円安はどこまで進むのか。日経平均は2万6,300~2万7,300円を想定
トウシル / 2022年4月25日 16時7分
円安はどこまで進むのか。日経平均は2万6,300~2万7,300円を想定
今週の予想
今週は、先週末の米株式の大幅下落を受けての為替と米株動向に注目
今週は、日経平均は円安がこのまま進むのかどうか注目となります。FRB(米連邦準備制度理事会)のほとんどのメンバーが積極的なタカ派(引き締め)になっており、5月、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、いずれも0.5%利上げ実施を織り込んでいるとみられます。
それどころか一部には1994年以来となる0.75%幅も否定しないメンバーもおり、グロース株(成長株)にとっては逆風となります。
このような中で、日本銀行はFRBとは対照的に緩和姿勢を維持してきましたが、ここにきて急激な円安を受けて「悪い円安」の見方が政府からも出ており、日銀の方向修正へ圧力がかかってきています。
そうなると、円買い口先介入などもあり、今週の金融政策決定会合で緩和策が薄められてくると、いったん円安が止まり、日経平均の上昇も止まる可能性があります。
逆に円相場が反発して円高方向になれば、足元で日経平均を支えてきた要素も弱まり、レンジの下方で動く可能性があります。
チャートをみると、75日移動平均線(22日時点2万7,154円)、25日移動平均線(22日時点2万7,389円)を抜けて、200日線(22日時点2万8,110円)に挑戦という形でしたが、簡単にいかないのが相場です。
これまで昨年の三角保ち合いから、今年初めの下放れから戻しても2段目の下げの可能性があるとしましたが、先週末の米株式の下げによって、再びレンジの下限を試す動きとなる可能性が出てきました。
チャート的には、週足の52週線(2万8,237円)や3月25日の高値2万8,338円のフシを抜けないとチャートの好転という形にはなりません。
それまでは戻してもアヤ戻しの段階で、先行きの調整懸念がなくなるわけではありません。
今回のポイントは、連休中の5月3~4日のFOMCが注目となります。日経平均がどう動くかは大型連休が明けてからの動向が重要であり、5月に方向感が示されることになります。今週のレンジは2万6,300~2万7,300円を想定しています。
今週の指標:日経平均株価
先週の予測では、前々週の12日(火)に2万6,304円まで下げたことで、14日(木)に2万7,200円まで反発したことで、レンジを2万6,500~2万7,500円としました。
結果的には、週始めの18日(月)こそ2万6,571円まで下げるものの、その後は米株式の堅調な動きを受けて、3日続伸となり、21日(木)には2万7,580円まで上昇しました。
ところが引け後の米国でパウエル議長が5月のFOMCでの大幅利上げに言及したことを受け、3指標そろって大幅下落となりました。
これを受け、前日までの反動高や米株安を受け、日経平均は前場▲355円の2万7,197円で寄り付き、一時▲648円の2万6,904円まで下げ、後場になると下げ渋って▲447円の2万7,105円で引けました。
先週末にFRBのパウエル議長が5月のFOMCでは0.5%の利上げに言及したことで、6月も0.5%の利上げ観測が高まり、積極的な利上げ観測が高まって2年債利回りが2018年以来の高水準となり、NYダウは1,000ドル近い下げとなりました。
これを受けてシカゴの日経先物は▲345円の2万6,755円となっており、今週、開かれる金融政策決定会合で日銀のこれまでの緩和策が薄められるようなら円安はいったん落ち着き、日経平均にとっては逆風となる可能性もあります。
想定レンジを2万6,300~2万7,300円としレンジの下限での動きが想定されます。
今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)
先週の予測では、納税申告期限の4月18日を過ぎると、いったんアク抜け感が出て上昇するとの見方がありましたが、ウクライナ情勢もあり、乱高下するかもしれないとしました。
週始めは、小幅続落して始まりましたが、19日(火)は、金融株の好決算を受けて3指標大幅高で、NYダウは+499ドルの3万4,911ドル、20日(水)は、+249ドルの3万5,160ドルと続伸しました。
しかし、21日(木)は、パウエル議長が5月のFOMCでの金利引き上げについて0.5%の利上げを強調したことを嫌気し、▲368ドルの3万4,792ドルと急反落しました。
週末の22日(金)は、2年債利回りが2018年以来の2.789%まで上昇し、一部の決算の悪化も嫌気され一時1,019ドル安となり、終値は▲981ドルの3万3,811ドルとなりました。
今週の米国では、注目の決算が目白押しです。「GAFAM」(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の大型、IT企業の決算が控えています。先週は、ネットフリックスの急落が市場心理を悪化させました。
今週も何か大きな下げのキッカケがあればさらなる深押し要因になりかねません。今週ゴールデンウィークの間には、米国では、4月失業率、3月耐久財受注、4月消費者信頼感指数、その後、FOMCや米国雇用統計などが続くので注意が必要です。
今週の指標:ドル/円
基本的に、今週、来週(4月25日~5月6日)のドル/円は底堅い動きが想定されます。FRBが引き締めの加速を決定後、利益確定の売りでいったん円安が止まりますが、金融正常化を好感したドル買い・円売りが主要通貨を支えることになります。
多少、円高にブレてもFRBの現在のスタンスでは130円台の水準を切り上げる可能性があります。
先週の動き
先週は、FRBの利上げスタンスの強さは変わりなく、高値圏でもみあいながら円安が継続するとしました。
結果的に、週前半は米国の金利が上昇する一方で、日銀の緩和策は継続しており、日米金利差からドル買い・円売りは続き、4月20日(水)にドルは一時129.40円まで買われました。
その後、128円台前半でもみあっていましたが、パウエル議長が5月のFOMCで0.5%の利上げに言及すると再び129円台までドルが買われ、先週末は128.55円で引けました。
先週の結果
先週は、週始めはレンジの下限、週後半はレンジの上限への動き、週末は大幅下落となりました
先週の予測では、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に為替の急激な円安もあり、2万6,500~2万7,500円のレンジの中で乱高下が想定されるとしました。
日経平均は、3月25日に2万8,338円の戻り高値をつけて調整が続いており、これは年初に三角保ち合いの下放れ後の「陰転」した下げ基調の中にあり、2段下げの懸念をかかえているとしました。
前週は、12日(火)の2万6,304円を安値に15日(金)の2万7,203円まで反発したことで、先週は日経平均のレンジを2万6,500~2万7,500円としました。
先週の動きは、18日(月)に2万6,571円の安値をつけ、その後は米長期金利の上昇と好決算を受けての米国株の反発と円安を好感し、3日続伸となって21日(木)には2万7,580円まで上昇しました。
約2カ月ぶりの上昇となって行き過ぎと思っていたところ、この日の引け後の米国市場で、パウエル議長が5月のFOMCにおいて、0.5%の利上げの可能性に言及したことで、米株式は3指標そろって反落となりました。
これを受けて22日(金)の日経平均は、前日までの買われ過ぎの反動と米株安ということもあり、前場は▲355円の2万7,197円で寄り付き、一時▲648円の2万6,904円まで下げました。時間外取引で株価指数先物が値を下げたことも重しとなりました。
しかし、売り一巡後は、後場終盤にかけて下げ渋りましたが、戻りは限定的で▲447円の2万7,105円と4日ぶりの大幅反落で引けました。
22日(金)は、日本市場の引け後の米国市場では、NYダウは一時1,000ドルを超す下げとなりました。
金利上昇を背景に株式市場から資金流出が続いているため、パウエル議長が21日のIMF(国際通貨基金)セミナーで5月のFOMCにおいて金利を0.5%引き上げるという積極的な金融引き締めへ言及したことで、2年債利回りが2018年以来の高水準(2.789%まで上昇)したことが嫌気され、3指標そろって大幅下落となり、NYダウは▲981ドルの3万3,811ドルで引けました。
為替は1ドル=128.55円で止まり、シカゴの日経先物は▲345円の2万6,755円でした。
先週の日経平均は、2万6,500~2万7,500円のレンジの中で、週始め2万6,500円に接近し、21日(木)は2万7,500円とやや上回って引けましたが、週末は再び大幅安となって▲447円の2万7,105円で引けました。
現在の日経平均を支えているのは円安です。円安は輸入コストを高めて、日本経済を弱めますが主要な輸出企業にとってはメリットが大きく、日経平均の支援材料となっています。
急速な円安進行は日米金利差が拡大するので、そろそろ日本の金融緩和も見直されるところにきています。
(出島 昇)
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