますが、逃したくない買いチャンスであることには変わりないのではないでしょうか?
次にいつ起こるかわかりませんが、ぜひとも捉えていきたいですね。
投資はあくまでも自己責任で。
(白石 定之)
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