値下がりが心配…投資信託の商品別リスク対策
トウシル / 2022年1月22日 8時0分
値下がりが心配…投資信託の商品別リスク対策
価格下落の要因は?
市場環境が不安定になり、保有する投資信託の基準価額が軒並み下落し続けると、「もう投資なんてやめた方が良いのか…?」と心に迷いが生じるものです。しかし、こういうときこそ冷静な対応が必要です。
前回「積立投資のテクニック(3)投資信託の積立日、いつに設定すればいい?」でも解説した通り、投資信託の基準価額は基本的に、受給要因では変動しません。あくまでもその投資信託固有の要因と、市場環境によって変動します。
そこで今回は、投資信託のタイプ別に、リスクとの向き合い方と対処法について見ていきます。
(1)指数と連動「インデックス型」の場合
インデックス型ファンド(投資信託)は、ベンチマークとして掲げた指数と同程度のリスクやリターンを目指して運用されます。例えば、日経平均株価が前日比で2%下落すれば、日経平均連動型のインデックスファンドも同程度下落します。インデックスファンドは決してリスクが低いわけではなく、あくまでも満遍なく市場のリスクを負っているにすぎないのです。
インデックスファンドを積み立てている場合は、市場変動に動じずにそのまま続けるのが鉄則です。ベンチマークに掲げた指数と「運命共同体」のインデックスファンドは、市場リスクこそ回避できませんが、買い方を工夫することで時間分散効果が期待できます。
資金的に余裕がある場合は、無理のない範囲で積立額を増額するのも一つの手です。ここでいう「増額」とは、毎月の積立額を増やすということです。基準価額が下がったからといって、スポット(一括)購入に切り替えて、一度に大きな金額を投じることはお勧めできません。
(2)指数を上回る運用が目標「アクティブ型」の場合
一方、アクティブ型ファンドはというと、ファンドによって投資方針も、負っているリスクの大きさも異なります。実は、運用が上手なファンドほど、適切なタイミングでリスク調整を行い、相場の急変時に市場平均以上の損失が出ないよう工夫しています。
このように、ファンド固有の要因とはつまり、ファンドマネジャーの運用手腕を意味します。裏を返せば、市場平均、あるいは類似カテゴリーのインデックスファンドを大幅に上回る損失を出しているアクティブファンドについては、注意深く見守る必要があります。
なぜなら、過度にリスクを取っているファンドの基準価額が大きく下落してしまうと、再び同じ水準まで戻すには多大なエネルギーを要するためです。一時的に下げることはあっても、「下げ過ぎない」ことが重要なのです。
【図1】基準価額の下落と上昇は一対ではない
アクティブファンドについても、一時的に基準価額が大きく下がったからといって即座に積み立てをやめたり、ファンドを解約したりすることはやはりお勧めしません。ひとまず、ファンドの運用経過を見守り、おおむね3カ月単位で「市場平均、あるいは、類似カテゴリーのインデックスファンドを上回る運用ができているか」を確認します。
このとき、各銘柄の詳細ページに掲載されている「楽天証券ファンドスコア」を参考にすると良いでしょう。スコアの数値が高いファンドほど、「同じ分類に属するファンドと比較して、より効率の良い運用を行ってきた」優良な銘柄であることを意味します。
(3)AI、ESGなど「テーマ型」の場合
AI(人工知能)やESG(環境・社会・企業統治)など何らかの投資テーマを掲げて運用する「テーマ型」ファンドについては、少し注意が必要です。その業種全体が好況なときは一般的なアクティブファンドよりも大きなリターンを期待できますが、逆もまたしかり。近年人気の商品ですが、特定の市場や業種に集中投資するリスクを負っています。
こうした特徴を考慮すると、テーマ型はあくまでもポートフォリオの一部(多くても30%程度)にとどめた上で、市場環境の移り変わりにもアンテナを張った方がよいでしょう。
(4)指数の数倍を目指す「レバレッジ型」の場合
また、対象指数に対して数倍の値動きを目指す「レバレッジ型」ファンドについても、注意深く運用経過を見守る必要があります。
レバレッジ型は、短い投資期間で高い投資効果を期待できる半面、相場が思わぬ方向に動いたときの損失が大きくなります。この「思わぬ方向」の中には、株価指数が上昇と下落を繰り返す、いわゆる「ボックス圏」の相場も含まれます。
レバレッジ型は、ボックス圏相場だと「負の複利効果」が働いてしまい、基準価額が日々少しずつ下落してしまうのです。値動きの大きさを逆手に取って積み立てにするという選択肢もありますが、レバレッジ型自体は、株式市場が一方向に動かないとリターンが出にくいということを覚えておいてください。
※レバレッジ型ファンドについて詳しくは以下の記事をご参照
【図2】リスクの大小だけではなく、リスクの取り方にも注目する
(篠田 尚子)
この記事に関連するニュース
-
大手証券の売れ筋は「米国成長株投信」が1、2トップ。半導体株、インド株のブームはどうなる?
Finasee / 2024年9月20日 7時0分
-
投資信託に「買い時」はある? 購入の失敗を防ぐポイントを詳しく解説
マイナビニュース / 2024年9月17日 11時19分
-
「株価急落」「生成AIバブルの崩壊」と聞くと胸がザワつく“S&P500”インデックスファンド保有者に見てほしい“ある数字”
Finasee / 2024年9月9日 19時25分
-
第29話:「インデックスvs.アクティブ」どちらも十分ではない。投資信託選びの具体策とは?
トウシル / 2024年9月3日 13時9分
-
【日経平均】乱高下を逆手に取る!上昇で高リターンを狙うETFと下落を利益に変えるインバースETF
MONEYPLUS / 2024年8月31日 7時30分
ランキング
-
1「今買わないと後悔しますよ」 客を萎えさせる「店員の声かけ」はこれだ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月22日 8時5分
-
2「タワマン節税」「空き家問題」2つの不動産相続ルール変更で何が変わる?マンションや古い物件の活用方法は?
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月22日 8時0分
-
3福井のブランド米「いちほまれ」の新米、昨年より価格6割高で店頭に…生産量は2000トン増の見通し
読売新聞 / 2024年9月22日 8時43分
-
4「チープカシオ」なぜ人気? 安価だけではない、若者に支持される理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月22日 7時10分
-
5「無料のモノはもらわない」お金のマイルール 日々を健やかに過ごす「失敗を許容するお金」
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください