下落相場を甘く見ない!リーマン・ショックで大損した者からの警告
トウシル / 2022年5月26日 6時0分
下落相場を甘く見ない!リーマン・ショックで大損した者からの警告
安易な買い推奨は危険
今年に入り、日本株も下落していますが、米国株の下落の方が大きい状況が続いています。日本株に見切りをつけ、米国株を高いところで買ってしまった個人投資家を中心に、大きな痛手を負っているようです。
最近は動画共有サイト「ユーチューブ」や交流サイト「ツイッター」などで、専門家や個人投資家がさまざまな相場観を発信しています。
その中で多いのが、株価が下がっている最中にもかかわらず「株価がだいぶ安くなった。今は絶好の買い時だ!」とする買い推奨です。
ところがその後も株価の下落が止まらず、多くの個人投資家は含み損が拡大し、頭を抱えています。
2008年9月のリーマン・ショックで大きな損失を被った筆者からみれば、株価が下がったから割安だ、だから買うべきだ、とするこの安易な考え方は極めて危険と感じています。
本当に3~5年待てば戻るのか?
ネットの掲示板で個人投資家の書き込みを見ると、株価が下がっている途中に買ったり、もしくは株価が高いときに買って放置しているため、多額の含み損を抱えている人が多いようです。
しかし彼らの書き込みは
「仕方ない。3~5年くらい寝かしておくか。そのくらいたてば株価は元に戻るだろう」
「日本株は厳しいけど米国株は年単位でみたら毎年上昇しているからここは我慢!!」
などと、まるで危機感を感じないコメントが並びます。
確かにリーマン・ショック後、日本株は大きく上昇しましたし、米国株は日本株をはるかに超えるダイナミックな上昇を遂げました。
一時的に株価が下がっても確かに数年たてば戻っていましたし、米国株はここ最近毎年のように上昇を続けていたのも事実です。
でもそれは「過去」の話です。過去はあくまでも過去でしかありません。将来はどうなるか分かりません。
今まで数年持ち続けていれば株価は戻ったからこれからも同じと断定することはできないはずです。
米国株が毎年上昇を続けているのは最近の話であって、30年、50年、100年のスパンで株価の動きをみれば、様相は全く異なります。
株価が毎年下落を続けていた時期、10年以上ほとんど上がらなかった時期、そして世界恐慌のようにダウ工業株30種平均が高値から89%も下落してしまったことだってあるのです。
大きく下がってからの「弱気相場入り」は、選択肢が少ない
最近よく目にするのが、「弱気相場入りした」という専門家や投資系ユーチューバーらのコメントです。
一般には株価指数が20%下落すると弱気相場入りした、とされます。
この考え方では、株価指数が20%下落するまでは、その株価下落は「押し目」になり、逆張りで買いを狙う機会となります。
ところが、株価指数が20%以上下落すると、弱気相場になったということで買いを控えるべき、となるのです。
でも、弱気相場入りする前は、専門家やユーチューバーらの「逆張りで押し目買い!」といったコメントを信じて買い向かった個人投資家が数多くいて、彼らの多くは日々損失が膨らむことになり、悩んでいます。
大きく株価が下がって塩漬け株が生じた状態からでは、取り得る選択肢は「我慢して持ち続ける」「投げ売りする」「ナンピン買いする」といったところでしょう。
選択肢がかなり狭まってしまい、かつどの選択肢も多額の損失につながりかねないということを理解する必要があります。
実際、筆者がリーマン・ショックで大失敗したのは、株価下落を我慢してしまい、それでも下落が止まらない中、半ばパニック気味に投げ売りをしてしまったことが原因です。
でも、信用取引も行ってレバレッジをかけていましたので、投げ売りせず我慢して持ち続けていたならば、全財産が全て吹き飛んでいたのです。
上昇相場でどんなに利益を上げていても、下落相場で利益を吹き飛ばし、大きな損失を被ってしまっては意味がありません。下落相場を小さな傷で乗り切る術を身に付ける必要があります。
事前に下がったらどうするかを決めておくことが重要
では、どんなにひどい下落相場でも大きく負けずに生き残るためにはどうすればよいのでしょうか?
筆者はリーマン・ショックでの大失敗以降、必ずルールを守り、それを実行することで何度となく訪れた大きな下落を乗り切ることができています。
それは、いつも申し上げている通り「25日移動平均線割れで保有株を売却・損切りする」というルールです。
大きく株価が下がっている頃には、ほとんどの銘柄が25日移動平均線を大きく下回っています。でも、25日移動平均線を割り込むのは株価下落の初期段階です。そのため、かなり株価が高い時点で売却・損切りすることができます。
株価下落が進展してからでは、ナンピン買いなどもってのほかなので、「我慢して持ち続ける」「安値で投げ売りする」のどちらかしか選択肢がありません。そしてこの両方とも、大きな損失を生じさせてしまう行為です。
25日移動平均線割れで売却というのは筆者が用いているルールにすぎず、これにこだわる必要はもちろんありません。
ただ、株価が想定を超えて大きく下落してしまうことに備え、株価が大きく下落する前に売却できるようなルールをしっかりと作り、それを実行するようにしてください。
もう一つは25日移動平均線割れの間は買わないというものです。これを実践すれば、下落相場が続いている間は手を出すことがなくなります。
株価が下がっている途中に逆張りで買い向かった結果、さらに株価が下落して身動きがとれなくなってしまう、という事態を防ぐことができるのです。
くれぐれも下落相場を甘く見ないようにしてくださいね。それがリーマン・ショックで大ケガをした筆者からの強いメッセージです。
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(足立 武志)
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