ドル/円114円台前半へ。円安とドル高はいったん終了か?
トウシル / 2022年1月13日 9時50分
ドル/円114円台前半へ。円安とドル高はいったん終了か?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは116.30円
↓下値メドは113.25円
[新型コロナ] 投資家の懸念は、新型コロナそのものよりも政府の反応
[新型コロナ] 米国人の可処分所得が縮小。ガソリン価格や住宅ローン金利の急上昇で
12日(水曜)のドル/円は「円高」。24時間のレンジは114.38円から115.47円。値幅は0.65円。
2022年の8営業日目は115.26円からスタート。年初から次々と出てきたドル買い材料、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録やパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派的発言などにもかかわらず、4日につけた高値を更新できない。少し買い疲れが見えるなかで、夜の初め頃(欧州時間)につけた115.47円まで上げましたが、高値は5営業日連続で切り下っていて、この日も116円に乗せることはできませんでした。未明(NY時間)になって、ついに115円を下に抜けると下げが加速。明け方に114.38円まで下落して安値をつけました。終値は114.64円(前日比▲0.65円)。
この日発表された注目のインフレ指標、米12月CPI(消費者物価指数)は、前月からさらに上昇して、前年比+7.0%上昇と、約39年ぶりの水準に達しました。しかし、マーケットには「予想の範囲内」で、少なくともFRBが、今年3回以上利上げを増やすことはないだろうとの、安心感から株式市場は平静。ドルは逆に売られることになりました。
12日のユーロ/円は「横ばい」。24時間のレンジは130.96円から131.47円。
夜遅く(NY時間)に131.47円まで上昇して今年の高値(131.59円)に接近しましたが、ドル/円の失速で反落。明け方(NY時間)には、一時131円を割り130.96円まで下げて安値をつけました。終値は 131.16円(前日比+0.09円)
12日のユーロ/ドルは「ユーロ高」。24時間のレンジは1.1345ドルから1.1453ドル。
11月から続いていた1.1250ドルから1.1350ドルのトンネルをついに上抜け。夜の初め頃(欧州時間)につけた1.1345ドルをこの日の安値に、米CPI発表後のドル安の流れに乗り1.1400ドルをブレーク。明け方(NY時間)に高値1.1453ドルまで上昇。終値は1.1440ドル(前日比+0.0071ドル)
主要指標 終値
今週の重要経済指標
今日の為替ウォーキング
今日の一言
偉大な人はアイデアについて話す、凡庸な人は出来事を話す、狭量な人は他人の話をする。- エレノア・ルーズベルト(元米大統領夫人)
Rolling in the Deep
世界の投資家が考える、2022年の最大のリスクとは何か?
それは、新型コロナでも米中関係でもなく、「中央銀行」です。今年利上げするのか、しないのか?利上げするとすればいつなのか?FRBが利上げしたら、ECB(欧州中央銀行)はどうするのか?日銀はいつまで量的緩和を続けるのか?そしてトルコ中銀はまだ利下げするつもりか? などなど、2022年の中央銀行の政策の予測はとても難しい。しかも中央銀行の金融政策は、他の経済指標とは比較にならないほど、FXや株式市場に重大な影響を与えます。
何が中央銀行の政策を動かすのか?それは「インフレ」です。インフレはグローバルな事象ではなく、各国の経済事情によって異なるローカルなイシューといわれますが、今のインフレは米国だけではなく、欧州、英国、中国と、世界同時多発的に発生しています。日本は無関係だとはいっていられません。1月に食パンの値段が10%近く値上げされたことを皮切りに、今年は食料品や衣料品、家電や自動車、保険料から交通運賃に至るまでほぼ全分野の商品が大幅値上げとなるのは避けられないのです。昨年11月の国内企業物価指数は、すでに41年ぶりの上昇となっています。
このインフレはどのようにして始まったのか。それは新型コロナです。2020年3月に新型コロナ感染が大流行して、世界の主要都市が次々とロックダウンを導入。多くの人々は仕事を失い、移動の自由を奪われるなかで、中央銀行は緊急利下げと未曽有の量的緩和を行い、政府は経済対策として現金給付を決定しました。
2021年になってコロナワクチンが普及し始め、昨年1年で米国では75%、日本では80%、世界全体でも50%が部分接種を完了。そのおかげもあって移動制限が緩和され、人々が再び自由に外出できるようになると、「リベンジ消費」と呼ばれる時間差の消費需要が発生しました。
需要はいちどきに発生し、またロックダウン期間中の小売店は在庫が品薄だったことも重なって、流通網に多大な負荷をかけた結果インフレが大発生。つまり、需給のバランスが崩れたことがインフレの原因といえます。2021年後半の経済は、ロックダウンや緊急事態宣言などで使う機会がなかったお金を財源として発生した熱狂的な消費者需要が、インフレを加速させたのです。
しかし、給付金をすべて使い切ってしまったら、異常な需要は終息して、インフレも波が引くようにいなくなる可能性がある。ECBはそう考えていて、利上げする必要はないとしています。FRBも最初はインフレ一過性論者だったのですが、想定以上にインフレが長引いていることを認め、利上げの準備をしています。インフレへの警戒がマックスに高まっている今が、異常から正常への転換点に立っているのかもしれません。
ところがオミクロン変異株が登場したことで、再び先が見えなくなっています。感染拡大がおさまらず、各国の政府がロックダウン再導入を決断し、景気対策で現金を給付するならば、2020年の繰り返しとなり、オミクロン変異株は一段のインフレ要因となります。
しかし、政府の財源は無限ではない。現金給付金なしで厳しい移動制限を強制するならば、需要は後退し、特に旅行などサービス産業がダメージを受けることになるでしょう。この場合、オミクロン変異株は逆にデフレ要因となります。
今日の注目通貨:ポンド/円
2022年のレンジ予想 ↑170.95円 ↓133.55円
ポンド/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は152.25円。152.25円より上ならばドル買い優勢、152.25円より下ならばドル売り優勢。
178.10円 : 第4レジスタンス(HBO)
170.95円 : 第3レジスタンス
163.81円 : 第2レジスタンス
161.60円 : 第1レジスタンス
156.61円 : 2018年 高値
155.93円 : 2021年 高値
152.25円 : ピボット
148.87円 : 2021年 平均値
142.90円 : 第1サポート
140.70円 : 第2サポート
139.52円 : 2021年 安値
139.44円 : 2018年 安値
133.55円 : 第3サポート
126.41円 : 第4サポート(LBO)
2021年 ポンド/円 データ
(荒地 潤)
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