iDeCo(イデコ):5月から60~64歳も加入可能に、75歳になるまで非課税投資を続ける選択肢も
トウシル / 2022年2月8日 7時38分
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iDeCo(イデコ):5月から60~64歳も加入可能に、75歳になるまで非課税投資を続ける選択肢も
資産形成は、非課税投資口座で
投資を行う際、期待リターンだけでなく、リスクについても考える必要があります。また、投資を行うのにかかるコストも考えなければなりません。
【1】適切にリスク管理しながら、
【2】長期・分散投資を、
【3】可能な限り低コストで行うことが大切です。
コストの中で大きいのが、手数料(販売手数料など)と税金です。運用益に税金がかかるのとかからないので長期的なリターンは大きく変わるので、国が用意した「非課税投資制度」はフルに活用すべきです。中でも、もっともメリットが大きい「iDeCo(イデコ)」について、加入条件を満たしているならば、最初に検討すべきです。
iDeCoとNISAを両方やれると良いですが、もし資金の制約からどちらか1つしか選べないとすると、原則iDeCoから始めるべきです(課税所得がある場合)。非課税メリットが、後段で説明する通り、NISAより大きいからです。iDeCoの投資枠を上限まで使い、さらに余力があればNISAやつみたてNISAを行うという考えで良いと思います。
5月から64歳までiDeCo加入可能に
60~64歳の方に朗報です(年齢以外のiDeCo加入条件を満たす方)。5月から、65歳になるまで加入できるようになります。私(筆者)は、昨年6月に60歳になったので、iDeCoの積み立てが、いったんできなくなりました。ただし、5月から再び可能となります。許容される枠の上限で積み立てを再開し、65歳になるまで続ける予定です。
私にとって、積み立てを再開するメリットは3つあります。
【1】拠出金が所得控除になります。
【2】運用益が非課税となります。
【3】受け取り時にも節税メリットがあります。
詳しくは後段で解説しますが、最初に私が積み立てを再開するメリットをNISAと比較します。
【1】のメリット→iDeCoのみ。NISAにはない。
【2】のメリット→受け取りを開始するまで、非課税投資を続けられます。iDeCo は60歳から受け取りが可能ですが、最長で75歳まで受け取りを遅らせることも可能になります(現時点では70歳まで、5月より75歳まで可能に)。
私は今60歳ですから、5月に積み立てる分を75歳から受け取るとすると、14年以上、非課税投資ができます。若い方であれば、もっと長い年数の非課税投資が可能です。
NISAで5年、つみたてNISAで20年非課税期間が続きます。iDeCoでも長い期間、非課税投資を続ける選択肢があります。
【3】のメリット→NISAは受け取りには課税されません。iDeCoは受け取り時に節税メリットがあります。
なお、5月からの加入要件緩和について、詳しい説明は以下を参照してください。
令和4年(2022年)5月からiDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます
iDeCo、3つの節税メリット
iDeCoには3つの節税メリットがあります。すぐに恩恵を感じられるのは、【1】拠出金が所得控除となる点です。
【1】拠出金が所得控除になります
年末調整、または確定申告によって所得控除を受け、所得税・住民税の納税額を減らすことができます。
たとえば、民間企業の勤務者で、給与収入が650万円(課税所得350万円と仮定)の方は、iDeCoで拠出額の約30%分、節税できます(復興特別所得税を勘案しない計算)。年間27万6,000円(月額2万3,000円ずつ)拠出を行うならば、単純計算で、年間8万2,800円の節税となります。
【2】運用益が非課税となります
運用期間中に得られる利息・配当金・売却益が、非課税となります。将来、10万円の運用益(配当金や売却益)が得られるとします。通常の課税(分離課税・単純計算)では、2万円(復興特別所得税を勘案しない計算)が税金として差し引かれます。iDeCo・NISAなど非課税制度を使っていれば、10万円まるまる受け取れます。大きな差となります。
40歳の方を例にとると、iDeCoでは非課税で投資できる期間がNISAやつみたてNISAよりかなり長くなります。NISAなら最長で5年、つみたてNISAなら最長で20年非課税投資が可能です。iDeCoだと、40歳から受け取り可能になる60歳まで最短でも20年間の非課税投資ができます。さらに、受け取りを70歳まで遅らせれば、40~70歳まで30年間の非課税投資が可能です。後段で説明しますが、来年5月以降は、最長75歳まで受け取りを遅らせて75歳まで35年間、非課税貯蓄を続けることも可能になります。
【3】受け取り時にも節税メリットがあります
一時金で受け取るならば、退職所得控除の対象となります。年金方式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。詳細は割愛しますが、非課税で受け取れる可能性が高いと言えます。
iDeCoに入るデメリット
主なデメリットについても、説明します。
【1】原則60歳まで引き出しができない
60歳になるよりも早い時期に、住宅購入や子供の教育などで使う予定があるお金ならば、iDeCoではなく、NISAやつみたてNISAで投資した方が良いと考えられます。60歳になれば原則、受け取り可能となります(加入期間によって数年遅れることもあります)。
【2】投資信託を通じて株などに投資する場合、値下がりすることもある
投資信託で運用する場合、当然ですが、必ず資産が増加するとは限りません。値下がりする可能性もあります。運用リスクを取りたくなければ、iDeCoで定期預金に加入することもできます。
ただし、私は、60歳まで長期運用できるお金を定期預金に置いておくのは、おすすめしません。利回りが低くて、ほとんど資産が増えないからです。短期的な値下がりリスクを負っても、長期的な資産形成に寄与すると期待される投資信託などに投資していくべきと考えています。
【3】加入先によっては運営管理手数料がかかる場合がある
ただし、楽天証券ならば、運営管理手数料は、条件なしで誰でも無料です。
専業主婦(主夫)などで課税所得ゼロだと「所得控除」メリットはない
iDeCoの3つの節税メリットのうち、すぐに恩恵があらわれるのは、拠出金が所得控除になることでした。ただし、課税所得がゼロの場合は、そのメリットがありません。
iDeCoでの年間拠出金上限は、勤務先や働き方によって異なる
以下の通り、加入資格・年間の拠出金上限などが決められています。
iDeCoの概要
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/1/-/img_81f8d9dedea37b8c373c9e0db23a2b8c57788.png)
iDeCoに年間いくら拠出できるか、上の表に示した通り、勤務先や働き方によって異なります。iDeCo枠は、目いっぱいまで使い、3つのメリットをフルに得ていくことが良いと思います。
5月からの制度変更
5月からの制度変更の、重要ポイントを、再度、以下の通りまとめました。
【1】65歳になるまで加入可能に
現在は、60歳未満でないと加入できません。5月以降、65歳未満であれば加入可能となります。ただし、65歳まで国民保険または厚生年金の被保険者であることが条件です。
【2】受け取り開始を75歳になるまで遅らせることが可能に
現在は、70歳までに受け取りを開始しなければなりませんが、75歳になるまで受け取り開始を遅らせることができるようになります。受け取りを開始するまで、非課税での投資が継続されます。
iDeCoは、非課税で投資できる期間の長さで、NISAやつみたてNISAを大幅に上回る可能性があります。40歳の人を例にとって説明します。日経平均インデックスファンドにNISA口座で投資すれば最長5年間だけ非課税投資となります。つみたてNISAで投資すれば最長20年間非課税です。
iDeCoで投資すると非課税で投資できる期間がもっと長くなります。60歳になるまで原則出金できませんが、60歳になってすぐ受け取るならば20年間非課税で投資することになります。60歳では受け取りを開始せず、75歳から受け取りを開始するならば、40歳から74歳まで35年間非課税で投資することになります。
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