やってはいけない?「割安成長株」投資には落とし穴がある
トウシル / 2021年12月23日 6時0分
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やってはいけない?「割安成長株」投資には落とし穴がある
プロの目線に立って「割安成長株」を考えてみよう
前回のコラムでは、割安成長株についてお話ししました。ただ、実際には割安成長株に投資したつもりが、株価下落の憂き目にあってしまうというケースも多々生じます。
そこで今回は、割安成長株へ投資するに際しての注意点をお話ししたいと思います。
筆者がよく個人投資家の皆さんへお伝えしていることの一つとして、「プロの目線に立って考えてみよう」というものがあります。
例えば、業績絶好調、来期も増収増益予想、でもPER(株価収益率)は10倍を切り、配当利回りも5%超えという銘柄があったとします。
投資の教科書的にいえば、「メチャクチャ割安な株」です。でも、それをうのみにしてしまっては株式投資で成功できません。
筆者はこのような銘柄を見つけた場合、即座に「割安だ!」と飛びついて買うことはしません。逆に「なぜこんな割安な状態で放置されているの?」と考えてしまいます。
もし本当にメチャクチャ割安だったら、外国人投資家や機関投資家といったプロ投資家が見過ごすはずがないのです。ということは、この割安に見える銘柄は、割安と思っているのは個人投資家だけで、実際は割安ではない可能性が高いのです。
割安成長株に見えて実際は違うパターンとは
では、具体的にどのようなケースが要注意なのでしょうか?
一つは、「そろそろ業績がピークアウトしそうだ」もしくは「すでに業績がピークアウトした」とプロ投資家が思っているケースです。このケースは非常に多いので極めて重要です。
業績がピークアウトする直前の時点では、大抵の場合、企業側から発表される来期の業績予想は増収増益であることが多いのです。ところが株価が値下がりし、PERが下がってくるので、パッと見「割安」に見えてしまいます。
ぜひ皆さんに知っておいていただきたいのですが、PERが50倍、100倍と非常に高かった銘柄の株価が下がり、PERが20倍以下にまで低下するようなケースは、株価が業績のピークアウトを織り込んでいる可能性がかなり高いです。
確かに業績予想は増収増益なのですが、プロ投資家が独自の分析などにより「もう業績はピークアウトして実際には増収増益にはならない」と判断したならば、どうでしょうか。恐らく保有株は売却してくるでしょうし、新規にその銘柄を買うこともしないでしょう。
その一方、企業側から業績予想の下方修正が発表されるまではタイムラグがあります。その間、「業績予想は増収増益なのに株価は下落」「PERから見て割安」という錯覚を個人投資家に生じさせてしまうのです。
株価上昇の可能性がやや高いパターンもある
もう一つは、「業績の変動が激しく、将来の業績を予想しにくい」ケースです。
もしあなたがファンドマネジャーというプロの投資家だったとします。3年後、5年後も順調に業績を伸ばすことがおおむね想定できるA社の株と、確かに3年後、5年後に大きく利益を伸ばす可能性はあるが不確定要素も強く断定しにくいB社の株があった場合、どちらに投資しますか?
おそらく多くの方はA社の株を選ぶと思います。確かにB社も業績が大きく向上する可能性はあるものの、そうならなかった場合逆に株価が大きく下落してしまう恐れが高いからです。
でも、B社は業績の不確実性が高いため、株価はそのリスクの分だけ割安な状態で放置されています。もしB社が今後業績を大きく伸ばすことになれば、さすがにマーケットもそれを評価することになり、株価は上昇するはずです。
このパターンは、「業績がピークアウトする」のではなく、「どうなるのか分からない」ので、もし業績の推移がよい方向で変化した場合は、株価の大きな上昇も十分にあり得ることになります。不動産株などにこのパターンが多いように感じます。
割安成長株に思える株を見つけたらどうするか?
前回のコラムでも書いた通り、筆者は、本当の割安成長株はマーケット全体が急落したときでないとなかなか現れないと思っています。
ですから、足元の日本株のように日経平均株価が高値圏にあり、年初来高値更新銘柄のみならず上場来高値更新銘柄さえも散見されるような状況では、本当に割安であればプロ投資家の買いで株価は上昇しているはずです。
それが上昇していないということは、お宝が落ちているのではなく、プロ投資家はお宝とは思っていないので拾わないという意味なのです。
でも、上記の後者のように、もしかしたら本当に割安な状態で放置されているという可能性もゼロではありません。
したがって、筆者であれば、割安成長株と思われる銘柄を見つけたら、まず株価チャートをチェックして、株価のトレンドを確認します。
もし、株価が下降トレンドであれば、プロ投資家はこの株を割安と見ているどころか売っている可能性が高いと推測できるため、手を出さないようにし、上昇トレンドの時だけ買うようにします。
自分より知識面でも情報面でも優位に立つプロ投資家が、本当に割安な株を見逃すはずがないという思いでいれば、単に割安に「見えるだけ」の株に安易に手を出すことも防げるのではないでしょうか。
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(足立 武志)
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