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値下がりした投資信託、回復までの目安は?

トウシル / 2022年2月5日 8時0分

値下がりした投資信託、回復までの目安は?

値下がりした投資信託、回復までの目安は?

2022年1月、世界の株式相場は軒並み下落

 前回、前々回と、足元の株価調整で値下がりした投資信託との付き合い方について取り上げたところ、大きな反響をいただきました。

 今回は、年初早々から苦戦を強いられた1月の市場環境について簡単に振り返るとともに、基準価額が下落した投資信託が再び同じ水準まで回復するまでの目安について、考え方を解説したいと思います。

 2022年1月は、米国を中心に、世界の株式市場が軒並み下落しました。楽天証券分類を使い、各資産の平均騰落率を算出したところ、米国株(「米国株式-為替ヘッジ無し」)は▲9.4%、中小型株式を除く日本株(「国内株式」)は▲6.3%と、わずか1カ月のうちに大きく値を下げました。

 多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数連動型のインデックス型投信は平均で約7%下落したほか、主要なハイテク株で構成するナスダック100株価指数の数倍の値動きを目指して運用するレバレッジ型投信に至っては、1カ月間で約24%下落しています。

 ハイテク株の組入れ比率が高く、さまざまなテーマに着目した一部のアクティブ型投信も、レバレッジ型と同程度の下落率に見舞われました。

 この下落幅を大きいと捉えるか、「大したことない」と考えられるかは、意見が分かれるところだと思います。

 しかし、年初からの下落に少しでもヒヤリとした、あるいは、米国株に対して「イメージしていたものと違う」と思ったなら、長期投資を前提としていても、原理原則を押さえた上で、リスクの取り方を再検討した方がよいでしょう。

 では、ここでクイズを一つお出しします。

 本連載で過去にも取り上げている内容なので、見覚えがあるという方も多いかもしれません。基準価額が下落している今こそ、向き合っていただきたい内容です。

クイズ基準価額1万円の投資信託が25%値下がりし、7,500円になりました。この投資信託が再び基準価額1万円を回復するには、何%のリターン(利益)が必要でしょうか。

投信の基準価額が値下がり分を回復するためには、何%のリターンが必要?

答え:約33.3%

10,000÷7,500-1=0.33333≒33.3%

 直感的に「25%」と答えてしまいそうですが、正解は、25%より8.3ポイント大きい33.3%です。基準価額が25%下落した後(7,500円)、再び25%上昇しても、7,500×1.25=9,375と、1万円には届きません。

 このクイズが意味するのは、基準価額の上昇と下落は一対(ペア)ではないということ。つまり、一度基準価額が下落してしまうと、再び同じ水準まで戻すためには、下落率以上のエネルギーと時間を要する可能性があるということです。

 当然のことながら、下げ幅が大きければ大きいほど、元の水準に回復するために必要なリターンは大きくなります。

異例ずくめの米国株式市場 今後もリスク点検を

 2月に入り、株式市場は堅調な企業決算などが好感され反発に転じましたが、約2年前のいわゆるコロナショックの時のように、わずか数カ月で元の水準まで回復することを当然のように思ってはいけません。

 むしろ、大規模な金融政策によって押し上げられたコロナ禍の米国株式市場は、異例ずくめの動きであったと考えた方がよいでしょう。

 コロナショックの時のように、想定していたよりも基準価額が早く回復すれば、それに越したことはありません。しかし、短期間のうちに大きく基準価額が下落した場合、回復までに年単位の時間がかかる可能性も否定できません。

 例えば、フィンテックやイノベーションなど、特定の投資テーマを掲げたテーマ型ファンドの中には、過去3カ月間で基準価額が40%以上下落したものもあります。先の式に当てはめると、基準価額が40%下落すると、10,000÷6,000-1=0.66666≒66.7%ものリターンが必要となります。

「米国株インデックスファンド、好調の一因は〇〇だった」で触れた通り、2021年のS&P500指数とナスダック100指数の年間騰落率は現地通貨ベースで約27%のプラス、為替変動を加味して約43%のプラスでしたから、66.7%のリターンを獲得するのに年単位の時間がかかる可能性は十分に考えられます。(ただし、積み立てを行っている場合は、この限りではありません。詳しくは「積立投資のテクニック(1)高値圏から始めても利益が出るってどういうこと?」をご参照)

 20年、30年単位の長期投資を前提としたとき、米国株が有望な投資先であることは間違いないでしょう。

 しかし、長期投資を実践する過程では、短期的に30~40%の下落に見舞われることがあり、さらに、その下落分を回復するために年単位の時間がかかる可能性もあるということも覚えておく必要があります。

 今回のような株式市場の調整と、「お金が必要になったとき」が重ならないよう、自身が取っているリスクの定期的な点検を心掛けましょう。

(篠田 尚子)

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