ロシア株暴落、ドイツ株も急落:ウクライナ停戦遠のき世界景気に下振れリスク
トウシル / 2022年3月7日 7時52分
![ロシア株暴落、ドイツ株も急落:ウクライナ停戦遠のき世界景気に下振れリスク](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_36308_0-small.jpg)
ロシア株暴落、ドイツ株も急落:ウクライナ停戦遠のき世界景気に下振れリスク
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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ロシア株・ドイツ株急落 ウクライナ停戦遠のき 世界景気に下ぶれリスク」
ウクライナ停戦期待遠のき、世界経済全体にダメージ及ぶ懸念広がる
先週(2月28日~3月4日)の日経平均株価は1週間で491円下落し、2万5,985円となりました。ウクライナ停戦への期待が遠のき、ロシアがウクライナの原発や民間住宅などへの攻撃を強めたことを受け、株式市場でリスク回避の売りが増え、欧米株と日経平均は再び急落しました。
欧米、日本など世界各国がロシアへの経済制裁を強めることでロシアへの経済的ダメージが深刻になりつつあります。ロシアを国際間決済から締め出したことで、ロシアは輸出入決済ができなくなり、ロシア通貨ルーブルが急落。さらにEU(欧州連合)がロシア向け貨物に港湾を使用させない制裁を打ち出したことで、ロシアは金融・物流両面から経済にダメージを受けています。
一方、制裁を加える側にもダメージが大きくなる可能性があります。特に、ロシアとの経済的つながりの深い欧州へのダメージが大きくなります。欧州経済が失速、さらに世界経済全体にダメージが及ぶ懸念が出たことが、再び世界株安が起こる原因となりました。ロシアへの依存が大きいレアメタルの供給が途切れると、世界の工業生産がストップするリスクも懸念されます。
以下のチャートを見てわかる通り、ドイツDAX指数のウクライナショックによる下落率は、日経平均や米国株価指数よりも大きくなっています。
ナスダック総合、S&P500、NYダウと日経平均の動き比較:2019年末~2022年3月4日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/a/a/-/img_aae4b0942b40962d495504a558753617115181.jpg)
昨年10月以降の世界株安は、さまざまな要因が重なった複合ショックですが、中でも影響が大きかったのが、【1】米インフレショックと、【2】ウクライナショックだと考えています。
米インフレショックは、大型ハイテク株比率の高い、米ナスダック総合指数に一番大きな影響を与えました。ウクライナショックは、欧州への影響が大きく、ドイツDAX指数の下げが大きくなっています。
2021年10月までの回復は、米ナスダック、米S&P500が大きく、日経平均、DAXはともに出遅れていました。日本・ドイツの共通点は、自動車・機械などの製造業が強く、中国経済の影響を大きく受けることです。中国の不動産バブル崩壊、景気減速懸念が影響して、日本およびドイツ株の回復は遅れていました。そこに、ウクライナショックが加わって、DAXはコロナ前、2019年末の水準を下回るところまで下げました。
ウクライナショック、米国株への影響
ウクライナショックの米国株に与えるマイナス効果は相対的に小さくなっています。米国経済は、IT産業の比率が高く、製造業の比率が低く、世界経済の影響を受けにくいことから、ウクライナショックに対して相対的にディフェンシブと見られています。
米インフレ高進を受けてFRB(連邦準備制度理事会)が金融引き締めを急いでいる影響から、ナスダック中心に下げが大きくなっているところで、ウクライナショックが起こった影響は複雑です。ロシア産エネルギーの供給が減る懸念で、原油先物がさらに上昇していることは、インフレ鎮静が遅れるという意味でネガティブです。
WTI原油先物(期近)月次推移:2000年1月~2022年3月(4日)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/c/c/-/img_cc5fd99ea29ed1dcd7a2d125dac4a39373805.jpg)
一方、欧州景気・世界景気が軟化する不安から、米長期金利が低下したこと、FRBが利上げにやや慎重になるとの見方が出てきたことはポジティブです。3月15~16日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げ0.5%が実施されるとのコンセンサスがありましたが、利上げ幅は0.25%となると市場予想が変わりました。米ナスダック総合指数は、米引き締めがやや緩和する期待から反発しています。
米長期(10年)金利推移:2020年1月2日~2022年3月4日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/6/2/-/img_62db7b7fed18dc7cd81cbe86ce4c3fba65497.jpg)
時間分散しながら買い増し
結論は毎週申し上げていることと同じです。日本株は割安な水準に低下しており、長期投資で買い場と考えています。ただし、短期的にはさらなるショック安が続く可能性があり、時間分散しながら買い増ししていく必要があります。
景気・企業業績が良好な中で、株安が続いてきたことで、東証一部の予想PER(株価収益率)は13.7倍まで低下しており割安と判断しています。下げ止まりが近づいている可能性があると考えています。
リスクは、このままウクライナ情勢が泥沼化する中で、欧州景気・世界景気が急速に悪化することです。中国の不動産バブル崩壊、米国の利上げなども重なって、年後半に世界が景気後退期に入るならば、日経平均の下値はさらに大きくなります。ただし、現時点でその可能性は低いと判断しています。
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