下落相場で利益を得るためのポイント
トウシル / 2022年6月23日 6時0分
下落相場で利益を得るためのポイント
下落相場でうまく利食いするのは難しい
今年に入り、軟調なマーケットが続いています。日本株は円安が進んでいることもあって、米国株よりは小さな下げで済んでいますが、成長株を中心に株価が大きく下がるものが目立っています。
その一方で、日経平均株価に採用されている大型株など、株価が上昇基調のものも意外と多くあります。
ですから、全般が下落相場であっても株価が上昇する銘柄はありますし、それらを適切なタイミングで売買することができれば、買った株を利食い売り(購入した価格よりも値上がりし、利益が出ている時点で売却する)することも可能です。
しかし、実際にやってみると分かるのですが、全般が下落相場の時に上手に利食いするのはかなり難しいものです。
なぜ下落相場での利食いが難しいのか?
筆者は株式投資の基本的な手法として「順張り」(株価の動きに逆らわずについていく)を行っています。
順張りの手法をとると、株価が上昇を続ければ続けるほど利益が伸びることになります。
しかし下落相場の特徴として、株価が上昇してもすぐ失速して下落に転じてしまうというものがあります。
そのため、「株価が反転上昇した!」と株価チャートから判断して買いを入れてみても、その後株価が大して上がらずに下落してしまい、利食いではなく損切りを余儀なくされるケースが非常に多くなります。
もちろん、順調に上昇する銘柄もあるのですが、そうした銘柄にピンポイントで投資するのも難しいですから、ちょっと上がってもすぐ下がってしまうというケースに遭遇することが増えてしまいます。
筆者は25日移動平均線超えで買い、25日移動平均線割れで売るというのを売買の基本ルールとしていますが、25日移動平均線超え直後のベストタイミングで買ったとしても、その後株価が引き続き上昇しなければ、すぐ再び25日移動平均線を割り込み、損切りとなってしまうことが最近は多くなっています。
下落相場では、株価が反発する局面があっても長続きしないことが多いので、なかなか利食いに至らないのです。
下落相場で利益を得るには「ほどほど」がポイント
一方、下落相場で利益を得ている個人投資家もいます。なお、下落相場では「空売り」により利益を得ることができますが、ここでは空売りではなく、買いにより利益を得ている方の話をします。
筆者の25日移動平均線ルールだと、例えば25日移動平均線超えで買った株が買値から10~20%上昇したのち失速して株価が元に戻り、25日移動平均線を割り込み売却したときに、買値より安い株価で売却、となることが多いです。
これは、25日移動平均線超えで買った株を25日移動平均線割れまで売らずに保有しているために生じています。
でも、下落相場で利益を得ている人に話を聞くと、株価が10~20%程度買値から上昇したら、25日移動平均線割れを待たずにさっさと利食いをしてしまっているのです。
25日移動平均線割れまで保有しようとすると、株価が失速して実際に25日移動平均線を割り込んだときに含み益が全てなくなり、かつ買値すら下回って損切りになってしまいます。
そうなる前に、ほどほどの利益で満足して売ってしまうことで、損切りではなく利食いの状態で売ることができるのです。
下落相場での利食いに慣れてしまうのも要注意
ただし、この方法が万能かと言えばそうとは言えません。そもそもなぜ筆者が25日移動平均線割れまで保有を続けることを基本ルールとしているのかといえば、「利益をできるだけ伸ばすこと」を意識しているからです。上昇相場になれば、このルールにより買った株価の2倍以上で利食いできるケースも格段に増えます。
確かに下落相場においては反発しても一時的なものにとどまるため、10~20%程度の利益が出たら25日移動平均線割れを待たずに売却するのが効果的です。
でも下落相場もいつまでも続くわけではなく、いつかは上昇相場に転じます。また、下落相場の途中であってもかなり規模の大きなリバウンドが起こることがあります。
そんなときに、株価が10~20%程度買値から上昇した時点で売却というルールが身についてしまうと、保有を続けていれば株価が50%、100%と上昇を続けて大きな利益を得られたはずなのに、わずかな利益にとどまってしまいます。
要は、下落相場で利益を得るために適しているルールは、上昇相場になると利益を伸ばすことができず適さないということです。
その一方、下落相場から上昇相場に転じた、もしくはかなり規模の大きなリバウンドだった、というのは、後になってから初めて分かることです。ですから、10~20%上昇で売却、というのを繰り返していると、いつかは大きな利益を得る機会を逸してしまうことになります。
この現象は、2013年前半のアベノミクス相場初期に生じました。それまでは株価が少し上がってもすぐ下がってしまう状況が何年も続いていました。それに対応しようとちょっと上昇したらすぐ売るという方法で小さな利益を積み重ねていた個人投資家は、それまでとははるかにスケールの大きい上昇にうまく乗ることができなかったのです。
そこで筆者が提案する方法の一つが、10~20%の上昇で持ち株の半分を売る、というものです。残りは25日移動平均線割れまで待ちます。
こうすれば、株価がすぐ失速するような状況でもある程度の利益は残りますし、株価が本格的な上昇局面に転じた場合でも、持ち株の半分は売らずに残していますから利益を享受することができます。
いつ下落相場が終わり、上昇相場に転じるかをピンポイントで当てることはできませんから、どちらに転んでもそれなりの成果をあげられる方法を取るのが現実的な対応ではないかな、と思っています。
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(足立 武志)
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