米国株下落でも、日本株が堅調な4つの理由
トウシル / 2022年5月16日 7時40分
![米国株下落でも、日本株が堅調な4つの理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushiru/toushiru_37246_0-small.jpg)
米国株下落でも、日本株が堅調な4つの理由
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「【日本株】米国株下落でも、日本株が堅調!4つの理由と投資判断は?」
米国株下落でも、日経平均は意外にしっかり
先週(5月9~13日)の日経平均株価は、1週間で575円下がり、2万6,427円となりました。12日に一時、2万5,688円まで下がりましたが、13日に前日比678円高の2万6,427円と反発しました。
米ナスダック・S&P500・日経平均の動き比較:2019年末~2022年5月13日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/0/c/-/img_0cd6dd2b35f4d8ffc7e9fef4e7c0c0da119998.jpg)
米国株には、まだ下げ止まり感がありません。昨年10月以降、米インフレ・ショック、ウクライナ・ショックに、米中景気減速懸念も加わって、下値模索が続いています。
そうした中、日経平均も下がってはいますが、3月以降は、米国株が急落してもあまり下げない日も増えました。米国株と比較して、日経平均の堅調さが話題となっています。
先週5月9日のレポートで私は、日経平均が米国株よりも堅調な理由として3つあげました。それに、岸田政権の政策スタンス変更の可能性への期待も加え、4つの背景から日本株は堅調になっていると思います。
日本株が相対的に堅調な4つの理由
以下4点が影響していると思います。
【1】円安
円安による輸入物価の上昇は国民生活にマイナスですが、日本の企業業績にはプラスです。ドル建ての海外利益を、円への換算額が、円安によって膨らむ分が、増益に貢献します。
円安は需給面でも、日本株にプラスに働きます。いつもお話ししているように、日本株を動かしているのは、外国人投資家です。その外国人は、ドルを円に両替して日本株に投資しています。したがって、外国人にとって重要なのは、ドル建て日経平均です。ドル建て日経平均が円安によって大きく下がったために、外国人はここからさらに日経平均を売り込みにくくなっていると考えられます。
日経平均とドル建て日経平均の動き比較:2021年10月1日~2022年5月13日
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/8/f/-/img_8f2490777f80c49ba6d7078a28521f9d49213.jpg)
過去の経験則では、円安が進むと外国人が日本株を買う傾向が強まりました。円安によってドル建て日経平均が下がるので、外国人からみて「安く日本株が買える」ようになることに加え、円安が日本の企業業績にプラスなこともあり、外国人は日本株を買うのでした。
とはいえ、さすがに米国株が急落する中で、外国人が日本株を積極的に買いに出ることはありません。それでも、円安が急伸したことで、売り圧力を減じる効果はあったと思います。
【2】日本の企業業績が良好
3月期決算の発表がほぼ終了しました。終ったばかりの2022年3月期が好調であったことに加え、新年度(2023年3月期)も、小幅ながら増益が見込める可能性がでています。詳しくは後段で説明します。以下が、東証上場主要841社の業績推移です。今期、楽天証券では、連結純利益が5.8%の増益になると予想しています。
東京証券取引所上場、3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)
![](https://media.rakuten-sec.net/mwimgs/1/f/-/img_1f4afa159148d15563d63ac580726c5364083.jpg)
【3】リオープン(経済再開)への期待
新型コロナウイルスの感染は続いていますが、重症化リスクが低下し、死亡率も通常のインフルエンザに近いところまで低下してきているので、リオープン(経済再開)への期待がたかまっています。
消費が、コロナで抑え込まれていた反動で、一時的に大きく伸びる可能性が出ています。
【4】「インベスト・イン・キシダ」、資産倍増策への期待
岸田首相が提言してきた「新しい資本主義」は、株式投資家にネガティブな政策が多いとの印象を受けてきました。ところが、先週、ロンドンで行った講演で、所得倍増政策に加え、資産・所得倍増政策を打ち出し、「インベスト・イン・キシダ」と述べたことが注目されました。
岸田政権の政策スタンスが、株式投資にフレンドリーになる兆しかと、期待を生じています。
「時間分散しながら日本株を買い増し」の投資判断を継続
結論はいつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期投資で良い買い場を迎えていると判断しています。ただし、世界的な株安ショックで、日経平均が短期的にさらに売り込まれるリスクは残っています。
短期的な下値リスクが残っていることを意識しつつ、時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
最後に5書のご紹介です。マンガで解説する投資入門書を4月18日に主婦の友社から出版しました。以下の動画にて、紹介しています。
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2022年5月11日:中部電力の投資判断をAvoid(見送り)からHold(保有継続)へ引き上げ
2022年5月10日:「悪い円安」は誇張?円安が日本株にプラスと考える理由
(窪田 真之)
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