米金融政策とオミクロン株の感染拡大が焦点!相場の落ち着きどころを確認
トウシル / 2022年1月17日 16時24分
米金融政策とオミクロン株の感染拡大が焦点!相場の落ち着きどころを確認
今週の予想
今週も引き続き、落ち着きどころを探る展開か
先週は、想定したように三角保ち合いの中で、直近の安値を切って落ち着きどころを探る展開となりましたが、今週も米国の金融政策で利上げの早期前倒しの観測が強まっており、米金融政策の今後の動向への警戒感が続き、さらに国内ではオミクロン株の感染拡大のスピードが増していることで下値を探る不安定な展開となりそうです。
先週は目先の下値を切ることを想定し、週末に一時2万7,889円まで下げて終値は日本銀行の買い支えもあって2万8,124円で引けましたが、先週、米国と国内で相場を不安定にさせる発言などが飛び出したことで、下値模索が深まる可能性があります。
米国では、13日(木)にブレイナード理事がFRB(米連邦準備制度理事会)副議長の指名公聴会で再び早期利上げに言及したことで不安が拡大して米株は急落し、14日の日本株も連動しました。
国内では、岸田政権は分配重視の政権としてスタートから疑問視されていますが、それを深めるような発言「新しい資本主義」の政策を担当する山際大臣が13日に出演したテレビ番組の中で「新しい資本主義は株価を意識してやりません」と発言しました。この発言は「新しい資本主義」が少なくとも短期的にはマーケットの逆風になると印象づけられたとの見方が出ています。
今後、米国株の上下動に応じた日本株の動きは、これまでと同じように想定されますが、不安要素を考えると物色の方向は、割高感がなく収益面でも期待値が高い銘柄(代表はトヨタ)などに資金が向かいやすいといえます。
一般投資家は、まず相場の落ち着きどころを確認したあと動くのがよいということになります。相場のレンジの下ブレを想定すると2万7,500~2万8,500円となります。
この水準でもみあったあと、1月の調整をはさんで2月にかけて切り返し4月まで上昇基調が続くことを想定しています。
今週の指標:日経平均株価
今週も引き続き、米国の金融政策の当面の方向性や国内では急増するオミクロン株の感染拡大が焦点となります。また、17日発表の中国の2021年10-12月期のGDP(国内総生産)も注視されます。
先週は週末に一時2万8,000円を切りましたが、再度、落ち着きどころを探る展開も想定されます。2万7,500~2万8,500円のレンジが想定されます。
先週の動き
先週の予測では、引き続き米金融政策を巡る動きとオミクロン株の感染拡大の動向に左右されるとしました。
FRBの早期利上げに対する警戒感から米株式が下落すれば、日経平均も連動し目先の安値を切ってくるとしました。それでも2021年8月20日の2万6,954円を安値とし、9月14日の3万795円を高値とする三角保ち合いの中の動きを想定しました。
そこで先週は下値を2万7,800円水準としました。
結果的に3連休明けの11日(火)に▲256円の2万8,222円まで下げたあと、12日(水)はパウエル議長の議会証言を受けて長期金利が一服。+543円の2万8,765円まで上昇しましたが、ここから反落となり、週末の14日(金)はブレイナード理事の利上げの積極的発言を受け、一時▲599円の2万7,889円まで下落しました。
後場になると日銀のETF(上場投資信託)買いが入り下げ渋って▲364円の2万8,124円で引けました。
今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)
先週は、FRBの今後の金融引締め政策への思惑から株式市場を振り回しました。
今週も引き続き、米金融政策の警戒が続き高値圏での大きな上下動となる可能性があります。早期利上げ観測が高まれば再びインフレ懸念が高まって長期金利の上昇でハイテク株は売られ、一方で銀行株が買われる展開となります。年4回の利上げが観測されており、ドル高・株高の流れは、当面は大きく変わらないと思われます。
先週の動き
先週の予測では、12月の消費者物価指数、生産者物価指数が発表され、FRB理事による早期利上げの主張もあり、長期金利の上昇と株価の下落が気になるところとしました。
結果的に週前半は長期金利の一服で株価はしっかりした動きでしたが、13日(木)になるとブレイナード理事が利上げに積極的発言をしたことで、NYダウは3日ぶりに反落。ナスダックも4日ぶりの大幅反落となりました。
週末は12月小売売上高が予想を下回り、5カ月ぶりのマイナスとなり、1月ミシガン大学消費者態度指数が低下したことで▲201ドルの3万5,911ドルと続落しました。
今週の指標:ドル/円
先週は、株価下落でドルも売られ113円台半ばまでのドル安となりました。
しかし、市場ではFRBの利上げ観測は根強く、また金融先物市場で年4回の利上げ確率は上昇しており、金利上昇に伴うドル買いは継続するものと思われます。
ただし、116円からはドルの上値は重いと思われます。
先週の動き
先週の半ばまでは、利上げ期待によるドルの先高感が強く、1ドル=115円台でのしっかりした動きでした。
しかし、13日(木)にブレイナード理事が再度、早期利上げについて言及すると株式が急落し、それがドル売りとなって114円台まで下落しました。週末の14日(金)は低調な経済指標を嫌気してドル売りが進み、一時113.49円までドルが下落しました。
そして年4回の利上げ観測が高まると114.25円で引けました。
先週の結果
連休明けの日本市場は、下値をさぐる動きとなり、一時2万8,000円を割り込みました
先週の予測では、タカ派的なFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の内容で、より早い時期の利上げやテーパリングの実施を求める主張があったことを受け、米株式は利上げを織り込む動きとなり、これを受けて日経平均も目先の下値を切って落ち着きどころを探る展開になるとしました。
そのために11日(火)のパウエル議長、13日(木)のブレイナード理事の指名承認公聴会が注目となるとしました。その他、国内ではオミクロン株の感染拡大が相場の重しになるとしました。
結果的に米国市場は、週前半もみあったあと12日は消費者物価指数が1982年以来の高い伸びを示すものの、予想の範囲内として長期金利が落ち着いていたことで、株価は堅調な動きでした。
しかし、13日(木)は、ブレイナード理事が利上げに積極的姿勢を示したことで、主要3指標そろって下落し、特にナスダックは4日ぶりに▲381Pの1万4,806Pと大幅反落となりました。
これを受けて週末14日(金)の日経平均は、前場は▲242円の2万8,246円で寄り付き、前日の米国株の下げを嫌気して、売り優勢で始まり、先物売りも交えて下げ幅を拡大し、一時▲599円の2万7,889円まで下げました。
国内のオミクロン株の感染拡大への懸念やアジア株安も重しとなり、前場は▲543円の2万7,945円でした。後場になると日銀のETF買い観測を支えに下げ渋るものの、戻りは限定的で終値は▲364円の2万8,124円でした。
14日(金)の1月SQ値(特別清算指数)は2万8,266円でしたので、これを下回って2万8,124円の引けとなりました。
先週の予測では、目先の下値を試すとしたように、予想レンジを2万7,800~2万9,000円としました。一時2万7,889円まで下げましたが、終値では2万8,000円台を守りました。
週末14日(金)の米国市場は、さえない経済指標を受けてマチマチの動きでした。
12月小売売上高は市場予想を下回る前月比▲1.9%と5カ月ぶりのマイナスとなったことや、1月ミシガン大学消費者調査で景況感指数が低下したことで、NYダウは▲201ドルの3万5,911ドルでした。
ナスダックは前日の下げ過ぎの反動でプラスに引け、シカゴ日経先物も+110円の2万8,300円と反発しています。
(出島 昇)
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